争うは本意ならねど 日本サッカーを救った我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087458350

感想・レビュー・書評

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  • オシムジャパンで彗星の如く現れたストライカー我那覇和樹がJFAのデタラメなドーピング裁定に対し何故立ち上がったか、そしてアスリートを支援するチームドクター達が如何にJリーグと闘ったかのノンフィクション。
    私はナベツネの魔手からJリーグを守り、Bリーグを混沌から立ち上げた川淵さんを高く評価する身ですが、オシムをジェフから引き抜いたやり方と、このドーピング裁定の件については許し難いと。
    しかし、本書が膾炙し、我那覇和樹の名誉が救われ、当事者達が民意の批判に晒される道を作った著者には感謝の意しか無い。

  • 2019/2/5 ジュンク堂神戸住吉店にて購入。
    2020/9/23〜9/30

     我那覇選手を襲ったこの騒動については、ぼんやりと知っているだけであったが、裏でこんなにひどいことになっていたとは。絶対的存在をもつ組織の悪い見本の典型であろう。現在のJFAおよびJリーグがこんな状態にないことを節に願うのみである。現在も40歳にして福井ユナイテッドFCで現役を続ける我那覇選手。頑張って大好きなサッカーを続けて欲しい。

  • 個人的にはあまりサッカーには詳しくなく、この本を読むまでこのようなことがあったということを認識していなかった。一般論としては一方の言い分だけで決めつけるのは慎むべきだと思うが、それにしてもこれはひどいと感じたし、それでもなお少なくない数の人々が良心に従って立ち上がったというのは救いがある話だと思った。

  • JFAやJリーグにおけるガバナンス欠如案件についての本。よってカテゴリは「スポーツ」ではなく「法律」に分類した(「ビジネス」でもよいけど)。

    ほんの30年前までスポーツの競技団体なんてどこも手弁当で有志(?)が運営していたので、人材の欠如や偏りがあるのは必然である。
    その中でいちはやく自立に道筋をつけたのがJFAやJリーグであるが、そんなに一朝一夕に解決できるとは思えない。本書の事例は2007年の出来事であるから、なおのこと。

    ガバナンスの欠如そのものには「しょうがないね」と思う部分もあるのだけど(本当はしょうがなくない)、それよりも暗い気持ちになるのは、指摘を受けてからの態度。
    それがポジショントークとして必要だと考えているのか、問題の所在を理解していないのか、自己正当化に終始する態度は醜悪。

    専門性の高い部門に外部から専門家を招くのは当然だが、その専門家の言動についてのチェック機能が働かないという「ガバナンスの欠如」が本事例の肝である。
    本書の事例では、「各クラブのチームドクターが好き勝手にするのはいかん」と言うJリーグドーピングコントロール委員会委員長が、だれからもチェックされずにいる(好き勝手にやっている、と言いたい)ようなシステム、機構上の問題がある。

    ドーピングについてはその後に改善が図られたと思うが、しかし同様の問題はまだ潜んでいるように思える。
    たとえばハラスメント関係についても、専門家に丸投げしてチェック機能が働いていないという疑いはある。専門家が「調査報告書」を出して、それが実態として「起訴状兼判決文」になっているのは際どいと思って見ている。

    とか書いているが、中小企業勤務の私としては他人事ではない。弊社にもちゃんとした法務部門が欲しいなあ。。。

  • 東2法経図・6F開架:783.4A/Ki39a//K

  • 著者の木村元彦さん、我那覇選手の姿勢、後藤医師、チームドクター連盟の方々、そして我那覇選手のため、ひいては選手たちのために立ち上がったすべての方々の尽力に心から敬意を表したい。
    そして、とても大好きなオシムさんの言葉が随所に出てくるところもオシムさんの人を表していてとても胸が熱くなりました。

    本書を読んでいて、悪しき体育会系主義、過ちを認められない権力、権威、長というのは本当に害悪でしかないと感じました。

    サッカーであれなんであれ人はミスをする。間違いもする。それならば、間違えてしまったこと、ミスしてしまったことを認め、そのうえで正しい判断をしていくことが大人であると考えます。

    それさえできていれば、こんなことにはならなかったし、我那覇選手、そしてそのご家族がこんな目に遭うこともなかったのにと思います。

    そして、このことが良かったなんて絶対に思ってはいけないということもオシムさんの言葉で思い知らされました。

    大人であるということ、責任ある立場にいること、人で在るということは、過ちを認める勇気を持つこと、誠実であることだと本書から学びました。今後の人生、自分が本書に出てきた過ちを認められないヒトのようなものにならぬよう自戒しつつ生きていきたいと思います。

    本当に読んでよかったです。

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著者プロフィール

1962年愛知県生まれ。中央大学卒。ノンフィクションライター。東欧やアジアの民族問題を中心に取材、執筆活動を続ける。おもな著書に『オシムの言葉』(集英社文庫)、『蹴る群れ』(集英社文庫)、『無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代』(ころから)、共著に『さらば、ヘイト本!』(ころから)など。

「2019年 『13坪の本屋の奇跡』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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