洋子さんの本棚 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087456509

作品紹介・あらすじ

小説家・小川洋子氏とエッセイスト・平松洋子氏。ふたりはこんな本でできている。同世代で同郷のお二人が古今東西の名作を入り口に、本と人生を読みほどき、語り尽くした滋味あふれる対話集。

感想・レビュー・書評

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  • 小説家って凄いなあ。2人の文筆家の会話、言葉のキラキラした深い深い広い広い海の中に漂わせてもらった。心地よくて、楽しくて、読んでみたくなる本も沢山。

  • 故郷が同じ、同世代、名前も洋子の二人が本と人生を語る対話集。
    第一章 少女時代の本棚
          &<私たちをつくっている、ささやかな記憶の欠片>
    第二章 少女からおとなになる
          &<忘れられないあの味、この味>
    第三章 家を出る
          &<私の中の海。産むこと、母になること>
    第四章 人生のあめ玉
          &<日々の習慣がくれる偉大な力>
    第五章 旅立ち、そして祝福
          &<女友達、男友達の条件>
    <巻末付録>人生問答
    小説家の小川洋子とエッセイスト平松洋子の対話集。
    本をアテに、少女時代から思春期、反抗期、自立と旅、
    出会うこと、母になる、生活の中の死者、老いと死・・・等、
    それはもう、たっぷりと語り合っています。
    第一章~第五章は真摯に本について語っていて、選書の妙と
    読み方の深さを感じました。既に読んだ本もありましたが、
    再読したくなりましたし、未読の本には興味が持てました。
    また『野蛮な読書』も読まなきゃと思いました。
    <巻末付録>人生問答は四方山話な感じで、面白かったです。
    食べ物系の話には前のめりになるご両人です。
    それにしても、掛布。これは意外でした(笑)

  • 祝文庫化!

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    小説家・小川洋子氏とエッセイスト・平松洋子氏。ふたりはこんな本でできている。同世代で同郷のお二人が古今東西の名作を入り口に、本と人生を読みほどき、語り尽くした滋味あふれる対話集。
    http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-745650-9&mode=1

  • 小川洋子さんは岡山市朝日高校出身、内田百閒の居た古京町の隣の森下町で生まれたらしい。夕方5時、県庁のドボルザークの「家路」放送で家に帰るのは、あの街だけの特権だった。さらには、やがてしばらくは倉敷市に住んでいる(「玉島に10年住んでいた」というのは異議がある。倉敷市鶴の浦は玉島ではない)。平松洋子さんは、なんと倉敷市中島の出身、私より2歳上だから、何処かですれ違っていたかもしれない。渡辺和子学長がいた頃のノートルダム精心高校の出身。

    この本は、2人の洋子さんが、少女、大人の女性、その他人生の中で読んできた愛読書を持ち寄り、お互い読んで、お互い感想を出し合うというもの。本の世界は、ワールドワイドなので、倉敷市なんて関係ないのではあるが、時々ふと「共通の話題」として出てくるのが、とっても嬉しい。

    2人と私の興味関心は違うので、2人の提出した34冊のうちに、私の既読は(映画「道」を含む)3つだけだった。それでも、本が好き、という共通項があるので、ひとつひとつがとても面白かった。また、年代が似通っていることもあって、高度成長期に大人になって、歴史の激動に揺さぶられることなく、穏やかに読書を通してアイデンティティを確立してきた我々の世代を説明されていたような気もした。

    反対に言えば、穏やかな環境に居ても、人生にきちんと向き合えば、世の中の大切なことは理解するということなのだろう。

    以下私的メモ。
    ⚫︎(平松)英語詩集の翻訳ノートを作っていた。一人遊びとして楽しかった。
    ⚫︎忘れられない味(平松)宇高連絡船の立ち食い讃岐うどん「いまだに死ぬ前はあれを食べたい」(小川)年一回の天満屋屋上のカレーとか、お子様ランチ(←支持!)
    ⚫︎「道」のジエルソミーナは、ほとんど「ザンパノ」しか言っていなくても、彼女の瞳を見ていると心の動きは全部わかる。類人猿の中でヒトが1番白目がハッキリしている。心の内を読まれないように、ヒトは言葉を編み出したのか?(ウソは言うな、と子供の頃から教えられるけど)ヒトは先天的にウソをいうようになっているらしい。(平松)誰かと理解し合いたいのにどうしても出来ない絶望感とか諦めは、誰もが経験する。
    ⚫︎『美食放浪記(檀一雄)』「岡山はまた、ちょっとした食堂や酒の店に、必ずといってよいほど『雑煮』を売っている」「雑煮の具はブリであり、サワラであり、エビであり、穴子であり、カマボコであり、春菊であるが」あゝこういう雑煮だったな(平松)。(←コレ岡山市の雑煮だな。今では売っていないんでないかな)
    ⚫︎旅について(小川)日常生活の中でとりこぼしている偶然が、必然として育っていく(平松)ある意味、自分のあり方の訓練。「これだ」と思った瞬間に感知する力。
    ⚫︎豚コマワンパック何を作るか?(平松)細かく刻んで肉味噌。(小川)豚汁
    ⚫︎日々の習慣(平松)1時間20分、一万歩のウオーキング8年間(小川)50分ほどのスロージョギング3年間。
    ⚫︎自分に許している贅沢(小川)本の値段を見ない。和菓子「空也」のもなか。(平松)週一二回ステーキ(ランプ肉)

  • 岡山出身で同年代の二人の「洋子さん」の読書体験対談。小川洋子さん岡山出身のイメージがあまりなかったので、今更のように、へえそうだったのか、と意外に思った。個人的に岡山出身の女性作家というと、岩井志麻子が真っ先に浮かんでしまうので(苦笑)

    対談は、少女時代から思春期、大学進学で実家を出た頃など年代でテーマを決め、その頃読んだ本を紹介しつつ回想、だんだん現在~老後から死に方の話までになっていく構成。個人的には前半の思春期~家を出るあたりの話が自分自身の経験とも重なり読み応えがあった。母と娘の確執・関係性というのは普遍の課題だよなあ。私はお二人よりは年下だし、母はいても子はいないからまた違う部分もあるけれど、女性としては「わかるわかる」と激しく頷きながら読んだ。

    未読の本は読みたくなるし、既読の本も、そうかそういう読み方をすればよかったのか、と目からウロコだったり、作家さんの読書体験談を聞くのはやっぱり面白い。『トムは真夜中の庭で』、深沢七郎『みちのくの人形たち』、ツルゲーネフの『はつ恋』、中沢けい『海を感じるとき』あたりはとくに興味が沸いた。

    あと小川洋子さんといえばやはり『アンネの日記』。私は小学生くらいのときに子供むけの簡単にしたやつを読んだだけで、正直大人になってからは「あんな可哀想なだけのものは読むのが辛い」と思って読まずにいたのですが、この対談を読んでいるとどうやらそれだけではなさそう。いつか勇気を出して完全版を読んでみたい。

  • 過去に通り過ぎた本が過ぎただけではなく血や肉になっていて,年を重ねて再読することで自身のそれらの本に対する時系列的な捉え方を考察し,その違いを深く考え進めていることに恐れ入った.少なくとも大半の本を私はそのように読んでいない.例え1冊でも,生涯大事にしたいと思う本を見付けることが乱読の必要性なのだ,と自分を納得させる.

  • どちらも好きな作家さんなので、読んでいて楽しかった。
    ふたりの対談が全部素敵な言葉ばかりで、言葉を楽しんだ感じ。
    アンネの日記はもう一度読み返したいな。

  • うーん、あまりにも読書傾向が被らな過ぎて、あ、読んでみたいなあ、と思う本すらあまりなかった。まだ見てないから”ベニスに死す”は見たくなったけど。

  • 二人の洋子さんが奥さんの洋子さんを撮った写真集について語る・・・ふしぎ。
    深い話となった「キス」が読みたくなった。
    本以外の対談も興味深い

  • 小川洋子、平松洋子『洋子さんの本棚』集英社文庫。

    同郷で同世代のダブル洋子により、本を切り口に人生を語る対談集。二人の洋子が何を読み、どう生きてきたのかが赤裸々に語られる。どちらかと言えば女性向けの内容。

    度々、平松洋子の『野蛮な読書』が取り上げられるが、あれは読書をテーマにしたエッセイの中でも傑作だと思う。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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