彼女たちの場合は 上 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087443707

作品紹介・あらすじ

「これは家出ではないので心配しないでね」
14歳と17歳。ニューヨークの郊外に住むいとこ同士の礼那と逸佳は、ある秋の日、二人きりで“アメリカを見る"旅に出た。日本の高校を自主退学した逸佳は“ノー(いやだ)"ばかりの人生で、“見る"ことだけが唯一“イエス"だったから。
ボストン、メインビーチズ、マンチェスター、クリーヴランド……長距離バスやアムトラックを乗り継ぎ、二人の旅は続いてゆく――。
美しい風景と愛すべき人々、そして「あの日の自分」に出逢える長編小説。

【著者略歴】
江國香織(えくに・かおり)
1964年東京都生まれ。
2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で第15回山本周五郎賞
04年『号泣する準備はできていた』で第130回直木賞
07年『がらくた』で第14回島清恋愛文学賞
10年『真昼なのに昏い部屋』で第5回中央公論文芸賞
12年「犬とハモニカ」で第38回川端康成文学賞
15年『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』で第51回谷崎潤一郎賞を受賞。
著書に『きらきらひかる』『左岸』『抱擁、あるいはライスには塩を』
『はだかんぼうたち』『なかなか暮れない夏の夕暮れ』ほか多数。
小説のほか童話、詩、エッセイ、翻訳など幅広い分野で活躍している。

感想・レビュー・書評

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  • 14歳の礼那と、従姉の17歳の逸佳は、「これは家出ではないので心配しないでね。」という書き置きを残して旅に出た。
    ここはアメリカ東部ニューヨーク。
    すでに新学期が始まった10月に、バスでボストンへ向かう2人。

    読書家の礼那は、『ホテル・ニュー・ハンプシャー』に出てくる熊の名前「ステイト・オ・メイン!」と叫びます。(彼女の中では“了解”という意味。)
    そして、布の袋からノートを出して、日記のようなものを書いています。
    とても素直で可愛らしい…。
    逸佳は、バスで出会った編み物男に思いを寄せていたり…。
    海辺でバドミントンに夢中になったり…。
    ヒッチハイクやバスや鉄道で続いていく二人だけのロードノベル。
    ハラハラドキドキの連続です。
    自転車に惹かれたおばあさんを助けて、シカゴに行く予定がとんだ事態に巻き込まれ、おまけに親たちにクレジットカードを止められてしまい、この先旅はどうなるのか。

    江國さんの、まるで翻訳されたような文章がとても素敵です。

  • m.cafeさんのレビューを読んで、それに惹かれて買ってみた。アメリカを旅するというのにそそられました。

    家には『これは家出ではないので心配しないでね。電話もするし、手紙も書きます。旅が終わったら帰ります』という書置きを残して、従姉妹二人で“アメリカを見る”旅にでた礼那(14歳)と逸佳(17歳)。
    長距離バスと鉄道とヒッチハイクで、まずはニューヨークからボストン、ポートランド、マンチェスター。
    細かなアメリカの地理が頭に入っていないので、Google Mapで探しながら読んだけど、一度メイン州に行ってからニューハンプシャー州に戻ったわけね。
    海辺で遊んだり、買い物したり、観光したり、どうってことないことばかりだけれど、それが彼女らにとっては“すごいこと”なのかと微笑ましく読んだ。

    だけども、逸佳にとっては“ノー(いやだ)”ばかりの人生で“見る”ことだけが唯一“イエス”だった、という説明はあったけど、彼女らが何を見たいのか、何に突き動かされて旅に出たのか、いまいち分からないため、話が進むに連れてちょっとモヤッと。
    親からもらったクレジットカードでホテルに泊まり買い物をするのもなんだかなという気がするし、ヒッチハイクで危ない目にもあっても致命的なことには至らず、出会う人たちはおしなべて良い人で、その緩さにもう少し緊張感が欲しいとも思う。

    再びボストンからシカゴに向かう予定が、途中のクリーヴランドで交通事故に遭ったおばあちゃんを助けて足止めを喰らい、そこに逸佳の父がカードを止めてしまったために、食い扶持稼ぐために行き先がナッシュヴィルに変更となった。下巻では物語はどう転んでいくのだろうか。
    礼那と逸佳のそれぞれの両親の反応の違いが興味深く、その中でとりわけ礼那の母の変化が気になる。

  • 昔の作品かと思いきや、ワンダイレクションが出てきたりLINEが出てきたりと割と最近の(とは言っても十年ほどは前)話なのね。
    江國作品の中ではより現実的ではあるものの、私にとってはやはり絵の中に描いた女の子のお話。

    私もどこか白鳥の気品を漂わせるような、残り香を漂わせるような、江國作品に出てくる女の子になりたいな。

  • また会うんだからって言うところ、すき。
    私もグッバイを言うのは苦手。

  • 感想は下巻にまとめて。

  • いつのまにか彼女たちと一緒に旅している自分がいました。
    旅の日常と彼女たちの心の声がリアルで心地良い。
    難しいことは考えずに旅気分でのんびり読める一冊。

  • あぁー あぶなっかしい。14歳と17歳ですって⁉️
    なにが起こってしまうの?と読み進めていけました。
    私の大好きな作家の江國さん。どんなロードノベルになるのかしら?
    ドキドキしながら、怜那と逸佳と一緒に旅していきます。
    行ったことのないアメリカ地を、観光地ではない普段のアメリカの街を見たような気がしました。
    こんな旅をしてみたいです。

  • 一緒にアメリカを旅してる気分になる。
    少しヒヤヒヤする場面もあるけど大半は旅が意外といい感じに進んで14歳と17歳ということを忘れそうになる。

  • ロード・ノベル。旅って何だろう。
    アメリカの色んな町の描写が美しい。いつもどおりとても静かな筆致。やっぱりnashvilleがいいなあ。
    セントルイスの「西部の入り口」アーチは見てみたい。
    NY~東部は寒いのだ、すごく。温度のわかる小説は良い小説だと思う。もちろん匂いも。
    礼那ちゃんの父はしょーもないのに礼那ちゃんはいい子。

  • 姉妹と一緒に旅してる気分。
    れーな可愛いんだろうなぁ。
    本当だったらめちゃくちゃ危なっかしい出来事で、
    れーなの親の反応は間違ってないんだけど、
    この本の中では彼らだけが浮いてる。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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