トラウマ恋愛映画入門 (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087454949

作品紹介・あらすじ

激しい恋や辛い恋。トリュフォーもキューブリックもフェリーニも恋と愛に翻弄される人々を撮った!? 観る者の心に爪あとを残す恋愛映画を取り上げて、著者独自の視点で徹底解説。(解説/松江哲明)

感想・レビュー・書評

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  • タイトルに〝恋愛映画〟とありますが、
    その前に〝トラウマ〟という文字があるので注意が必要です。
    恋愛映画というより、
    むしろ人間の本質をエグリ出すような作品が
    たくさん紹介されています。
    そのほとんどは知らないものばかりでしたが、
    中にはいくつか見たことのある映画もありました。
    フェデリコ・フェリーニ監督のイタリア映画〝道〟は
    後世に残る素晴らしい作品だと思います。
    十代前半のころ観た
    アニエス・ヴァルダ監督のフランス映画〝幸福〟は、
    画面がすごくきれいだった印象がありますが、
    なんでこの映画のタイトルが〝幸福〟なんだろうと、
    純真無垢な心が傷ついたことを思い出しました。
    恋愛映画というタイトルから、
    あま~い内容を期待してはいけません。
    瞳の中でお星さまをキラキラさせて、
    お花畑にたたずむような乙女には、
    けっして読まないでいただきたいと願うばかりです。


    べそかきアルルカンの詩的日常
    http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
    べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
    http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
    べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
    http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2

  • 恋愛映画評。
    一本の映画を取り上げてあらすじを語りながら、その裏にある監督の意図や思い入れやトラウマを紹介して、それぞれのシーンの意味を解説してくれてる。
    ただあらすじが結構長くて、見たことないとなんのこっちゃよくわからんし、見たことある映画はもうあらすじはいいから、もうちょい深く掘ってほしい、と思ってしまった。
    見たことある映画が少ないので、もうちょい映画を見てから再読したらさらに面白いかもしれない。

  • 22の映画が紹介されているが、見たことのある作品が5つ、名前を知っている作品が、6つ。
    元々恋愛映画は、苦手な方で詳しくない。
    割とマイナーで、古い映画が多いので、レンタルショップでも、置いていない。
    ぜひ見たいのだが、難しそうである。

  • ラジオなどで「愛の伝道師モードに入りますね」となる時のトークを書き起こしたようなテンションである。他の本より食い気味な印象を受けた。

  • 近年制作・公開が相次ぐ、恋が開花する様を描いた甘酸っぱく軽やかな映画は「胸キュン」と表現される。では、本書で紹介されている、愛が枯れて消え逝く様を描いた、苦くて重々しい映画は何と言えばよいのだろう?

  • 町山氏の今まで読んだものの中では、1本について詳細にページを割いて説明してくれていた。恋愛に特化しているけれども、相変わらずの切り口。ちょっと気分を変える映画・本として、とっても助かってます。

  • 町山氏が選ぶ、古今東西の一度観たら心に深く刺さって忘れられない恋愛映画地獄巡り。トラウマ必至の22本。
    トルストイの言葉である「多くの女性を愛した人間よりも、たった一人の女性だけを愛した人間のほうが、はるかに深く女性というものを知っている」がスタンス。恋愛映画は甘々のイメージが強いが、ここで取り上げられている作品は全てクセになる苦さ。

  • この本を書く前提にある著者の思いが良い。恋愛のアマチュアであると潔く認めているが、映画と真摯に対峙している故に説得力がある。

  • 手に入る作品は全て観たので復習。本書を読んで映画も観て、過去自身が女性を意識的、無意識的な部分を問わずどれだけ傷つけてきたかを知り、そしてこれからも繰り返されるであろうある種の「どうしようもなさ」と向き合わざるを得なくなった。

    例えば最初の『チェイシング・エイミー』。監督は元カノを主演女優に敢えて抜擢し、彼自身の失敗を基にした映画を撮った。
    男は経験人数を誇るが、女が同じことをすると売女のように軽蔑する。
    それが引き金となり破局へと至った、その自戒と、この映画を作るきっかけとなった彼女への感謝の気持ちを精一杯込めながら。
    破局原因については共感できなかったけれど、心から反省する姿勢を学べる映画(でもオチは………何だあれw)。

    或いは恋が実り、そして散って行くさまをバラバラな時系列でリアリスティックに描いた『ブルー・ヴァレンタイン』。
    一緒になれたからことで安堵し、出会った頃の優しさが徐々にぞんざいになり離婚に至るカップルを直視するのはなかなか堪えた。
    やっぱり町山氏が言うように「出てくる男はちょっとずつ自分」なのだから。

    ジム・キャリーの「(消したい恋の記憶はあるかと聞かれ)ない。どんなに辛い恋でも、素晴らしい瞬間はある。楽しい経験も辛い経験もひっくるめて、それが今の自分を作ったんだ」というコメントは、それこそ『エターナル・サンシャイン』のようには頭から消したくない、自分を戒めてくれる名言。

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著者プロフィール

1962年生まれ。映画評論家。1995年に雑誌『映画秘宝』を創刊した後、渡米。現在はカリフォルニア州バークレーに在住。近著に『トランピストはマスクをしない コロナとデモでカオスのアメリカ現地報告』(文藝春秋)、『映画には「動機」がある「最前線の映画」を読む Vol.2』(集英社インターナショナル)、『最も危険なアメリカ映画』(集英社文庫)、『町山智浩のシネマトーク 怖い映画』『町山智浩の「アメリカ流れ者」』(スモール出版)などがある。

「2021年 『町山智浩のシネマトーク 恋する映画』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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