ニッポン巡礼 (集英社新書)

  • 集英社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087211467

作品紹介・あらすじ

白洲正子に『かくれ里』という著作がある。
その文筆に動かされた著者は、知る人ぞ知る現代の「かくれ里」=隠された本物の場所を求めて旅に出る。
ひっそりとした寺社、山間の集落、海沿いの棚田、離島の原生林、城下町の白壁、断崖に囲まれた自然の入り江──。
人が密集する著名な観光地ではない。
SNSで話題を呼ぶスポットでもない。
そんな場所にこそ、日本の魅力が隠されている。
滞日40年を超える著者が、自らの足で回った全国津々浦々の「かくれ里」から厳選した10カ所を“こっそりと"紹介する。

【目次】
1 日吉大社、慈眼堂、石山寺(滋賀県)
2 羽後町田代、阿仁根子(秋田県)
3 能登半島(石川県)
4 八頭町、智頭町(鳥取県)
5 奄美大島(鹿児島県)
6 萩(山口県)
7 三井寺(滋賀県)
8 南会津(福島県)
9 青ヶ島(東京都)
10 三浦半島(神奈川県)

【著者プロフィール】
アレックス・カー
東洋文化研究者。1952年、米国生まれ。イェール大学日本学部卒業。
在学中に慶應義塾大学国際センターで日本語研修。77年から京都府亀岡市に居を構え、書や古典演劇、古美術など日本文化の研究に励む。
景観と古民家再生のコンサルティングも行い、徳島県祖谷、長崎県小値賀町などで滞在型観光事業を営む。
著書に『ニッポン景観論』(集英社新書)、『美しき日本の残像』(朝日文庫、94年新潮学芸賞)、『観光亡国論』(清野由美と共著、中公新書ラクレ)など。

感想・レビュー・書評

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  • 観光地化されていない地方を巡り紹介している。

    派手な看板もなく、場所によってはアクセスが困難だが、棚田だったり、集落だったり、素朴な美しさが目をひくが、著者が紹介することにより、人が殺到し、今見ているこの景観が失われるのではないかと危惧する矛盾を抱えている。

    観光客が来やすいように開発すると、そこにあった美しさが損なわれ、かつては観光地だったが、今はただ廃れた場所になったということは多い。
    1日の観光客の人数制限や完全予約制を取り入れたりといった方策を取らなければ、自然や景観や、地元の人々の暮らしを守ることはできないのではないかと考えさせられた。

  •  白洲正子の文筆「かくれ里」(1971年)に魅せられた東洋文化研究者、アレックス・カー(米人)が、ひっそりとした寺社、山間の集落、海沿いの棚田などを巡り、日本の隠された魅力を紹介した本。「ニッポン巡礼」、2020.12発行。能登半島「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」、鳥取県智頭町「板井原集落」、萩「東光寺」、滋賀県「三井寺」、南会津「大内宿」など。

  • 著者は日本人以上に日本を愛している方です。
    そして誰よりも日本を憂いています。特に観光
    に関わる点においてです。

    オーバーツーリズム、大規模開発、景観問題
    など、日本人が見過ごしている問題に対して
    強い危機感を抱えています。

    一方でまだその危機が幸いにも及んでいない
    場所には、敬愛の念を隠しません。

    この本では、そういったまだ観光地化されて
    いない場所を訪れたルポです。

    しかしそうなると、これから人が押し寄せて
    しまうのでは?と誰もが思うでしょう。

    著者もその矛盾を抱えながら旅を続けていま
    す。

    そして1971年「かくれ里」を著した白洲正子
    さんの言葉を引用しています。

    「人が知らないところは、人に知らせたいし
    知らせるとたちまち汚されてしまうのは、ま
    まならぬ世の中だと思う」

    本当は行って欲しくない場所を巡る一冊です。

  • 知る人ぞ知る「かくれ里」を巡り、紹介する紀行文。
    1、日吉大社、慈眼堂、石山寺
    2、羽後町田代、阿仁根子
    3、能登半島
    4、八頭町、智頭町
    5、奄美大島
    6、萩
    7、三井寺
    8、南会津
    9、青ヶ島
    10、三浦半島
    3、8、10以外はなじみがなかった。
    訪問を今後の楽しみにしたい。
    文章のインパクトはやや弱め。

  • 滋賀、秋田、能登半島、鳥取、奄美大島、萩など著名ではないが、知る人ぞ知る「かくれ里」を巡る。米国生まれの東洋文化研究者の視点が新鮮に映る。

  • 有り S291/カ/20 棚:13

  • <目次>
    第1章  日吉大社・慈眼堂・石山寺(滋賀県)
    第2章  羽後町田代・阿仁根子(秋田県)
    第3章  能登半島(石川県)
    第4章  八頭町・智頭町(島根県)
    第5章  奄美大島(鹿児島県)
    第6章  萩(山口県)
    第7章  三井寺(滋賀県)
    第8章  南会津(福島県)
    第9章  青ヶ島(東京都)
    第10章  三浦半島(神奈川県)

    <内容>
    東洋文化研究者で、徳島県の祖谷や長崎県小値賀島に滞在型の古民家宿を経営しているイギリス人。彼の「隠れ里」探しの旅の記録。著者の人生の話も出てくる。われわれ日本人が気づいていない、日本のよさを教えてくれる。圃場整備が進んでいない棚田。ブルーシートで屋根や田畑が覆われていない、茅葺や杮葺きの村、寺、神社。近代の杉が意図的に植林され、放棄された山ではなく、いわゆる里山(これとて原生林ではない。近くの村人がかつて管理していた林)。そこに美しさを見出す。高度成長期に日本人が陥っていた、駆け足の「物見遊山」ではなく、その地域の自然を文化をじっくりと愛でる旅。これからの社会で必要なのは、稼ぐために、どこでも同じ金目のものを作り(駐車場や土産物屋)、乱暴に管理し(木の枝は「ごみ」を出すから伐採するとか)、荒らしていくのではなく、”今そこにある状態”をゆっくりと眺める旅、観光なのだろう。

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著者プロフィール

1952年米国メリーランド生まれ。1964年に初来日し、1966年まで父の仕事の関係で横浜の米軍基地に住む。1974年エール大学日本学部卒業。日本学を専攻、学士号(最優秀)取得。1972~73年まで慶應義塾大学国際センターでロータリー奨学生として日本語研修。1974~77年、英国オックスフォード大学ベイリオル・カレッジでローズ奨学生として中国学を専攻。学士号、修士号を取得。著書に、『美しき日本の残像』(新潮社学芸賞)、『ニッポン景観論』などがある。日本の魅力を広く知らしめる活動を展開中。

「2017年 『犬と鬼 知られざる日本の肖像』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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