- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087210521
作品紹介・あらすじ
『方丈記私記』『ゴヤ』などで知られる作家・堀田善衞。縁のある作家、学者が、その魅力を語る。一流の創作者たちが、こぞって堀田作品を愛読するのは何故か? 現代に通じるメッセージを読み解く。
感想・レビュー・書評
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堀田善衛は何冊か読んでいたが、この堀田善衛の魅力を伝える紹介本を読んで改めて他の作品も読みたくなった。5人の作家や学者による紹介文も彼の魅力をよく伝えているが、終章の「堀田善衛のことば」は直接に彼の考えが伝わるので非常に参考になる。
「おれは、人が生きることに賛成なのだ。」『路上の人』より
「納得できない場合には、未決のままにしておかなければならない。」『ミッシェル 城館の人』より詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2018.12―読了
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堀田善衛さん自身の小説を読む上での格好の入門書。人生訓としても貴重。
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恥ずかしながら堀田善衞さんを知りませんでした。この本をきっかけに、その後、堀田さんの本を色々読み、こんなすごい人がいたんだと驚きました。良い出会いを与えてくれます。
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2021/7/2(金)夜読了。honto電子書籍にて。
堀田善衞という人の著作は読んだことはない私ですが、
本書は、堀田さんに興味を持ち、理解を深め、堀田さんの著作を読みたくなるのに十分な内容です。
(なんで本書を読むことになったかきっかけは忘れましたが、どこかで紹介されていたんでしょうかね。)
著作物は、著作物そのものの内容が命ですが、著者の人格が評判が良いものであれば、著作物の価値はきっとさらに上がる、そんなことを感じさせる複数人による人物評の数々です。 -
冒頭「『方丈記私記』は一九七一年、堀田善衛五三歳の時に出版された。」
末尾「日暮れて道なお遠し。」
先日から齋藤美奈子氏の『名作うしろ読み』を読んでおり、冒頭が有名な作品は多いけど末尾の文章ってあまり気にしてなかったかも、自分も記録してみるかと思い今回から書いてみる。実用書とかをどうするかは決めていない。
さて堀田善衛。本を読むようになってから、宮崎駿を一つの道しるべにしてきた。「宮崎駿が影響を受けた日本人作家といえば司馬遼太郎と堀田善衛は欠かせない」ということはこれまで読んだ本で知っていたけど、『方丈記私記』、『ゴヤ』が代表作って「何が専門の人なんだろう?」という感じだった。正直、自分たちの世代では司馬遼太郎に比べてあまり知名度がないと思う。
堀田善衛さんは日本が戦争に突き進んでいく時代に青年期を生き、その体験が作品に影響している。藤原定家も鴨長明もゴヤも内乱に生きた人物である。堀田さんの手にかかれば歴史と現在がパッとつながる。ソ連崩壊と大化の改新の共通点。歴史を知って現代の世界を見るとはこのこと。
知識だけでなく実際の行動もとった方。海外から日本を眺める視点も持った方。
この本を一冊読んだくらいでは広大な世界観をのぞき見した程度だと思うけど、どんな人なのか多少は理解ができたかな。まずは一冊何か読んでみたい。やっぱり『方丈記私記』かな。 -
堀田善衛という人は「インドで考えたこと」ぐらいしか知らなかった。「広場の孤独」「方丈記私記」「ゴヤ」「定家明月記私抄」「めぐりあいし人びと」など、脱走米兵を匿うベ平連の活動、南京虐殺事件への関心、ゴヤへの関心も反戦から…。ゴヤが描いた死が迫っていることへの恐怖に怯える眼をした犬の絵に関する解説は驚き。堀田がゴヤに惹き込まれていった原因はそこにあるという。「何万人ではない、一人ひとりが死んだのだ。この二つの数え方のあいだには、戦争と平和ほどの差がある。」との南京事件を取り上げた「時間」の文章も凄い!宮崎駿が映画にしたかった作品!堀田氏のキリスト教嫌いが想像できる一方で、「伝道者の書」の引用がたびたび行われていたことは興味深かった。