黒王妃 (集英社文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (528ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087441109

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  • 16世紀フランス、アンリ二世の王妃カトリーヌ・ドゥ・メディシスの物語。
    夫を支え、息子が王になってからもカトリックとプロテスタントが対立する国の舵取りに関わったやり手の女性。抑えていても、要所要所ですごい存在感なのが伝わってきた。
    彼女の目線だと、フランスの歴史も戦争ばかりが目立ってはいない。宮廷での立ち位置や母としての思いなどが、時々挟まれる回想から窺い知れて面白かった。
    それに、夫の愛妾であるディアーヌ・ドゥ・ポワティエとの戦いが凄まじい。
    戴冠式での振る舞いにはちょっと唖然としてしまった。そこまでやるか。女同士、怖すぎる。
    対して、騎馬槍試合では胸がすっとした。

  • 余りにも有名なカトリーヌ・ドゥ・メディティスの物語。
    歴史とは奇なるもの。
    店屋の娘と蔑まされてきた、彼女の物語は、面白かった。
    真の女王となるまでの長い道。そして、母であるからこその苦悩。
    悪女と言われるのも仕方ないだろう。
    だか、悪女上等と読み終えた時に思うのです。

  • 3.8

  • 第三者視点とカトリーヌ・ド・メディシス視点(心の声)とが交互に描写され、文庫版500頁ものながらぐいぐい読める。宗教戦争という名の権力闘争、血なまぐさい虐殺、しかし淡々とした文体からエグさはない。佐藤さんには是非「アンリ4世」の小説を上梓して頂き、アンリだらけのこの時代の面白さを伝えてほしい。

  • メディチ家からフランスのブルボン朝王家に嫁ぎ、アンリ2世の王妃となったカトリーヌ・ドゥ・メディシスの話。
    順風満帆とはほど遠いフランスでの生活であっただろうが、
    彼女には尊敬の念しかない。
    イタリアの先進文化をフランスにもたらし、芸術を広め、守り、現代に続くファッションの礎を築いた。
    アンリ2世の死後、長男のフランソワ2世、3男のシャルル9世の王母として国を守り、新旧徒(カトリック・プロテスタント)間の宥和を願っていた。

    忍耐の女性、決断の女性、実行の女性である。

  • やはり佐藤賢一氏は小説のほうがいいな。テンプル騎士団の新書はいまいち面白くなかったけれど、こちらは血なまぐさい歴史の流れを当事者の目線で実によく描写していて、小説ってやっぱり面白いなと思わせてくれる。それにしても、世に争いのタネは尽きないのだなあこの当時から。

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著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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