江戸前 通の歳時記 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087455571

作品紹介・あらすじ

成熟は舌とともにあると考える池波流“通"の嗜み。下町生まれの作家が、人生の折々に出会った忘れられない味。東京に残る“江戸前"を味わう暮らし。本物の食通による名エッセイ集。(挿絵/矢吹申彦)

感想・レビュー・書評

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  • 魯山人のよう。
    食を極める本。
    とても参考になりました。

  • 池波正太郎の食に関するエッセイは、読んでいるうちに、口に唾が溜まる。そして、試したくなる。通い詰めた店は、今は無い所も多そうだが、思わず、食べログとかで調べたくなる。

  • 二章の味の歳時記が新潮文庫の「江戸の味を食べたくなって」とかぶっていたのにこの感想を書くまで気が付かなかった…
    初読の様に楽しめたし、挿し絵も新しく(新潮版は池波本人の絵なのでこれもよい)なっていて楽しめたのだが…

    食のエッセイは同じく新潮文庫に「散歩のとき何か食べたくなって」「むかしの味」もあり、これらは日本各地の名店を取り上げており更に素晴らしい。そして同時の料理を撮った写真も。

    ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。

  • 食べることは、空腹を満たすための手段でしかなく、どこにでもある店、コンビニで何も考えずに、腹を満たしてきた貧相な食生活の私にとって、本書は、読み進めるごとに非常に色あざやかに感じられた。季節の移り変わりとともにある旬な食べもの、どうたべるのが旨いのか。今まで気にも留めていなかった食することへのこだわりが、心底カッコいいと感じた。大袈裟だけど、食べることの意味を考えさせられます。

    以下引用
    人間は、生まれると同時に、確実に死へ向かって歩みを始める。
    その死への道程をつつがなく歩みきるために、動物は食べねばならぬ。

  • 手術後、食欲のない時に少しずつ読んで、味を想像したり、自分ならどうやって食べようかなあなどと想像して楽しんでいた。

    旬のものを大切に味わって食べる。
    ああ、なんという幸せ。

    ビールは小さなコップに1/3だけ注いで、一息に飲む。
    自分のペースでコップに注いで、注いだら一息に飲む。
    これが一番美味しいのだそうだ。
    なるほど。

    フランスで、「シャンパンに合ういちばんいい肴を持ってきてくれ」と言ったら、出てきたのはポテトフライだったというのにびっくり。
    確かに冷たいシャンパンと熱々のポテトフライは、やめられない止まらない旨さだと思うけど。
    日本人がそんなことを言ったら「田舎者」と馬鹿にされそうだけど、フランス人がそう思うのなら…と思いつつ、もやもや。
    もっと他にないのか?という気がどうしてもしてしまう。
    もしかしてシャンパンに対して高級品と身構えすぎているのかも。

    いつかやってみたいのは、てんぷら屋さんで目の前で揚げてもらったものをハフハフと食べること。
    あと、自分のために小鍋を仕立てて、ゆっくりお酒を飲みながらゆっくり大ぶりのハマグリなど食べてみたい。

  • 1997年に出た「江戸前食物誌」の改題、再刊。
    ランティエ叢書でも読んだが、あの本、どこに行ったかな?

  • 食の帝王の一冊。さまざまなエッセイの合本なので重複が恨めしいところであるが、冗長になりがちなこの手のエッセイをうまく編集してあるのでリズムよくあっという間に読むことができた。筆者の好物、どんどん焼きとポテトフライはチャレンジしてみたい。

  • 江戸の風情を残した下町で培った食のあれこれ。
    季節や旬を感じる歳時記、通のたしなみ等々…昭和の懐かしさを感じつつ読みました。
    それにしても貯めたお小遣いを持ち寄って子供だけで焚火で牛肉のすき焼きをする下町の子供たちってすごい…。その近辺では普通にあったことなのでしょうか?

  • 本物を知る食通の名エッセイ。人生の折々で出会った忘れられない江戸前の味と暮らしを綴る。

  • 江戸下町には独自の時間と空間が流れている.作品の中だけでなく,実際の生活にもそれらが通底していたからこそ重厚な作品群が出来上がったのだろう.

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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