BAD KIDS (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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本棚登録 : 337
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087444421

作品紹介・あらすじ

年上の写真家との関係に傷つく都が被写体に選んだのは、同性の親友に惹かれ葛藤する隆之で……。等身大の18歳を描く不朽の青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 大好き!!

    私まじで都と隆之と同い年だから余計に「今」!!読めて良かった。大好き。

    この人の本を読むのは初めてだったけど、すごく良かった。
    正直本屋であらすじと装丁見て衝動買いしただけだったから、ここまで良いお話だとは思わなかった ありがとう。

    胸が痛い。
    マジで胸が痛い。
    私が彼らと同い年なのもあって、すごい……他人事とは思えないくらい感情移入してしまった。
    なんか静かで素敵な文章とか雰囲気なんだけど、だからこそかなしさがひしひしと伝わってくるというか、言葉を尽くして語ったりはしないのにすごく伝わってくるというか。
    めちゃくちゃ入り込んじゃう感じがある。
    なんか「浸透」してくる作品だった

    隆之と都の関係性がいい。
    それなりにやることはやってるんだけど、すごくフラットで、お互いを思いやっている感じ。
    性愛とは違うけど、お互い大切な存在で、愛なんだなと思う。二人が過ごしてる時間ってそんなにたくさんあるわけじゃないと思うけど、関係性の濃密さみたいなものがちゃんと伝わってくるのすごいな。

    最後のほう、隆之が宏樹に嘘つくのマジで泣けた。
    ここでも相手のことを思いやるなんて優しすぎるだろ……隆之……隆之が今までどんな気持ちでいたのかわかってんのかよ……。宏樹のこと「おおらか」って評する隆之どんだけ優しいんだよ。
    「おおらか」っていうか鈍感だろ。友達って思ってるのお前だけだよ宏樹!!!!おい!!!

    いけない、感情的になってしまった。

    「俺がいるじゃないか。お前のこと一番よくわかってんのは俺だろ?」
    ここつらい。
    一番わかってるのに、なんでほかの女のことしか見てないんだろう。おれじゃだめなのか?っていう……。
    だめなんだよなぁ。
    だめなんだよ……。


    北崎とかいう男。ひどい。ずるい。
    なんでそんな人をかき回すようなことばかり言うんだろう?
    けど結局好きでいるのやめられないのもわかる。
    あんな男に振り回される自分がバカみたいなこともわかってるけど、やっぱりどうしても体レベルで勝手に反応しちゃうんだろうな。
    北崎も都に惹かれてるってこと、隆之はわかってたけど都はわかるわけないよね?
    あんな意地悪な態度とられてさ!

    これからどうなるんだろう。
    北崎、本当にずるい男だよ。
    けどいるんだよなあこういう人。


    光輝さんも良かった。やさしい。読んでる最中、彼のピアノが聴こえてくるような気がしました。
    けど彼の恋人嫉妬深すぎて笑う。
    情熱の国スペイン。
    フェルナンド・バンデスだっけ?
    サブキャラも面白みがあって可愛いのが魅力やね。

    最後の終わり方もめちゃくちゃ良かったな。
    ピアノの音で静かにやさしく物語が終わるのが良かった。その空間が目に浮かぶような、まるでそこの空気が流れ込んでくるような、とにかく素敵な場面で、なんだかたまらない気持ちになった。
    最後の終わり方だけで100点満点から200点満点に加点してしまう小説だったな。本当に大好きな結末。

    この結末、冷静になったら都の子供とかの問題がなにも解決してないんだけどやっぱりすごく好きだ。
    傷つくこともあったしこれからのことはわからないけど、今はとりあえず穏やかに眠っててね、みたいなやさしさを感じるラスト。
    シビアな悩みを抱えてる子供たちに対しての、実にこの物語らしいアンサーだったように感じた。

    読み終わった後、ベートーヴェンの悲愴を聴きながらちょっと泣いた。うまく言えないけど、読めてよかった。本当に好きだ。

  • 表紙に惹かれて購入。1994に初出した物語とは思えないほど今の世の中にも当てはまる物語。世間ではタブーとされてきた恋愛や性の多様性についても考えるきっかけに。

    好きになったのがたまたま異性だった。
    二分の一の確率。

  • 平積みにされていたから新刊だと思って買った。

    同性に恋をしたから変態なんてことない。とか好きになった相手が男か女かなんて二分の一の確率だ、とかほざく主人公に対し、

    正直「LGBTQに対する一般論を偉そうに語る女が出てくるな・・・」とか思いながら読み進めていた。飽きてきて、携帯で本書を調べてみると1994年の小説だと出てきて驚いた。

    まだ、今のような認識がなかった頃に、当たり前のこととしてそれを書いていたこと、それを語る主人公が周囲から変人として見られていたことに時代の変化を感じられて面白かった。

  • 自分とは全く違う青春恋愛小説。若い時読んだら感じ方も違ったんだろうな。

  • あなたが男(女)だから好きなのではない。あなただから好きなのだ。素敵な言葉だと思う。
    途中、昔の恋人が忘れられない響子に対して、現恋人である宏樹は、それを許せないと発言するが、これではいけない。そういうもの丸ごと全て愛してあげないと。
    結局、「かわいいから好き」とか「かっこいいから好き」というのは、「男(女)だから好き」というのと変わらない。相手を属性でしか判断していない。属性で判断した相手は代替可能である。一方、「あなただから好き」というのは代替不可能なのだ。相手を丸ごと愛せる心を持ちたい。

  • 新装版ということで、これは再読しなければ!と思い読みました。高校生の頃読んだ時より、今読んだ方が第1章がセンセーショナルに感じました。青春小説という言葉は不似合いな感じがします。

  • これを青春って言葉で括ってほしくないな
    同性を好きになって悩む人は年齢問わずいるよ

  • 「放蕩記」「夜明けまで1マイル」に続き、著者の作品を読むのは三冊目。
    三度目の正直じゃないが、これら三冊を読んで、遅ればせながらようやく分かった。
    著者の本とオレとは、どうやらあまり相性が良くないらしい。
    特に、前回読んだ「夜明けまで1マイル」と今回読んだ本作の2作は、読み終えた後の印象が非常に似通っていた。一言で云うなら「物語としては破綻なく上手く書けているようだが、なんかひどく薄っぺらい」。別の言い方をするなら「映画化やドラマ化を前提に手堅く書かれた習作」。そしてめでたく著者の企図通りに映画化、ドラマ化された暁には、オレ自身はちっとも観たいと思わないストーリー。そんな感じ。
    中には時々「はっ」とするほど鋭く美しい表現や描写もある。確かに文章も巧い。
    しかし、そうした技巧が、必ずしも物語そのものの説得力や魅力を際立たせていない。何処かちぐはぐな印象が否めない。
    でもまあこれは、あくまで一読者との相性もしくは好き嫌いの問題であって、著者の小説家としての力量や価値を云々するものでは決してあり得ないのだが。

  • どことなく爽やかで、でも艶めかしくて。
    主人公2人というか、出てくる人物全てが魅力的だった。面白かった。

  • 確かに瑞々しい!ピアノの曲全部調べちゃったし、なんなら聴きながら読んで捗ったな。どうなる北崎。柔らかくて、穏やかな愛情みたいなのを感じられる関係性でよかったな。

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著者プロフィール

村山由佳
1964年、東京都生まれ。立教大学卒。93年『天使の卵――エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。09年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞をトリプル受賞。『風よ あらしよ』で吉川英治文学賞受賞。著書多数。近著に『雪のなまえ』『星屑』がある。Twitter公式アカウント @yukamurayama710

「2022年 『ロマンチック・ポルノグラフィー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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