- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087208863
作品紹介・あらすじ
猛威を振るうポピュリズムは「愚民」の暴走なのか? 答えは否。「グローバル化=進歩」という欺瞞のもと自己利益拡大に走るエリート層への反乱だ。グローバル化からの脱却と、国民経済再構築への道を説く。
感想・レビュー・書評
-
リーマンショック以降、グローバル化が経済停滞に与える影響が明確になり、保護主義的な措置を取る国が増えた。安価な労働者や生産物の煽りを受けるのは内需を頼る生産者だ。外交、安全保障体制さえ強国の論理で日米同盟も欺瞞である。グローバル化への違和感は、ジョセフ・スティグリッツ、エマニュエル・トッドさえ言及。しかし、グローバル化が悪者なのか、そう単純な話ではないはずだろう。
本格的なグローバリズムがもし無かったら。日本で言えば、それは鎖国状態の持続。帝国主義の強引な要求に迫られ、結局、主導権を失う形でスタートしたのが今の日本のグローバル化。主導権争いにより、グローバル化が有利にも不利にもなるという話だ。輸出入のコントロールで自国産業を保護できるなら対外取引がは悪者にならない。また、同一国内でも受益者が異なりレントシーカーが生まれる。自ず一部で損する人も発生する。
江戸時代は良かったと主張する政治家がいる。鎖国に耐え切る事が出来ぬのは、国防上自明。自衛隊の解釈論以上に核保有如何が議論を左右する。つまり、グローバリズムは国防、経済ともに主導権を持ち、他国を意のままに搾取出来れば良いというゲームだが、核なき日本は国防上は必ずしも好条件にはならず、経済も外圧に左右され易い。戦後の経済回復はマヤカシや偶然。メッキが剥がれ失われた30年こそリアルなのだろう。
喧嘩を仕掛けられ、過剰防衛。こいつは危険だと保護観察下に置かれ、自虐史観の反省文。手足の筋肉も痩せ細り、ロボトミー手術で脱力した頭脳。そんな病み上がりが社会放出され、たまたま喧騒下に需要集中したフランチャイズ店の経営のように一儲けしたのが今の日本。事実を把握しないと、これは確かに悲劇である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
経済は本当に苦手なんだ。チンプンカンプンだもの。それでも本書は
対談集なので、読みやすかったのが救いだ。
小泉政権時代から日本は規制緩和だの、既得権益の打破だの、新自由
主義だのを標榜して来た。それに付随するのがグローバル化。グロー
バリズムを信奉しないと「時代遅れ」の烙印を押されるようになった。
でも、それは本当に素晴らしいことなんだろうかとは思ってのだよね。
「いいのか、これで」と実感したのはTPPだ。アメリカにトランプ大統領
が誕生して交渉自体は頓挫しているが、ただでさえ食糧自給率が低い
日本がアメリカから輸入される農産物に頼るようになったら、食べ物
さえ手に入らぬ時代が来るかもしれないと思った。
いつだったか、国土交通省がインフラを主体にした海外向けファンド設立
を予定しているなんてニュースもあった。インフラを海外資本に頼って
しまったら、生命線を渡すことになりはしないかと感じた。
人・金・物の流通を自由にしたEUもイギリスの離脱などで行き詰って
いやしないか?アメリカにトランプ大統領が誕生したのだって、グロー
バル化で取り残された労働者階級のエスタブリッシュメントに対する
反乱ではないのか?
結局さ、新自由主義やら、グローバル化というのは既得権益と一緒で
一部の人たちだけの懐が豊かになるだけって理解でいいのかしら。
経済オンチの私の頭では半分も理解出来ていないんだろうが、自由貿易
というのは相手があってこそで、その相手に非常事態でも起きればいっ
ぺんにぽしゃって右往左往する。だから、内需の充実こそ経済を支える
基本ってことでいいかな。金融頼みではない経済だけど。
でも、日本が今更工業国に戻れるかは疑問だな。内需拡大にしたって、
実質賃金は下がり続けているしね。 -
トランプ政権の誕生やイギリスのブレグジットを引き合いに、グローバル化の時代は終結し新しい時代が訪れるだろう、という内容。
政治や経済に精通した聡明なお二人が、ケインズやポラニーの理論を用いて現状を分析するのだが、いかんせん後出しジャンケン的な印象は否めない。散々語りつくした結論が、街の並木をきれいにしましょうとか、便所の天井を高くしましょう、ではチョット…高枝切りバサミを携帯すれば良いのでしょうか?
読後感としては、「わかったけどわからない」という感じ。 -
富国と強兵は不可分
強兵なき富国が幻想にすぎないことを、これから日本人は嫌というほど思い知らされるでしょう -
新自由主義そしてグローバルリズムの歴史的背景から振り返り、その受益者とプロパガンタを検証する。ブリグジット、トランプ大統領誕生とアンチグローバルに舵を切るアングロサクソンを尻目に未だにグローバリズムにお花畑を見ている日本についてとても考えさせられる一冊です。米国の大統領選はトランプvsサンダースとアンチグロバールの左右対決になりそうだと言うのに。。。
-
ブレクジットやトランプ政権は反グローバル化の大きな流れの一環。過去のグローバル化は大戦を招いたという歴史が示すように、揺り戻しの段階。新自由主義のエリートvs大衆、効率・画一を目指す自由市場経済vs現実的政治、影響が大きい日本なのにまだその全段階に留まっている。
自分も結構、グローバリズム教に染まっていたなということが自覚できました。 -
アジアのリーダーシップをとれるような常識を手離してしまった日本。長期的な投資と若い人を育てゆく心、何事も長い目で育てる心が古きよき日本をとりもどせるのかなとおもいました。
-
グローバリズムに傾倒している世の中、とりわけ日本に対して警鐘を鳴らし続けておられるお二人方の対談形式の書籍。
「我々は、まず国家という共同体があって、それが完成すると次にグローバリゼーションの段階に進むという単純な歴史観に捉われがちです」
アメリカの保護主義、EU離脱は歴史的にみても必然であり、日本はこの後どうすべきかを論じておられます。
自分の頭で考えないと、物事の本質を見失うことを痛感させられます。