- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784087206876
作品紹介・あらすじ
金融緩和の副作用はとてつもない! 日本経済の再生を阻害する金融緩和政策の落とし穴を見極めるために、『デフレの正体』の藻谷浩介氏ら第一線のエコノミストたちが社会哲学者と徹底的に討論する!
感想・レビュー・書評
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対談集。
藻谷浩介;「デフレの正体」著者。
河野龍太郎;BNPパリバ証券経済調査本部長。
小野善康;大阪大学社会経済研究所教授。
はじめに
第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策 藻谷浩介×萱野稔人
第2章 積極緩和の長期化がもたらす副作用 河野龍太郎×萱野稔人
第3章 お金への欲望に金融緩和は勝てない 小野善康×萱野稔人 -
金融緩和政策が思うように効かない理由が、新たな視点で解説され興味深い。大変勉強になった。
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2013年刊行の少し古い本。三人の著名エコノミストがアベノミクスの掲げる金融緩和を真っ向から否定し、その危険性を解く。
自分の理解できる範囲で、何で金融緩和が意味がないかという理由は2点)。
1.日本は人口オーナス期(現役世代が減少して高齢化社会)に入っていて、人口が減っていくところに需要は生じないというもの。需要のないところにお金をジャブジャブ注ぎ込んでもその効果は?
2.人は豊かになっていくとモノではなくお金の所有願望が強くなっていくというもの。ものが溢れている日本にお金をジャブジャブ注ぎ込んでも実際にお金がモノに変わるのか?
2番目については思いあたる節もあり目から鱗。ミニマミスト思考とか無駄を省こうとか、モノが減っていく方向への世の中の流れを感じる今日この頃。その中に企業が投資をしてモノを作っても消費されず過剰在庫に苦しむだけだろう。 -
現在、黒田日銀総裁が進めている金融緩和政策が、いかに景気浮揚にとって無力かが理解出来る本です。
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アベノミクス反対の立場から3人の論客に萱野稔人がそれぞれインタビューしたものを纏めたのが本書。3人とも主張は必ずしも同じではなく、私自身の考え方とも違うが、色々考えさせられた。
理解不足かもしれないが、藻谷浩介は、人口オーナスなんだから不況でもしょうがないと言っているように思える。最後の方で給与アップ、女性の就労促進、外国人観光客の消費促進なんて言っているが、給与アップが簡単にできれば苦労しないし、多くの女性は専業主婦志向で働かずに済むならあまり働きたいとは思っていないし、外人観光客の消費ってそんなに効果があるのだろうか。日本はデフレじゃなく、減っていく現役世代を主たる相手にした特定分野の商品の単なる値崩れで、平均物価を見ていても駄目だとするこの部分は、現実の経済を良く見ているようで興味深い。また、日本の完全失業率は先進国最低水準を維持していると指摘しているが、他方、小野善康はむしろ失業者が多いので、介護や保育や教育やインフラ整備等の雇用増大のための施策を取るべきだとしているのと好対照であるのも面白い。
小野善康は、乗数効果は存在しないとか、増税は景気に中立的だとか、経済学の教科書を普通に読んだだけでは中々ついていけない面白いことを言っている。また、サプライサイドの効率化は失業者を増やすだけで、解雇された人がより効率的な職場に移るなんて市場主義者が考えるようなことは起こらないという指摘はそのとおりだと思う。ただ、構造改革論者は、効率化を進めて生産力を増やせば需要は喚起されるというセイの法則を信奉しているのではなく、弱肉強食、富める者をさらに富ませるために単に理論武装しているだけだと思う。高齢者福祉を現物給付にするべきという主張については、実際にそんなことどうやってやるのかかなり疑問。
河野龍太郎の労働力が設備投資を決めるという指摘は興味深い。円安円高の基準についても一般に与せず、実質実効為替レートを用いて、小泉政権下での円安誘導が電機セクターの過剰ストックを招いたとする点も面白い。ただ、金融緩和は金融機関が融資ではなく国債投資に走り、結果としてクラウディングアウトを引き起こしているという主張は、銀行って最近は国債を売っているので、誤っていると思う。 -
[ 内容 ]
アベノミクスでにわかに注目をあびる金融緩和政策。
しかし、「日銀が大量にマネーを供給すれば、景気が回復する」というのは机上の空論だ。
「失われた二〇年」をもたらした本当の理由を覆い隠し、かりそめのバブルを引き起こすだけではないか。
しかも副作用の大きさは計り知れない。
国債の信用喪失に始まる金融危機、制御困難なインフレなど、さまざまなリスクを第一線のエコノミスト・経済学者らが、哲学者と徹底的に討論。
金融緩和の落とし穴を見極め、真の日本経済再生への道筋を描き出す。
[ 目次 ]
第1章 ミクロの現場を無視したリフレ政策(現実から乖離したリフレ政策;働いてお金を稼ぐ世代が減りはじめた;人口オーナスが値崩れを引き起こす ほか)
第2章 積極緩和の長期化がもたらす副作用(金融緩和反対で日銀人事案否決;需要としての設備投資;設備投資と人口動態 ほか)
第3章 お金への欲望に金融緩和は勝てない(金融緩和が効かない明白な証拠;「成熟社会」に入った日本;長期不況をはじめて説明できた小野理論 ほか)
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]