南海の翼 長宗我部元親正伝 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087451344

作品紹介・あらすじ

戦国時代。土佐の名門・長宗我部家の若き当主・元親は、戦のない世を目指して四国統一へ邁進する。しかし四国にも信長、秀吉の脅威が迫り……。名家の興隆と滅亡を描く本格歴史長編。(解説/末國善己)

感想・レビュー・書評

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  • 読んだ後かなしくなるお話。
    おとうさんコケたら家コケたって言う。
     ■ ■ ■ ■ ■ 
    『器』ってなんだろなぁ。
    その大きさは最初っから決められたものなのか
    作られていくものなのか。
     ■ ■ ■ ■ ■ 
    この本、
    おとこのひとは壊してばかりで
    おんなのひとに甘えてばかり。
    もちょっとしゃんとできんもんかのぅ。

  • 父と子の物語。切なすぎる晩年。長宗我部元親は、長男信親を失ってからの壊れ方が武田信玄や伊達政宗などと一線を画す人間的弱さが特徴。その辺りの描き方がいい。

  • (2023/03/06読了分)ミネルヴァ書房の「長宗我部元親・盛親」、「黒南風のうた 蜷川道標と長宗我部元親」、「戦国武将列伝 10 四国編」を読んだのを気に再読。大坂冬の陣を前に、長宗我部盛親が久武親直から長宗我部元親の治世を語り聞く、という構成。民を豊かにするため、国を平和にするために、土佐統一、四国統一を目指してやぶれ、いつしか覇道に堕ちて心が壊れていった長宗我部元親、その闇の仕事を一手に引き受けた久武親直(表の能吏にして裏の忍びの頭目)という設定。実弟島弥九郎は阿波の海部氏に討たれたのではなく、元親に命じられた久武親直が討った。本能寺の変の前に光秀に謀反をうながした。本能寺の変は光秀と秀吉の出来レースだったが光秀は秀吉に裏切られた。戸次川の戦いは秀吉の命令で長宗我部元親・信親親子と十河存保を殺すための戦いだった、現に逃げた仙石秀久はのちに許されている。久武親信が、私が死んだ後も親直を重く用いるなと言ったのは、国のためにならぬという意味ではなく、親直を慮ってのこと。といったところが作者なりの解釈なり特色だったのかな、と。元親から信長へは、いずれ盟約など簡単にやぶると覚めた見方。十河存保から元親へは、どう考えても勝てぬ戦に敢然と挑むと聞き、見事な決断と感じ。蜷川道標は法制定にあたる官吏といった描かれ方。我が子親和の最後の叫び「最早誰も父上のことなど尊敬しておりません」。豊臣徳川の手切れを心待ちにし、その乱に乗じてふたたび四国を統一しようと考え果たせなかった元親。盛親の「父は、夢に近づけば近づくほどに絶望を深めていった」という述懐が苦い。(2014/01/01読了分)戦国時代、四国統一を目前に、秀吉の軍門にくだり、期待していた優秀な長男信親を戸次川の戦いで失い、壊れてしまった長宗我部元親の物語。どう描いても、スッキリと一筋縄ではいかない。毒殺、暗殺、謀略を張り巡らし、またそれらの汚れ仕事を久武親直に采配させ、四国では領土を拡大していくも、結局は、中央の軍にはかなわず、理不尽な九州への出陣で、自分が捨て駒にされていることを知り、息子を奪われ、息子の血を残すことのみ考えて家中を乱し、関ヶ原前に乱を予感し、ひとたび事が起こった場合の構想を楽しみに練っていたところで病に倒れた、と描かれる。己の才を恃むも、どうあがいても一番にはなれない、自負と苦み。

  • 「土佐の出来人」と呼ばれた長宗我部元親について、ただ、家族のためをと思いながら時代の荒波に翻弄される姿が描かれており、非凡な才覚がありながらも、些細な歪みでうまくことが運ばなくなってしまう姿が非常に引き込まれた。

  • 長宗我部元親の話。とても良かった!元親と共に夢を見、野望を見、そして、共に苦しんだ時間だった。
    天野さんの中で、一、二を争う、良い作品。

    どんなことがあろうと、子どもに先立たれるのは、耐えられそうにない……

  • 長宗我部元親が嫡男信親を亡くしてからの晩節の変遷など、単なる歴史小説ではなく、人生ドラマとして読み応え充分なものに仕上がっている。
    本能寺の変での秀吉の関わり方など、真実味があり大変に面白い。
    久しぶりに読み応えある歴史小説に出会えた気分。

  • 後輩との語らいの中で「長宗我部を書いてみたいけど『夏草の賦』を超えるのは大変だろうな」という話題が出たことがあります。超えてきた作品がここにあった、というのが一読しての感想でした。

  • 大坂の陣前夜、久武親直が長宗我部盛親にかたった、これまでのこと。
    四国の覇者、長宗我部元親とその一族の、隆盛と衰退をえがく。
    若々しく、幸せだった元親と久武親直の世界が、すこしずつ歯車を狂わせていく。
    さいしょはあんなにも魅力的で明るかったのに、どんどん救いがなくなってきて、やるせない。
    そんななか、はっきりと物を言う、たくましい女子たちが、すがすがしかった。
    四国から見た、信長や秀吉ら中央の動き、という視点も新鮮だった。

  • 土佐の中の争いで立ちはだかる、豪傑の安芸国虎、四国統一の戦いで立ちはだかる、智勇兼ね備えた十河存保との戦いというような中盤までの面白さ…息子の信親の討死を巡るサスペンス…心の平衡を崩した元親の下で発生する暗闘…「最後に目指した大望」に手を掛けることが適わずに世を去る様…何か引き込まれる物語だ…

    とにかくも、夢中になってしまった物語だった…或いは「不幸な英傑」の一代記だが…「それぞれの不幸」がどのようなものだったのか?是非、本書を紐解いてみて頂きたい…

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著者プロフィール

天野純希
1979年生まれ、愛知県名古屋市出身。愛知大学文学部史学科卒業後、2007年に「桃山ビート・トライブ」で第20回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年『破天の剣』で第19回中山義秀文学賞を受賞。近著に『雑賀のいくさ姫』『有楽斎の戦』『信長嫌い』『燕雀の夢』など。

「2023年 『猛き朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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