鏡の背面 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (656ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087442434

作品紹介・あらすじ

聖母が死んだ。

薬物や性暴力によって心的外傷を負った女性たちのシェルター「新アグネス寮」で発生した火災。「先生」こと小野尚子は取り残された薬物中毒の女性と赤ん坊を助けるために死亡。スタッフがあまりにふさわしい最期を悼むなか、警察から衝撃の事実が告げられる。

「小野尚子」として死んだ遺体は、まったくの別人だった。
スタッフ中富優紀は、ライター山崎知佳とともに、すべての始まり、「1994年」に何が起こったのかを調べ始め、かつて「女」を追っていた記者にたどり着く。

老舗出版社の社長令嬢、さる皇族の后候補となったこともある優しく、高潔な「聖母」の正体とは……。

一方、指導者を失ったシェルター内では、じわじわと不協和音が……。

疑念渦巻く女の園、傑作長編サスペンス。

【著者略歴】
篠田 節子(しのだ せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。97年『ゴサインタン』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、09年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞を受賞。著書に『夏の災厄』、『インコは戻ってきたか』、『夜のジンファンデル』『長女たち』など多数。

感想・レビュー・書評

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  • 古本屋が好きです。
    こう言うと、「著者に還元されないので本屋で買うべき」と、お叱りを受けそうですが、好きなんです。
    この本はなんだろう?
    ああ、この作者のものを一度読んでみたかったんだ。
    なんだこのタイトルは?
    などなど、玉石混合の宝箱を開けているような気分になって楽しいです。
    売れ筋を押している書店とは違うラインナップが楽しめて、しかも、実際に手に取って見ることができます。
    とはいえ、最近は某チェーン店の古本屋ばかりで個性が無くて寂しいですが……。
     
    本書もなんとなく入った古本屋で、なんとなく手に取った一冊。
    篠田節子さん。
    恥ずかしながら、知らない作家さんでした。
    聞いたことある過去の作品は「女たちのジハード」で直木賞受賞。
    知っているような、知らないような……。
    「鏡の背面」という意味深なタイトル。
    600ページを超える長編サスペンス。
    なにより裏表紙のあらすじに惹かれました。

    薬物やDV などで社会的弱者となり居場所を失くしてしまった女性たちの最後の受け皿であるシェルター。
    そこで「先生」と慕われていた日本のマザーテレサというべき女性が、事故によって焼死。
    しかし、その女性は検視の結果まったくの別人と判明する。
    いったい誰が? 何故? いつから?
     
    怖かったです。
    むかし読んだ宮部みゆきさんの「火車」を彷彿させるようなサスペンス。
    主要登場人物は女性ばかりですが、ただ一人の主要男性キャラの長嶋が良い味出してます。
    やはり男性と女性は違う生き物なんだなぁと、妙に感心しました。
    600ページを超える長さですが、あまり長さを感じずに読了。
    ただひとつ残念なのは、あとになれば必ず出てくるだろうと思われた、意味深な言葉を残して共に焼死した盲目の看護婦スタッフの話が、ほとんど出なかったこと。
    そのスタッフ目線の話が欲しかったな。
    とはいえ、掘り出し物でした。
    吉川英治文学賞受賞作。
    こういう意外な出会いがあるから古本屋の散策は楽しい。

    • 本ぶらさん
      この本、ハードカバーの頃からずっと読みたかったんですよー。
      古本で(安く?)買えたなんてうらやましいです。

      篠田節子は、結構昔からの...
      この本、ハードカバーの頃からずっと読みたかったんですよー。
      古本で(安く?)買えたなんてうらやましいです。

      篠田節子は、結構昔からのファンで。
      サイン会に行ったことがある、唯一の作家だったりします。
      とか言って、最近はご無沙汰してるんですけどね(^^ゞ
      2021/11/13
    • 土瓶さん
      本ぶらさん。コメントありがとうございます。

      サイン会!
      小生(?)恥ずかしながら、サイン会未体験です。
      好きな作家さんはもちろんいますし...
      本ぶらさん。コメントありがとうございます。

      サイン会!
      小生(?)恥ずかしながら、サイン会未体験です。
      好きな作家さんはもちろんいますし、書店で催しているサイン会を横目で見ながら、目を伏せて足早に、逃げるようにその場を去ったこともあります。

      いや~、なんか苦手で。

      変な言い方ですが、私にとって、素晴らしい小説とは、人の創作物であって欲しくないのです。
      なにかしらの神的な存在が造り上げたものであって欲しい。
      バカみたいですよねー(笑)
      ですから作家さんの実物を見たくはないのです。
      ネットでも見ません。
      本の著者近影は指で隠します。
      テレビにたまたま出ていたときは、慌ててチャンネルを変えます。
      でも、好きな作家さん、お気に入りの作家さんもいる。
      完全矛盾を楽しんでます(笑)

      ちなみに、つまらなかった作品の著者は、人間として脳内で認定されます。
      最近はとみに人間の作家さんが多くて……いやいや、失礼。

      なにかサイン会や、それに参加してサインしてもらった人を否定しているみたいに感じられたならごめんなさい。
      これはひとえに私の奇妙な癖であって、健全にサイン会を楽しめる人たちが羨ましいのです。

      なにかダラダラとつまらないことを書いてしまいました。

      本ぶらさん。
      本当にコメントありがとうございました。
      これに懲りずに、また気が向いたらお願いします。
      喜びます。

      長くなりましたが最後に。

      サイン会バンザーイ\(^o^)/
      2021/11/14
  • 久々の篠田節子。
    ブクログの本棚見たら、『ブラックボックス』以来だ。

    篠田節子は、一時期すごく好きで。
    唯一サイン会に並んだことがある作家だったりするんだけどw、最近はちょっと縁遠くなっている。
    読めば面白いのはわかっているんだけど、「純文学以外だったら(ジャンルは)何と言われてもいい」と言っていた頃と比べて、エンタメ度がやや下がっちゃったというか、重々しさが強くなっちゃって、ちょっと辛気臭さがあるって言ったらいいのかなー(^^ゞ

    そんなわけで、これも300ページちょっと前くらいまではイマイチで。
    死んだその人が別人だった。じゃぁ生前のその人は誰?、みたいな話は大好きなので。これはハードカバーが出た時から狙ってたくらいなのに、なぁ~んかイマイチ話にのれない。
    同じ説明を繰り返すのが2回くらいあったりで、あれー、篠田節子、文章書くのヘタになった?なんて(^^;

    ただ、300ページ前後辺りかなー。
    長島の原稿の後半辺りから、少しづつ面白くなり始めて。
    さらに知佳がフィリピンに行ってから、いきなり歯車が噛み合ったみたいに面白くなった。
    タハウという場所の風景の描写がすごくいいんだよねー。
    その光景が、強烈な日差しの中にパァーっと浮かんでくる。
    “なんだかんだ言っても、私たちは物も金も持っているんだよね。なのにすごく貧乏で辛いと思っている。どうにもならなくてお酒や薬や暴力や、ありとあらゆるものに追い詰められているし、自分を追い込んだりもしている。写真の子供たちの目を見て、私たちは感激して言葉もなくなった”
    というのは、もう一人の主人公(というよりはミステリー小説で言う狂言回し?)優紀が、知佳がタハウの町から送ってきた添付された町の写真を見てメールで語っていたことなんだけど。
    それって、日本のような豊かな国の人が発展途上国の貧しいけど明るい子供たちを見て言う定番の感想とはいえ、妙にハッとさせられる。
    もちろん、それはこの物語のストーリーに直接関わっていることではないのだけれど、でも、終盤、この話の影の主人公である半田明美の手記(のようなもの)を読んでいると、妙に重なるものがあるような?
    篠田節子は、物語の中で必ずなにかしら世間が普通に当たり前と思っていることに対して耳の痛い指摘をしてくる作家なのだが、この話は裏テーマとしてそれを読者に投げかけているような気がする。



    注! 以下、結末に触れています

    後半の、半田明美の手記ともいえないワープロの文章がもう圧巻!
    自分の過去をつづった後、「。」を打たずに、「半田明美 昭和30年生まれ 半田明美千葉県成田市で生まれた 半田明美」と“ランダムに繰り返されページを埋め尽くしていた”の件は、思わずゾワっとする(^^;
    解説に、「意外と自己意識はもろいもの。仮面をかぶり、演技して見せる外側と、内面、本質の線引きは人間のメカニズム中で切り分けにくい。我々は意思、情動、記憶などで行動するわけですが、行動すると必ずフィードバックがある。それによって人間の内面は容易に変わっていくことを書いてみたかった」という著者のインタビューがあるが、自分が変わっていくことを、一人その部屋で必死に抗っている半田明美のその様まざまざと浮かんできて、鬼気迫るものがあるのだ。

    前に、TVで若年性認知症を発症した人の奥さんが、それを疑いつつ暮らしてた時にが奥さんに隠れて自分の名前を何百回と書き連ねていたノートを発見したというのを見た時、その人の恐怖が伝わってきて。
    「うわっ!」と呟いちゃった後、背筋にゾワ~っときたことがあるが、ほぼ、それと一緒。

    さらに、「私、半田明美には夢があった。(中略)チッチとサリーみたいにずっと好きあって暮らすこと。道隆はサリーそっくりだった。(中略)私、半田明美は、チッチになる」の件もリアルで怖い。
    例の京王線のジョーカー男とか、ハルマゲドンとか言ってたオウムとか。
    狂気の向こう側にいっちゃったような人っていうのは、心の奥にそういう気味の悪い幼稚なピュアさを持っていて。それを自らの善悪の規範として、心の拠り所にしている……
    そういうことなんだろうなぁーと思った。


    最後に。
    半田明美は、自分が小野尚子になりきるために、その蔵書をも読むわけだが、この話の狂言回し役の知佳もそれを実際にやってみる。
    その1週間後、知佳は一つの感想を持つのだが、それが以下。
    「夏休みの小学生ならいざ知らず。いい大人が本ばかり読んでいると、やはり日常や現実から心が離れてしまってしまうようだ」
    いや、もう、大爆笑(^^;
    その他、知佳とともに狂言回し役である優紀が、施設内で心霊現象的なことが続いた後に思う言葉(正しくは小説上の文章)。
    「知佳の運んでくる外の空気と外の常識が優紀には必要だった」

    ていうか、中盤出てくる、いかにもな心霊現象(?)に、やっぱり篠田節子は怪談好きなんだなぁーって。
    久しぶりに、『文藝百物語』で語っていた篠田怪談を読んでみたくなった。

    いやはや…。
    さすが、篠田節子!
    恐れ入りましたm(_ _)m

  • 心的外傷を負った女性たちが暮らす施設が火事に。
    「先生」と慕われるマザーテレサのような小野尚子が死亡した。しかし、遺体は別人だった。
    果たして死者は誰なのか。ミステリアスな冒頭から引き込まれ、文庫本641頁もアッという間。
    施設代表の優紀とフリーライターの知佳が、「先生」は誰だったのか、本当の小野尚子はどこにと、真相を明かすべく行動を開始する。
    そして、小野尚子とは全く異なる生き方をしてきた人物が浮上する。
    「人の視覚はカメラと違う。像の中に思いを重ね合わせ、寮の人々は愛情と喪失と悲哀のフィルターを通して」人物を見るというが、果たして異なる顔が同一人物に見えるのだろうか。
    さらに、別人格の人間が他人にどこまで同化できるのか。
    しかし、そんな疑問も緻密な物語構成によって、違和感なく納得できてしまう。
    別人物になり得ることを、著者は題名ともなっている鏡で説明する。
    鏡の部屋で見たのは、「正面の鏡に映った自分の姿が背後の鏡にさらに映り込み、無限の像を結ぶ。混乱の中に見えるのは増殖する自意識か、自己と他者の境界の消滅か」と。
    「心霊現象とは関わりなく、人は自分でない他人になってしまうことがある」
    我々の自我など、思っているよりも脆いものだと、この小説は明かしてくれる。

  • ぐふぁ〜‼︎ 凄いなぁ、篠田さん。641ページ、かなり長いです。壮絶な、息苦しくなる話でしたが、早く早く先を教えて!って思いながら読みました。読み応えたっぷりです。

    この作品、沢山の要素がある。
    アルコールや薬物依存、性依存、自傷行為といった問題を抱える女性たち。その救済のための施設や関わる人々の現実。悪女、毒婦と言われる女たちの犯罪。苦しむ人につけ込む霊感商法。フィリピンの貧困、麻薬の実態。などなど…全て緻密に描かれている。

    しかし、なんといっても、私が興味深かったのは『人が人を認識する』ということの、あやふやさ!
    私の好きなマンガ「秘密」(清水玲子)にもあったけど、
    『人の見ているものは、その人の感情によって明らかに違う』ということなのです。顔さえも違って見える。

    また、見かけだけでなく、その人がどんな性格で、どんな心持ちだったか、周りに対して、どんな人物だったかという感覚や評価というのも、受け取る人によって、まるで違う、ということ。

    今作の中でも、ルポライターの長島が取材して書いた長い文章、それを読んだ知佳と優紀の受け止め方がまるで違ったところも印象的でした。

    その人がどう生きてるか、何を考えているか、それを他人が推し量ることって、難しいし、永遠にわからないのかもしれないなぁ…なんて考えながら読みました。

    ネタバレしたくないので結論には触れませんが、長島の男らしい言い方だと、あまりに身も蓋もない。ある意味、優紀の直感は冴えていたとも言えるが、それが全てではなかった。

    何十年にもわたる、長い長い旅をしたような気分で読み終えたのでした‼︎

    心に残ったフレーズを、少し。
    ーーーーーー

    生まれ直すことはできないけど、生き直すことはできる。

    悲痛な口調に背筋が強ばった。複雑な家庭も、貧困も、家庭内暴力も、知らずに育った自分に見えていないものが、優紀には見えている。

    憎しみを抱いていても、利害関係が鋭く対立していても、好意を示し表面的な友好関係を維持しなければ、食っていくこともままならない過酷な大人の世界に放り込まれる前に、苗床のような環境で、同世代の女同士、ぶつかり合い、励まし合い、傷つけ合い、生身で触れ合い、自分の感情や関係性を処理するための一通りのトレーニングを積むことができた。

    信仰など持っていなくても、人は正しく生きていけますよ。自分の意思と判断力で誘惑になど負けずに生きていけます。

    自我など普通に思っている以上に脆いものかもしれない。

    光は天からなど刺してこない。光は深い深い穴の底のあらゆる不幸の詰まった、泥の底から刺してきて、神の存在を教えてくれる。救いは低いところにこそある。…行動したとき必ず、神様は後押ししてくれる。黙ってお祈りしていてもだめ。なぜなら神様は一番下の、下の、穴の底のあらゆる不幸の詰まった、泥の下にいて、こんな私たちの闘いを見守ってくれているから。

  • やっぱり篠田節子さんは凄いわ。作品のスケールがとにかくデカい。それでいながら、細部は蟻の子一匹侵入を許さないような細やかさで、緻密に物語を構成、進行させる。一気読み必至のホームラン的快作。
    女性たちが抱える数々の傷や問題、宗教、救済、時にカルトなど、尋常ではまとめ切れないほどのエピソードをひとつの鍋で煮込み、最後は素晴らしい料理に仕立て上げる。今作でも存分に発揮された、その力量と胆力、見識の広さに瞠目するばかり。
    ぜひ多くの読者に、篠田節子の作品を読んでほしい。その宇宙の坩堝を覗いて、ともにシノダー(篠田節子さんのファン)になりましょう(笑)……というのは冗談にしても、読んだら高確率でハマる作家さんだと思います。

  • 『火車』『鍵のかかった男』のように、「あの人は誰だったのか?」に迫る物語が好きなので読んでみた。
    すごい話。連続殺人犯かもしれないと判明して話にのめり込み、心霊オチになったら投げ捨てようかとも思ったがあっさり持ち直し、ちゃんと整合性のある結末に落ち着いた。本筋の成り代わりだけでなく、周りの社会からあぶれてしまう女性の描写も、それだけで1冊書けるほど重厚。
    小野尚子に侵食される過程は自我そのものを打ち消される衝撃だっただろうと想像する。ちょっと騙して、あとは金を持って逃げるつもりだった。そのために人智を超えた努力をしたばかりに彼女は別人になってしまった。自分を取り戻そうと鏡を見ても、そこに映るのは徹底的に似せた小野尚子。そのために買った鏡なのだから、小野尚子しか映らない。そうして半田明美はいなくなる。
    けれどおそらく、半田明美だったからこそみんなに愛され慕われる「小野先生」になることができた。小野尚子のままなら、フィリピン政府と闘う方向に行って大きな思想を抱えて倒れたかもしれない。もとは上流階級なのだから、きっと闘う相手も上級を選んだ。でも半田明美は、アグネス寮の女性の立場が分かる。小野尚子よりもずっと深く共感できる。小野尚子の「救いたい」という上から目線かつ慈愛に満ちた思いが、女性たちに心から共鳴できる半田明美を乗っ取って「小野先生」ができた。成り代わったのは半田明美、最後に乗っ取ったのは小野尚子。やっぱりすごい話。

    • 本ぶらさん
      はじめまして。

      >「あの人は誰だったのか?」に迫る物語が好きなので
      自分もそういう話が好きなんです。
      『鍵のかかった男』読んでみます。
      教...
      はじめまして。

      >「あの人は誰だったのか?」に迫る物語が好きなので
      自分もそういう話が好きなんです。
      『鍵のかかった男』読んでみます。
      教えていただきありがとうございます。
      ちなみに、ビル・S.バリンジャーの『煙で描いた肖像画』。
      ちょっと古い本ですけど、面白いですよ。
      2022/02/23
    • えーとさん
      >>本ぶらさん
      初めまして。コメントありがとうございます。

      周りにはあまりいないので、同じ好みの方がいて嬉しいです。
      『鍵のかかった男』も...
      >>本ぶらさん
      初めまして。コメントありがとうございます。

      周りにはあまりいないので、同じ好みの方がいて嬉しいです。
      『鍵のかかった男』も分厚いですがとても面白いので是非読んでみてください。
      私も『煙で描いた肖像画』探してみます。こちらこそ紹介していただきありがとうございます。
      2022/02/23
  • 600ページ。3分の1くらいで挫折。

  • 『聖母』と『毒婦』の評価を行き来する長い長い検証作業を読み進める中で、そうであってほしい、いやそんなわけない、と自分の中でも二転三転する人物像。疲れるのに読み進めざるを得ない筆力に圧倒される。
    読了後、ふと、ここまで長い必要があったのか?という疑問が湧き、でもどこをどう割愛出来るのか?と考えても答えは浮かばない。
    内面であるはずの『良心』とは、外面である言動を真似ることで獲得できるものなのか?
    不思議な物語に出会った。

  • シェルターで訳あり女性に寄り添い、聖母のように崇められてた女性が亡くなり、実は悪魔のような別人がなりすましていたことが判明。存命時にその人柄に触れていた記者とシェルターの職員か真相を探るミステリー。大きく左右に振られる展開に目が回る感じ。人物観を右に左に簡単に誘導される自分が呆気なく騙されるタイプであることを再認識した。後半の種明かしはやっつけ感を覚えつつも、心から人を信じて寄り添う行動が、寄り添われる人も寄り添う人も救うのだなと、勝手に腹落ちはした。

  • 読み応えあった。社会派小説家。一度、心を病むと人はなかなかその病から解放されることはない。また、心の動きが人を差配する。難しいテーマをとても丁寧な書き振りで読み手を引っ張っていく。また読んでみたい小説家。

全38件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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