- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087454413
作品紹介・あらすじ
1945年夏、広島。その日落とされた一つの爆弾に、少年のほのかな恋心は打ち砕かれた──。戦時下の人々の生活を描き、鮮烈なデビューを飾った第26回小説すばる新人賞受賞作。(解説/高橋千劔破)
感想・レビュー・書評
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中学生の時に被爆している亮介。78歳になり、急性骨髄性白血病で余命いくばくもない。仏壇に隠していた蝶の標本箱。それは、あの日命を奪われた幼い少女との思い出の品だった。広島を舞台に、戦時中から現代までを描いた小説です。中学生・高校生におすすめ。
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戦争を題材としたものは気分が落ち込む哀しい結末しかない物ばかりなので少し苦手でタイトルからは違うタイプを想像していたので、あれ?と期待を裏切られたスタートだった。
死を前にした被爆者の主人公が子供の頃の初恋を回想するが戦時中で今とは全く違う。
出征中にやってきた年若い父の愛人と後妻の母とまだ学生の主人公。
昆虫好きから心を通わせた2人の淡い恋。
無惨にも原爆が散らせてしまった。
主人公が自身の被爆体験を語りたくない思いを娘の学校の先生と言い争う場面でハッとした。
確かに原爆を忘れないために語り継がなくてはいけないとよく言われるが、それは体験していない者の意見であって当事者にしてみれば隠して死に怯えながら必死に生きてきて、忘れてしまいたい記憶なのに忘れることが出来ずに付きまとってくる忌まわしい呪いみたいなもの。
それを無理やり引っ張り出して語らせようとするのだから…
辛い思いで本当に酷いものだったのだと初めて気がついた気がした。
翅が少し焼けた青い蝶が特別な種類ではなくてどこにでもいるありふれた種類である事も特別ではない事だと示しているようで時代に翻弄された淡い恋がさらに切ない。 -
被爆者という事実を隠そうとした主人公。そのわけにハッとされられた。
父親の妾との初恋。全て失われたときの絶望。
とても読み応えのある一冊 -
本やさんで何気に見て、タイトルに惹かれて購入。
内容も分からないまま購入した。
もっと気楽に読める作品かと思っていたので、ヘビーな内容だったことに少々戸惑った。
80歳になろうかとしている死を目前にした老人が体験した、純粋な恋と原爆のストーリー。
戦争を語る人が少なくなっている中で、この作品は、広島という地域の過去、生き方、現実を突き詰めてくる。
戦時下の暮らし、風景、原爆投下直後の光景……など、丁寧な描かれていると思う。
個人的には……浅い解釈だと思うが。
青い蝶を大事に持ち続けていたこと。
父にも分からないように閉じ込めたこと。
誰にも話さないまま逝こうとしていること。
それらを話すべきではないと思いつつも、きえをいつまでも追っている気がして……
裏切りのようなものを感じてしまった。
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すごく良かった!
原爆を体験した人が現在で死ぬ時、現在と過去を彷徨いながらその時を思い出す。
家族のこと、好きな人のこと。
被爆した時のこと。
読んでで辛くはなるけど、何故か読み終えると心温まる本でひた。 -
国家レベルの洗脳で突き進んだ戦争。
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2018#52