吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207910

作品紹介・あらすじ

19〜20世紀のイギリスで爆発的な人気を誇り『吾輩は猫である』に登場する絵葉書の挿絵画家でもあった、ルイス・ウェイン。日本では殆ど目にすることのできない貴重なイラストと共に彼の半生を辿る。

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと怖いムードもありますが
    全盛期の絵よりも
    私は 万華鏡猫のほうが好きですよ

    擬人化している猫は
    背景の人間のこっけいさが
    面白いですが
    猫の魅力としては
    どうかな と思います
    猫は猫で 美しいですから

    でも この時代は
    圧倒的に犬に人気があったので
    猫に注目が集まったのは
    素晴らしい功績ですよね

  • ロンドン郊外に精神疾患の治療の一環で取り入れたアート作品や治療の歴史などを展示している博物館「ベスレム こころの博物館(Bethlem Museum of the Mind)」と 「ベスレム ギャラリー(Bethlem Gallery)」がある。
    これらは世界最古の精神病者の保護施設、王立ベスレム病院(Bethlem Royal Hospital)によって運営されており、広大な病院敷地内に設置されている。
    初期の精神病院の実態は監獄と変わらず、患者を見世物扱いであった。「ベスレム心の博物館」では、こうした精神疾患への対処の歴史が詳細に語られおり、更に「ベスレム ギャラリー(Bethlem Gallery)」では精神疾患の患者の絵画などを展示してある。
    展示されている絵画作品の中にはジョンソン英国首相の母シャーロット・ジョンソン-ウォール(Charlotte Johnson-Wahl)の作品や挿絵や絵はがきの動物絵描きとして売れっ子だったルイス・ウェイン(Louis Wain)の作品もある。ルイス・ウェインについては彼の人生やその時代を詳しく描いた『吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝』南條竹則 著 がその理解の助けになった。

    ● 英国の実証に基づく健康政策
    ● 王立ベスレム病院(Bethlem Royal Hospital)を訪れる
    ● 精神疾患の治療の歴史がわかる資料館、ベスレム心の博物館(Bethlem Museum of the Mind)
    ● 王立ベスレム病院の絵画たち、『吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝』を読む

    現在のベスレムは最新の治療が受けられる病院となっている。今回訪れた「ベスレム・ギャラリー」もその活動のひとつである。入院している精神疾患の患者の絵画などを展示しており、あわせて精神の病とはどのようなものか、を精神疾患への社会の見立ての歴史と共にわかりやすく解説している。

    ベスレム・ギャラリーが所蔵するもっとも有名な画はルイス・ウェイン(Louis Wain)のものだろう。ルイス・ウェインは、ベスレムの入院患者であった画家であり、ここにも数点が展示され、彼の作品はミュージアムグッズのアイコンにもなっている。

    挿絵や絵はがきの動物絵描きとして売れっ子だった彼は、晩年に精神の病に冒され、貧民病院に押し込められてしまった。そこで、彼の実績を知る金持ちが支援し、ベスレムに転院させたらしい。お金を出して転院させたということは、この頃のベスレムは優良な病院のひとつになっていたのだろう。そして、ウェインは院内で気兼ねなく猫の画を描きまくるのである。

    ルイス・ウェインの作風が病の進行と共に変わる様が『吾輩は猫画家である ルイス・ウェイン伝』南條竹則 著 で紹介されている。猫の顔がだんだん抽象的になり、微細でカラフルな草間彌生の画風のようになってきている。この作風の変化を病と結びつけることに異論はあるようだが、こういった変遷もベスレムでは研究対象になったようだ。

    詳細はコチラから↓
    https://jtaniguchi.com/bethlem-gallery-museum-mind-louis-wain/

  • クリッとした目、二足歩行で人間みたいな動作をする表情豊かな猫の絵。
    どこかで見た事はありつつも作者についてはほぼ何も知らなかった。

    この本はルイス・ウェインの生涯と画家としての事績が豊富な図版と共に記述された人物伝。

    画家としての成功は比較的早く(たぶん)、20代の後半から30代に入る頃にはピークに達していた。この成功と雑誌の興隆・葉書文化の発達とは密接な関係にあったようだ。

    が、残念ながら当時は版権という考え方が希薄だった為、作品数と名声の割に収入は安定せず、やがて困窮に喘ぐ事となる。

    55歳の時、妹のひとりが亡くなった事が引き金になり心に変調をきたしてしまう。

    そういった状態で描いた猫の絵「万華鏡猫」にはかなり衝撃を受けた。

    一方で、晩年の絵はイラストレーターだった母の影響が現れた素敵なものだと思う。
    彼が作り上げてきたもの、受け取ってきたものの穏やかな総決算のような。



    1刷
    2021.5.4

    2021.5.5 一部修正

  • 久々に寝ずに読める楽しい本に出会えました!猫が好きなので。
    ウェインの可愛らしい奇妙な猫たちのイラストが多くカラーで紹介されています。19-20世紀の英国に精通した著者による、当時の社会背景の解説も読み応えがあります。個人的には、アルハンブラ宮殿を猫の楽園として描いたものに愛着を持ちました。

  • 統合失調症にかかり、抽象的な不思議な猫の絵を描いた猫画家の人生を辿りながら見る、ほぼ猫の作品集。
    この人の「万華鏡猫」を見て精神医学と心理学について学びたい!と思っていたのを思い出し購入。

    惜しむらくは何点かの絵が本の「のど」間際に印刷されていること。新書やからページそんなに開けません…泣
    それでもこの値段!ルイス・ウェインについてこんなにまとまってるのに安い!久々に嬉しいお買い物でした。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689940

    19〜20世紀のイギリスで爆発的な人気を誇る画家。
    日本ではほとんど目にすることのできない貴重なイラストと共に、彼の半生を辿る。

    2021年にはベネディクト・カンバーバッチがルイス・ウェイン役で映画化。
    (『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』)

  • ルイス・ウェインの描くネコってなんかこう・・・かわいだけじゃないんだよな・・・。
    いや統合失調症患う前からなんかこう・・・毒はあるよね・・・??

    一番のお気に入りだった妹が病死したのが発症のキッカケっていうの、こう言っちゃいけないとは思うがエモさが凄い。

  • およそ2/3が絵か絵+文のページなので画集と思った方がいい。

  • 読友さんのつぶやきで存在を知った本。先日読んだ『ねこの絵集』という本にも作品がいくつか取り上げられていて、猫を擬人化した漫画っぽい絵が印象に残っていたルイス・ウェイン。漱石先生と同時代の人で、『吾輩は猫である』に出てきた絵葉書の猫絵もこの人のものだったみたいで驚いた。「未来派のマスコット猫」という猫の陶器までデザインしていて面白い。

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著者プロフィール

1958年東京都生まれ。作家、翻訳家。著書に『酒仙』(新潮社)、『怪奇三昧』(小学館)、『ゴーストリイ・フォークロア』(KADOKAWA)、訳書に『英国怪談珠玉集』(国書刊行会)、アーサー・マッケン『輝く金字塔』(国書刊行会)、M・R・ジェイムズ『消えた心臓/マグヌス伯爵』(光文社古典新訳文庫)、M・P・シール『紫の雲』(アトリエサード)、H・P・ラヴクラフト『インスマスの影』(新潮文庫)などがある。

「2022年 『手招く美女 怪奇小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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