この年齢だった! (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 174
感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087453492

作品紹介・あらすじ

女性の転機はいつ訪れるのか? レディー・ガガ11歳、紫式部35歳、市川房枝52歳……古今東西の有名女性27人の人生を、転機となった年齢から読み解く。驚きと共感のつまったエッセイ集。(解説/温水ゆかり)

感想・レビュー・書評

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  • 子どもの頃、読書は好きだったのに伝記のジャンルだけはどうにも苦手であった。どこか「敷居が高い」感があり、一方的に引いてしまっていたのだ。それでも歳と共に偉人の人生を追うことが面白くなってきた。酒井さんも私と同じ経緯を辿ってきたようで、そんな彼女だから、この「酒井流女性偉人伝」が面白くないわけがない。まず、人物のチョイスがユニーク。古典でおなじみ紫式部&清少納言、伝記でおなじみキュリー夫人、市川房枝やサッチャーと政治畑、サザエさんの長谷川町子、マドンナ・松田聖子・安室奈美恵など最近のアーティストまで、古今東西幅広く網羅。そして、「年齢」に着目した偉人伝はたまに見かけるけど、「この年齢だから」「この年齢なのに」という点で内容を大きく2章立てにしたのはさすが。
    今回はたくさんの資料を読み込んだんだろうなということが窺える。酒井カラーは薄めかもしれないけど、雑誌連載の決まったページで女性達の濃い人生を凝縮して語るのはなかなかに大変だったのではと思う。でも、酒井さんの淡々・さくさくした「です・ます」口調が本書にはピタリとハマっているなと思った。重すぎず軽すぎずのリズムがするする頭に入ってくるのだ。お蔭ですごく読みやすく、もっと彼女達の人生を詳しく知りたい!と興味をかきたてられました。
    温水ゆかりさんの解説もまた読み応えあり。連載媒体だった「MORE」は人気のファッション誌だけど、かつては「ハイト・リポート」の女性版を目指していた雑誌。「酒井さんのこの連載は、21世紀に『MORE』のDNAを受け継ぐ好企画だったに違いない。」の一文に深く納得。
    自分の年齢と、偉人達の転機になった年齢を比べては「は~すごい」「いやまだこれから!」と感心したり奮起したり。女性への共感と尊敬に満ちた一冊であります。

    • koshoujiさん
      初めまして。になるのでしょうか。
      メイプルマフィンさんのレビューは随所で見かけ、フォローしていはずだと思ってましたが、今再確認したらフォロ...
      初めまして。になるのでしょうか。
      メイプルマフィンさんのレビューは随所で見かけ、フォローしていはずだと思ってましたが、今再確認したらフォローしてなかったことが分かりました。
      ですので、フォローさせていただきます。
      これからもレビュー楽しみにしております。<(_ _)>
      2015/09/15
    • メイプルマフィンさん
      koshoujiさん:初めまして!とはいえ私も、koshoujiさんのレビューはよく読ませて頂いておりました。
      フォロー&コメントありがと...
      koshoujiさん:初めまして!とはいえ私も、koshoujiさんのレビューはよく読ませて頂いておりました。
      フォロー&コメントありがとうございます!とても嬉しいです。
      こちらこそ、どうぞよろしくお願いしますね。
      2015/09/15
  • 人は未来を予測できないが、過去なら振り返ることができる。有名人(女性)の「あの時」という分岐点を振り返り、それに著者が解釈を加えているのが本書。
    元々雑誌の連載だったらしく、字数制限もあるからかイマイチ深みがないなというのも正直な感想。ただ、単に分岐点を振り返る本は数多あるけれど、それが具体的に何歳のときだったのかをこの本までにクローズアップさせた本もなかっただろうし、その点では自分の年齢と重ね合わせてみると興味深いかも。自分は29歳だが、年齢がもっと上で且つ女性ならなお更。
    この本で取り上げられているのはみんな女性だが、女性だからこそ面白い部分はあると思う。もちろん男性も波乱万丈の人生を歩んだ人はいるだろうが、男性の場合は組織というものの存在がより強く影響するのに対して、時代にもよるけれど、女性の方が組織に縛られない分、自由になりたいと願えばもしかすると男性よりもより自由になれるものなのかも(ただそれは、自分がゲイで若干女性贔屓であることも影響しているかもしれない)。
    この本を読むと、まさに「今」の自分は後でどのように未来の自分に振り返られるのだろうと考えさせられる。というのは、恐らく自分が今ある種の賭けに出ているから。ああ、それを考えると楽しみなような不安なような…。

  • MOREで連載してたというコメントを読んで、なるほどと思った。合間になんとなしに読むには非常に簡易な文章で、とっつきやすい。大きな動きはないが、それがまた雑誌の中のコラムとしてはちょうど良い塩梅なのだろう。

  • 歴史に名を残した著名な女性たちの、人生の転機となった年齢とそのエピソードを綴った一冊。
    酒井さん独自のツッコミやコメントも光る。

    レディガガ、オードリー・ヘップバーン、与謝野晶子、松田聖子、金子みすゞ、清少納言、ダイアナ元イギリス皇太子妃、キュリー夫人、アガサクリスティー、持統天皇、ベアトリクスポター・・・
    など、時代、国、ジャンルを超えて、実に様々な女性たちが登場。

    オードリー・ヘップバーンが実は緊張しいの自信のない性格だった、与謝野晶子のパワフル過ぎる行動力、金子みすゞの薄幸な人生、2度もノーベル賞を獲ったキュリー夫人の娘もノーベル賞を獲っていた、ベアトリクスポターは絵本作家だけでなく農場主でもあり結婚しながら両親の介護もした凄腕女性だった・・・など、私の知らなかったエピソードも沢山知ることが出来た。

    清少納言は1000歳年上の友だち、とあり、そのエッセイの能力と中宮の女房としてキャリアを積んだ行動力を絶賛するところが、中でも面白かったかな。

    小学生や中学生でも、この酒井さんの筆力なら歴史を楽しく学ぶ事が出来そう!と感じた。

  • 持統天皇からレディ・ガガまで、古今東西の女性の生き様。金子みすゞが特に印象に残った。

  • 「負け犬の遠吠え」の著者、酒井順子氏による、27人の女性たちの転機となった年齢と、何があってどう変わったかをまとめた本。もとは女性誌に寄稿していた文章らしい。現在の有名人から平安時代までさかのぼり、いろいろなタイプの女性たちだが、共通するのは仕事を持っていたということだろう。誰もが知っている人ばかりだ。
    女性の活躍が珍しかった時代に新しいことを始めた人、女子高出身やお嬢様だからこその大胆さ、生涯で何度も結婚した人や一生独身だった人など。一人一人の説明が短いので、すぐに読める。もうすでに知っていることもたくさんあったが、それでもそれなりに楽しめた。
    究極のフェミニスト酒井さんからの、女性たちに贈るエールであり、彼女自身を鼓舞している面もある。

  • 平成最後の日の読書がこちら。古今東西の有名女性27人にフォーカスしたエッセイ集。評伝のようにも読める。個人的に印象に残ったのは山口百恵さん、向田邦子、松田聖子、マーガレット・サッチャー、市川房枝だ。山口百恵さんの項は古くて新しい毅然とした女の生き方が切りとられており、さわやかに胸に響いた。どの女性たちにも、共感と愛情を持った筆致が素敵だった。軽く読めるし、おすすめです。酒井さんの本は軽くも重くも読めるのが魅力なんだと思う。

  • 過去の人物、たとえばキュリー夫人などは伝記さながら、へえ、という感じで読めましたが、現代のガガや聖子ちゃん辺りは著者の感じ方と自分の感じ方が違う部分がもどかしく、だんだんイライラしてきました。かといえば、持統天皇の項なんかは歴史の教科書に書いてあるようなことしか記述がなく、酒井さんにはそういうのを求めてないんだけどなー、、、と全然楽しめませんでした。あと、選挙の話で、「それともめんどくさい、わかんないと棄権するでしょうか」的な文章がひっかかりました。読者を馬鹿にしないで頂きたい。

  • サラッと読めた。アガサ・クリスティの話が特に良かった。

  • 人には転機と言われる年齢がある。
    この本は国内外の著名人、女性に特化して
    27人の人生の転機と言われる年齢にスポットを当てながら、その方の人生を振り返っていく。
    古くは、持統天皇からレディガガまで…
    本当に幅広くかつチョイスが素晴らしいなぁと。
    ポイントなのは、あくまでも転機としている年齢は、本人ではなく著者自身が、その方の人生について調べた結果感じた年齢であるということ。
    恥ずかしながら初めて知った方もいましたし、
    名前は存じ上げてはいたけど、まさかこんな生い立ちとは…と感じた人。
    本当に興味深い内容でした。
    気になった方は、思わずググってしまったり。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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