誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち (集英社文庫)

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  • 集英社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453829

作品紹介・あらすじ

虐待による心の傷と闘う子どもたち。そして、彼らに寄り添い、再生へと導く医師や里親たち。家族とは、生きるとは? 人間の可能性を見つめる第11回開高健ノンフィクション賞受賞作。(解説/是枝裕和)

感想・レビュー・書評

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  • コルベットさんの本棚から図書館予約

    うっすらと知っていると思っていた
    とんでもないことだと改めて知った
    これは小説ではない
    ルポだ
    現実なんだと言い聞かせながら読んだ

    五人の少年少女
    親からの激しすぎる虐待、性被害、厳しい施設での暮らし
    どこにも救いがなく、身を縮ませ、脳をシャットアウトさせるしかなかった彼らの日々

    生き延びた彼らに表れる様々な後遺症

    そこに手をさしのべる医師、ファミリーホームのパパ、ママや家族

    私は何を?
    せめてこの本を薦めようと思う

    ≪ 鬼の母 それでも私は 帰りたい ≫

    • コルベットさん
      かよこさん、おはようございます。どんなに鬼の母でも帰りたいと焦がれるものなんですね。それがなによりも切なくて・・・
      かよこさん、おはようございます。どんなに鬼の母でも帰りたいと焦がれるものなんですね。それがなによりも切なくて・・・
      2024/02/24
    • はまだかよこさん
      コルベットさんへ
      いい本を教えてくださりありがとうございます。
      貴重な読書体験でした。
      だからどうなの?とも自問しますが
      知ることが...
      コルベットさんへ
      いい本を教えてくださりありがとうございます。
      貴重な読書体験でした。
      だからどうなの?とも自問しますが
      知ることがまず大切と。
      心に重く鋭く残っています。
      わざわざコメントありがとうございました。
      2024/02/24
  • ファミリーホームで育つ子供や、大人になった被虐待児から聞いた話やその後をまとめたノンフィクション。

    虐待された子供を保護しても、「良かった。めでたしめでたし」とはいかない問題の根深さを感じました。知的な遅れや問題行動に、いつまでも癒えない心の傷。虐待は連鎖すると聞きますが、断ち切ることの難しさを改めてしれた気がします。

    また、ファミリーホームの「パパ」「ママ」の活動も知ることが出来ました。子供が好きというだけでは到底続けられないお仕事ですね……。本当に、頭が下がります。

  • 再読。
    虐待やネグレクトで子供を死なせてしまった親の悲しい事件を見聞きするたびに思うことがある。
    往々にして親も虐待されていたというケースは多い。ネットでよくみるコメントは「自分がされて嫌だったことをなぜするのか、最低の人間だ」というもの。
    そういうコメントをする世の中の人たちは、問題の本質を理解していない。そんな単純なことではないのだ。
    虐待がどれだけの後遺症を残すのか。その後の人生にどれほどの影響を与えるのか。
    それは、大人になってからも続く根深いものである。
    それを、この本は教えてくれる。ファミリーホーム(という、里親が被虐待児を引き取り家族として集団で暮らす場)を実際に取材して書かれているが、取材できている時点で恵まれているケースではある。
    ここまでたどり着けない子はたくさんいるんだろうと思うと本当につらい。
    里親、ファミリーホームとして受け入れる人たちがいること。被虐待児が徐々に立ち直っていく姿。
    もしくは立ち直りきれない様子。
    自分が知ることのなかった世界があって、もっと多くの人々に知って欲しいと切に思う。

  • 虐待を受けてきた子供達と、その子達を育てる里親達を中心にしたノンフィクション。

    読んでいて、つらくなる。
    虐待による、後遺症は里親達をも苦しめているということが良くわかった。

    とはいえ、一番苦しんでるのは子供達。

  • 虐待を受けてきた子どもたちの「その後」が、よくわかる本だった。こういう子どもたちの面倒を見、親身になって世話をしてくれている方々には頭が下がる思いになる。
    ただ、いくつか引っ掛かることがあった。それは、文中に登場する精神科医たちの言葉である。なんとなく、被虐待児の心理に対する推察が、無理やりこじつけている様な気がしてしっくりとこなかった。
    この本を読んで収穫だったのは、一番の問題は、実は児童虐待に携わる支援者側にある「思い込み」なのではないのかと感じた。
    虐待を専門とする専門家でさえ、自らの思い込みの中で被虐待児を治療しているのかと思うと、この問題の解決がますます遠のくような気がして眩暈がした。
    著者には、もう少し、精神科医たちにも切り込んで欲しかったというのと、他の精神科医たちにも取材をして、異なる意見も拾い上げて欲しかったということで、星3にした。

  • 虐待の被害者である子どもが、里親やファミリーホームに引き取られてどう自分を取り戻すかまたは挫折するかを追ったノンフィクション。
     
    日本の状況が良く理解できる。そして、通常の子育てのこれまた何倍も大変な子どもを引き取って育てるという難題に取り組むファミリーの、愛と献身に感動する。
    そんな里親やファミリーホームが、知らないだけで日本にもたくさんあるのね!(とはいえ海外よりずっと少ない)

    そんなファミリーへのサポートも十分ではない。

    そしてなんといっても心に残ったのは、虐待のサバイバーである女性が、大人になって子どもを産んだとき、自身の生い立ちを追体験して苦しみながら自らが子どもを虐待する側になってしまう...っていう...。つらい。つらすぎる。
     
    おとなよ。おとなにこそケアが必要。
    まず彼女に幸せでいてほしい...

  • 改めてエッセイっていいなと思った。
    こんな世界が、こんな傷を負った子供が沢山居るなんて、全く知らなかった。過去に負けず生きている子供たちも、見守っているファミリーホームの方々も本当にすごい。
    社会の責任だ、という言葉が強く印象に残った。

  • 一般に、「親の、子への愛情は無償だ」と言われるが、虐待を診ていく限り、それは逆だとしか思えない。子の、親への愛こそが無償なのだ。

  • 虐待や児童養護施設、養育事業など知らないことばかりで驚いた。虐待を受けたこどもたちのその後の人生への影響、世の中には施設以外にも実子と一緒に養子を迎え、一緒に育てるファミリーホームを営む方々とその苦労。ニュースだけではわからない、衝撃的な内容だったが、深い社会問題を認識した。

  • 虐待された子供のその後。与えられた精神的苦痛の悲惨さ。

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著者プロフィール

黒川祥子(くろかわ・しょうこ)
ノンフィクション作家。1959年福島県生まれ。東京女子大学卒業後、弁護士秘書、ヤクルトレディ、業界紙記者などを経てフリーランスとなる。おもに事件や家族の問題を中心に執筆活動を行っている。2013年、『誕生日を知らない女の子 虐待――その後の子どもたち』(集英社文庫)で第11回開高健ノンフィクション賞受賞。その他の著書に『熟年婚 60歳からの本当の愛と幸せをつかむ方法』(河出書房新社)、『「心の除染」という虚構 除染先進都市はなぜ除染をやめたのか』(集英社インターナショナル)などがある。


「2018年 『県立! 再チャレンジ高校 生徒が人生をやり直せる学校』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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