6 シックス (集英社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453805

作品紹介・あらすじ

野球選手としての不安と自信と孤独……東京六大学野球を舞台に、甲子園後の選手たちの人生とその選択や葛藤などを切なく、熱く、見事に描ききった連作青春小説集。(解説/大越健介)

感想・レビュー・書評

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  • 舞台は東京六大学。
    早稲田大学野球部のエースピッチャー・星隼人。
    ”銀縁くん”の愛称で親しまれるスター選手と、同じ時代を過ごした学生たちの物語。

    各大学に分かれた章ごとのリーグ戦星取表と、その記事がとても面白くて、
    くすくす笑ってしまった。
    元東大の投手で、ニュース番組のキャスターだった大越健介さんの解説もよかったです。

    物語の軸になる星隼人。
    人気も実力もあって、欲しいものはすべて持っているかのように見えた。
    なのになぜ誰にも心を開かず、いつも苦しそうな表情でマウンドに立つのか…。

    早稲田に入って野球をするということ。
    ピッチャーでありつづけること。
    背負ってきたものの重さと、孤独な苦しみを知ったとき涙があふれた。
    友の墓前に響き渡る”都の西北”。
    きっと隼人と一緒に歌っていたね…。

    マウンドの隼人にむかって、
    「俺の人生ではお前が脇役なんだ」と言ったチームメイトの言葉が忘れられない。
    夢をかなえられなくても、
    努力が大きな実を結ぶことがなくても、
    不本意な道を歩まざるをえなくても、
    どんなちっぽけな人生でも、主役は自分なんだ!と勇気づけられた気がしました。

    最後の早慶戦で隼人が見上げた神宮の空のように、
    爽やかで清々しい物語でした。

  • 様々な要素を巧みに織り込んだ短編連作集。各編終わりの星取表のにくい演出にニヤニヤする。明らかにカレがモデルのエース星の背景に触れた時、そっと落涙。
    「俺の人生ではお前が脇役なんだぜ。」いいよ、凄くいい。読後感は爽快。

  • 深町真澄
    野球部。補欠。高校一年で野球部を辞めた。東大生。三年で肘を壊す。投げ方をアンダースローに変える。

    山本真吾
    東大の野球部のエース。

    真澄の父
    八百屋。もう年の大投手の名前を息子につけた。

    紗英
    真澄の妹。

    土田一成
    山藤学園のエース。ドラフト一位でプロへ進んだ。^_^

    星隼人
    京浜高校のピッチャー。サウスポー。早稲田へ進学。デビュー戦の東大戦でノーヒットノーランを達成。

    矢野光二
    東大の臨時コーチ。『左投手の勝利学』の著者。

    柴田博嗣
    京浜高校出身で慶應の四番打者。

    西宮吾郎
    法政大学野球部マネージャー。柏木楽器へ就職が決まっている。

    太田清郎
    野球部監督。

    木下
    法政のエース。

    加藤
    法政大学野球部キャプテン。

    前川茂之
    法政大学野球部マネージャー。吾郎の後輩。

    渡辺
    法政大学の四番。

    ニシジマツヨシ
    多摩商経大学文学部四回生。

    北島一雄
    明治大学商学部。

    新藤友之
    明治大学法学部。

    笹部良太
    三洋商事第二ビジネスソリューション本部営業課主任。

    佐山明子
    立教大学。文学部。

    エミ
    明子と同じ文学部。雑誌の読者モデルをしているという派手な子で歌手デビューを目指してレッスン中。口数は多くないが、何かと面倒見のいい子。

    加奈
    エミとは反対におしゃべり好き。

    篠田功二郎
    東京ジャイアンツの監督。慶應の野球部。

    山田紀子
    慶應義塾中等部から慶應。大学二年の時に篠田と付き合う。

    山田和明
    慶應を出て四年目に司法試験を突破。

    山田俊哉
    和明、紀子の一人息子。慶應の野球部。

    土田一成
    俊哉が入っていたリトルリーグで四年生にしてエース。

    北澤祐介
    小学校で隼人を強引に野球の道に引きずり込んだ。

    庄司琢郎
    早稲田の学生トレーナー。

    長岡平助
    毎朝新聞の記者。

  • 東京六大学野球に関する短編集。
    ・赤門のおちこぼれ
    ・もう俺、前へ!
    このふたつは主人公の悩みに立ち向かう姿が初々しくて良かった。
    どの話も早稲田のエース、星君が物語全体のキーパーソンになっている。
    その星君と他大学の対戦結果は各章の最後に新聞記事で知ることが出来て、面白い仕様だと思った。
    みなさんおっしゃっているように、『俺の人生ではお前方が脇役なんだぜ』刺さったー!
    若いっていいなー!

  • 俺も野球をやっていた。信じられないくらい控えだった。野球が大嫌いと思っていたけど、本当はやっぱり好きだった。

  • さらっと読んだ。

  • 読みやすかった。

  • ただの青春野球小説ではなく、たくさんのドラマがあって胸が熱くなったー。
    どれもよかったけど、東大の深町くんの話が一番好きかな。
    あと慶応の俊哉くんおもしろすぎ。笑

  • ひゃくはちに続き野球小説だと思い始めて読むとかすかに違う。シックスとは6つの人生のオムニバス。ラストにデータや新聞記事を置き読者に想像の余地を残す著者ならではのスタイル。巻末の解説によると著者は桐蔭学園野球部出身という。なるほど納得。

  • 野球の話なのに9ナインじゃなくて6シックス?
    と思ったら東京六大学野球の話ってことやった、六大学それぞれの野球部じゃない人からOLまで、様々な立場の六大学野球にちなんだ小説を6つあつめた作品集。

    作品集の大きな軸となる銀縁王子こと星隼人、この子明らかに斉藤祐樹がモデル。今の彼を考えるとなんだか複雑というか、本人には悪いが物語に厚みが出るというか…。

    6作の中では「もう俺、前へ!」が一番好き。実は野球から一番遠いとこにいる作品なんだが、題名の通り、勇気をもらえて前に進める秀作で、この本のテーマである「俺の人生ではお前の方が脇役」を一番表現できている作品だと思った。

    その他の5編も上出来。直球あり変化球ありボール球もあるが、いずれも捨て球なし真っ向勝負!
    あっという間に読み終わってしまったが、いや実にいい読書時間を過ごさせてもらった。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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