これが「日本の民主主義」! (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社
3.55
  • (2)
  • (16)
  • (10)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 140
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087442106

作品紹介・あらすじ

安保条約、TPP、税、原発政策など、様々な角度から、政治の変遷を振り返り、「日本の民主主義はどうあるべきか」を思考する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 一般論として民主主義を説明したものでなく、テーマごとに戦後の日本の政治の変遷を振り返っている。
    「日本の」民主主義(?)の姿を知った上で今後のことを考えようという趣旨です。

    取り上げているテーマは、

    ・日米安保条約から安保関連法
     安保反対の学生運動、沖縄返還、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラクへの自衛隊派遣、
     普天間基地の辺野古移設、憲法違反の「集団的自衛権」容認の強行可決、立憲主義の軽視

    ・食とTPP
     アメリカでの小麦大豊作と学校給食へのパン食導入、日本での米余りと減反政策、
     貿易の自由化、牛肉・オレンジの輸入枠撤廃、GATTからWTOへ、TPP断固反対の公約無視

    ・原発政策
     読売新聞と日本テレビを利用した「原子力の平和利用」キャンペーン、
     スリーマイル島原発・チェルノブイリ原発・東海村放射線漏れの事故、福島第一原発事故、
     原発行政と天下り、使用済み核燃料の処理方法先延ばし、原発再稼働基準の曖昧さ

    ・税制の変遷と消費税
     建設業界・自動車業界と政治家・官僚との癒着、電気料金への税金上乗せ、赤字国債、
     「特別な事情」の時のみ許された赤字国債発行の常態化、消費税導入、消費税引き上げ

    ・政治とメディア
     権力による「放送表現の自由」への介入、メディアを利用した小泉純一郎・橋下徹、
     メディアに細かく介入する安倍晋三、国家秘密の取材を規制する特定秘密保護法の施行

    ・連立政権
     組む相手を選ばない連携、日本新党・細川護熙連立政権、自社さ連立政権、自公連立政権


    最後に、付録的に戦後の首相を順に紹介しており、功績と人物像が分かるようになっている。
    各首相を、内政力、外交力、演説力、指導力について5段階評価しているのが面白い。
    池上がオール5をつけたのは、田中角栄と小泉純一郎の二人だけだった。
    1点足りないのは、吉田茂、池田勇人、大平正芳、中曾根康弘。

    戦後日本の政治は、アメリカの言いなりのようだ。特に安保条約の影響が大きいのですね。
    特に安倍政権はまさに「アーミテージ・ナイ・レポート」の要求項目どおりに動いていることに驚いた。

    本書を読んでいると、日本の「民主主義」は権力者の「ご都合主義」に駆逐されつつある危険を感じる。

  • 日本の民主主義の変遷について解説した本。
    その時々では関心が高くても、時間の経過とともに記憶からも薄れがちな政策について、体系的に説明されていて、参考になった。

  • 難しかった…
    辛口なコメントが多かったかな。
    政治に興味があるひとが読むことをお勧めします

  • 具体的なテーマをケーススタディとした、日本の民主主義に関する評論。
    具体的なテーマは次のとおり。
    1. 日米安保条約から安保関連法まで
    2. 日本の食とTPP
    3. 日本の原発政策
    4. 税制の変遷と消費税
    5. 政治とメディア
    6. 五五年体制以後の連立政権
    7. これからの日本の民主主義
    随所に「これもまた「日本の民主主義」なのです。」、「日本の民主主義はどの程度なのでしょうか。」という語り口がちりばめられており、現在の日本の政治形態に対する問題意識を現した評論集である。特に岸信介、安倍晋三に対する論述は非常に批判的で、何が問題かが分かりやすく指摘されている。
    民主主義を実践するには、日ごろの習慣まで浸透した政治への関心が求められ、それを目指すには日本はまだまだ道半ばだし、そのための教育も未熟である様子が浮き上がってくるように思う。

  • 戦後の日本の政治を分かりやすくまとめた本

  • こんな切り口の本があるのかと興味深く読んだ。理解には程遠いけどね。巻末の総理大臣の評価、在任の年も書いてあったら本文と照らし合わせながら参照できたのになーと薄学な私は思いました

  • 2023年3月号

  • 安保条約、TPP、原発政策…。池上彰氏が、様々な角度から政治の変遷を振り返り、「日本の民主主義はどうあるべきか」を思考する。

    第1章 日米安保条約から安保関連法まで
    第2章 日本の食とTPP
    第3章 日本の原発政策
    第4章 税制の変遷と消費税
    第5章 政治とメディア
    第6章 五五年体制以後の連立政権
    第7章 これからの日本の民主主義

  • 揺れる東京オリンピックを目前に、読んでみたら意外と面白かった1冊。池上さんの戦後歴代首相の評価や辛口なコメントもあって、知っている首相のところだけ読んでも、高校生でも案外共感できるかも?


    [NDC]312.1
    [情報入手先]自校図書館
    [テーマ]令和3年第2回度美作地区司書部会/フリーテーマ

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池上彰の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×