ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
3.93
  • (7)
  • (11)
  • (9)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 72
感想 : 16
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087207149

作品紹介・あらすじ

ザ・タイガースは1960年代後半の音楽ブーム「グループ・サウンズ(GS)」を牽引したトップグループ。本書は沢田研二をはじめとしたメンバー達の上京から解散までの軌跡を、膨大な資料をもとに活写する。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 自分は彼らの活動ピーク時に生まれた世代。とてもビタースウィートな読後感の1冊。エピローグまで読んだ後に再度プロローグの2013年の状況を読み返すと感慨深い。これは再集結に44年かかっても仕方が無いわ、と納得する一方で、傷跡は消せないまでもよく44年でここまでの深手が塞がり断絶からの歩み寄りが実現できた、と思う。
    欲を言えばもう少し彼らの「振り返り」だけでなく「現在」を読みたかった気もするが、それは現在進行形で彼らが見せて語ってくれているものを見てね、ということだと思うことにする。幸いにも読者は還暦を過ぎた彼らと同時代に生きることができているのだから。
    そして参考文献の膨大さと言うか幅広さに感服。ただラジオ番組からの引用が結構多く、そこは簡単に参照できないのが惜しい。

  • 『#ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた』

    ほぼ日書評 Day660

    ジュリーファン歴(最近はかなり怪しいが)55年にもなろうという評者にとっては、涙無くしては読めない1冊だった。

    著者の生年が1961年ということなので、本当の青春リアルタイムではない中、膨大な資料を紐解き、インタビュー記事などから歴史を再構成する姿勢は、頭が下がる。

    楽曲を動画サイトなどで確認しながら読んだため、いつもの通りこの手の本は読了に時間を要する例を重ねてしまった。

    https://amzn.to/44fPQAO

  • 音楽

  • 巻末に掲載された出典一覧を見るとめまいを起こしそうになる。文字の
    小ささも勿論だが、その量の膨大さにだ。

    昭和のグループサウンズ時代に絶大な人気を誇り、僅か4年の活動期間
    を経て解散に至ったザ・タイガース。彼らのアマチュア時代から解散から
    40年以上が過ぎての再結成までを、集められる限りの資料を元に書かれ
    たのが本書だ。

    ザ・タイガース解散後、一切の芸能活動から身を引き、高校教師として
    生きる道を選んだ瞳みのる。彼が2013年の再結成を機に記した自叙伝
    で結成から解散に至る道のりは読んでいたので大まかな事情は分かって
    いた。

    だが、本書で多く引用されているメンバーたちのその時々の発言で追って
    いくと、ビートルズやローリングストーンズのようなバンドを目指した彼らが
    芸能プロダクションに所属し、渡辺プロという組織のなかで本来目指した
    ものとは別物の「アイドル」に仕立て上げられていく過程での葛藤が理解
    出来る。

    特に失踪(日に渡辺プロによる工作と判明)・脱退となった加橋かつみの
    芸術家気質はやりたい音楽を許されず、会社に押し付けられるアイドル
    像としての活動には耐えられなかったのだろうな。ま、この人はこの人
    で少々問題もあるんじゃないかと思ったが。

    「もし」と考える。ザ・タイガースのデビューには内田裕也が深く関わって
    いた。状況当初もジャズ喫茶などで「内田裕也とザ・タイガース」として
    活動していたこともある。

    だから、「もし」渡辺プロが内田裕也をザ・タイガースから切り離さなけれ
    ば、彼らは自分たちが理想とした音楽活動を続けられたのかもしれない。
    でも、その場合、今のように絶大な人気を誇ったグループサウンズとの
    記憶は残らなかったのかもしれないけれど。

    ザ・タイガースがいた時代。彼らを取り巻いた人々や社会状況の記述も
    あって興味深い1冊だった。特に頻繁に出て来る飯倉片町のイタリアン
    レストラン「キャンティ」とオーナーの川添夫妻。これは「キャンティ」関連
    の書籍が出ているので読まなくちゃね。

    私はザ・タイガースをリアルタイムでは知らないんだよな。「さよなら日劇
    コンサート」とか同窓会コンサートでしか曲を聴いたことがない。もう少し
    早く生まれていたらあの熱狂の時代を体験できたと思うと残念だ。

    理想と現実の乖離は、同じ音楽を目指したはずの5人をバラバラにした
    んだね。でも、それぞれが還暦を過ぎて再度同じステージに立てたのは
    よかったんじゃないかな。

  • [ 内容 ]
    ザ・タイガースは1960年代後半の音楽ブーム「グループ・サウンズ(GS)」を牽引したトップグループ。
    本書は、ジュリーこと沢田研二をはじめとしたメンバー達の上京からグループ解散までの約五年にわたる全軌跡を、膨大な資料を駆使し活写する。
    ザ・タイガースの想い、苦悩、そしてあの時代がよみがえる、渾身の一冊。

    [ 目次 ]
    プロローグ ロング・グッバイのあとで
    第1章 京都から大阪へ―アイビーとビートルズ
    第2章 東京―GSブームの到来と亀裂
    第3章 東京からニューヨークへ―サイケブームのなかで
    第4章 ロンドン、パリそして京都―解散そして復活
    エピローグ 四〇年ロマンス

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 【速読】当事者のコメントを綺麗につなげ、タイガースの表層的な歴史を内側から押し出し浮き彫りにしたような印象。なのでメンバーの演奏技術等肝心な面にはほとんど言及していませんが、曲は知ってるけどバイオは…という自分のニーズにほぼ合致する内容でした。ということである程度楽曲を知ってる方向けです。青春を大スターとして過ごすというのは残酷ですね。そうして物語として語られることこそがタイガースの特異性でしょうか。

  • 60年代の日本の音楽シーン、歌謡曲はもとより、海外のコピー、GS、モダンフォーク、カレッジポップス、和製フォークと、様々な形態が玉石成混交していた。
    そのなかで、一時隆盛を極めたGSはその音楽性の低さによって自滅したともいわれる。
    タイガースもそのアイドル性、歌謡曲性に幾分反発しながらも、同時代を生きたものとしてその音楽を受け入れている自分がいた。
    この本は、時代と商業主義とファンに翻弄されながら、メンバー相互の音楽や生き方に対する個性のぶつかり合いや軋轢を抱え込みながら時代をかけぬけたタイガースの軌跡を軸として、その時代背景もかなり忠実に再現しながら再構成している。
    人は偶然に集い、思想性や音楽性を認め合い高めあいあるいは争い、そして別れていく。
    音楽に対してだけでなく、政治や思想や生き方について、タイガース44年ぶりの再結成を機に、その当時バラバラだった記憶を紡ぎ合わせ振り返るのも、決して悪いことではないだろう。
    筆者は団塊世代の一世代下ということだが、よく調べまとめられた力作だと思う。

  • GSはグループサウンズであってバンドとは違うもの、となんとなく思い込んでいましたが、タイガースは、その結成から成功、確執、解散までバンドの運命そのものをたどってました。タローとサリーの出会い、ジュリーとトッポの関係、ピーの拒絶、短い時間を駆け抜けたタイガースというバンド青春記。それは日本のポップスにとっての青春でもありました。その季節におけるキャンティのサロンとしての存在感の大きさも改めて感じました。タイガースはロックと歌謡曲、個人とバンド、戦前生まれと戦後生まれ、その狭間をもがきながら駆け抜けたからこそ、今なおスターなのだと思います。

  • 当時住んでいた家の直ぐ近くの映画館で観ました「ザ・タイガース 世界はボクらを待っている」

    集英社のPR
    「ザ・タイガースは1960年代後半の音楽ブーム「グループ・サウンズ(GS)」を牽引したトップグループ。本書は沢田研二をはじめとしたメンバー達の上京から解散までの軌跡を、膨大な資料をもとに活写する。」

  • 1960年代後半から70年代初め、一世を風靡したグループサウンズ、その中でもリーダー的存在だったザ・タイガース。そのグループの成り立ちから解散までの数年を追ったノンフィクション。
    GSは私がローティーンの頃のアイドルたちだ。グループで音楽等の芸術を追究していくと最初は皆同じ目標に向かって進んでいても、各人の成長に従って目標がだんだんずれていくことも生じるだろう。そのずれ、違いが大きくなったときどうするのか?協調できないほどの違いが生じたとき、グループとしては成立できなくなるのだろう。
    これはタイガースの成立から崩壊までを描いているが、ある意味、音楽を追究しているグループの普遍の形を描いているようにも思える。また、10代の若者たちが大人になっていく成長の物語でもある。
    以前、東京のイタリアンレストラン「キャンティ」に関する本を読んだことがある。そのモダンな文化的影響力を知った。この本「ザ・タイガース」のテーマとはそれるが、この本にも何度も登場する「キャンティ」の60〜70年代文化芸術に与えた影響の大きさに改めて驚かされた。

全16件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年、水戸市に生まれる。
「見えないものを語ろう」とする癖(へき)が高じて宗教学者に。

東京大学大学院人文科学研究科宗教学専攻博士課程中退。博士(文学)。
海外の大学の客員教授や客員研究員を歴任。
2024年現在、国際日本文化研究センター(京都)教授。
磯前プロジェクト室主宰。

著書に『近代日本の宗教言説とその系譜』〔岩波書店, 2003年〕、
『閾の思考』〔法政大学出版局, 2013年〕、
『ザ・タイガース: 世界はボクらを待っていた』〔集英社新書, 2013年〕、
『死者のざわめき』〔河出書房新社, 2015年〕、
『昭和・平成精神史』〔講談社, 2019年〕、
『公共宗教論から謎めいた他者論へ』〔春秋社, 2022年〕、
『石母田正』〔ミネルヴァ書房, 2023年〕、
『居場所のない旅をしよう』〔世界思想社, 2023年〕など。
外国語に翻訳された書物など多数。

「2024年 『生者のざわめく世界で 震災転移論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

磯前順一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×