イスラム―癒しの知恵 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205763

作品紹介・あらすじ

イスラム教徒は自殺しない?イスラム教徒の実像は好戦的ではなかった。張り巡らされる癒しの知恵は、助け合いから性にまでおよぶ。我々はイスラムを、ふだん異質の文化、宗教としてしか認識していないかもしれないが、既存の価値観が崩壊しつつある今、実は彼らから学ぶべき事は多い。日本ではまったく伝えられていない、平安と癒しをもたらすムスリムのメンタリティーを学ぶと同時に、日本人の心の処方箋ともなる一冊。

感想・レビュー・書評

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  • [ 内容 ]
    イスラム教徒は自殺しない?
    イスラム教徒の実像は好戦的ではなかった。
    張り巡らされる癒しの知恵は、助け合いから性にまでおよぶ。
    我々はイスラムを、ふだん異質の文化、宗教としてしか認識していないかもしれないが、既存の価値観が崩壊しつつある今、実は彼らから学ぶべき事は多い。
    日本ではまったく伝えられていない、平安と癒しをもたらすムスリムのメンタリティーを学ぶと同時に、日本人の心の処方箋ともなる一冊。

    [ 目次 ]
    はじめに(自殺の大国)
    第1章 信じることによる癒し(イスラムにおける自殺の禁止;すべてを神にゆだねる ほか)
    第2章 行いによる癒し(信じるだけではイスラムの信仰は成立しない;イスラムは喫煙を禁止するか? ほか)
    第3章 ひとりでいるのは悪いこと(「助けて!」と叫べる社会;個の確立が求められる日本 ほか)
    終章 世俗主義の国家という不幸(イスラムの発想に学ぶ;科学と宗教 ほか)

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • タイムリーにもエジプトの革命は引用の理由も一理あるように思える。

    日本人は何かを「してもらう」のを「恥」に感じる文化があるということをベネディクトは指摘していたが、キリスト教でもイスラム教でも、貧しい者が富める者に「してもらう」ことは宗教によって当然視されている。また、お客様が家の者に「してもらう」ことも当然で、そこに返礼などは発生しないという。

    イスラムの自殺率は大変低いという話も書かれていた。自殺が宗教で禁止されているということもあるが、困っている時でも誰かに「してもらえるかも」と思うことで、追い詰められる機会も少なくなるのではないか。ちょうどリストカットの本を読んだ後だったので、双方の本から考えさせられることがあった。

  •  母のおすすめ本。日本に暮らしていると普段あまりなじみのないイスラームの考え方について(たぶん)わりと詳しく紹介してある。
     人間は弱いから規律を破ってしまうことがある、という前提で喜捨のシステムが組み込まれているというのが興味深い。「インシャアッラー(神の御心のままに)」(自分も他人も責めない)という考え方はいいなと思った。

  • 日本との対比は、具体的に異文化体験をしているようで、実に興味深かった。全体的な論調として、ややイスラム偏重の傾向性あり。

  •  人間は弱いものだという前提の下、すべてを神にゆだねるイスラムの考え方が、自殺を少なくしているという説には考えさせられた。

     イスラムについて西洋からの偏見に満ちた見方を払拭する良書だと思う。

  • 日本人が疎いイスラムについて、精神面の観点から解説した本。

    日本のような自己責任が問われ、常に努力や競争を強いられる社会とは真逆で、「ま、そういうこともある」「なるようになる」というケセラセラ的な価値観を共有しているイスラム社会。捉え方次第では若干無責任にも感じられるかもしれないが、著者が言うように、これがある種のセーフティネットになっていると思う。

    責任を追求し改善していく努力は、社会を劇的に発展させるというメリットももちろんあるし、日本が繁栄したのもそのお陰だと思う。しかし、自分を追い詰めるやり方で、精神的に疲弊している人が多いのも、自殺率が高いこともまた事実である。日本人が常に何かに癒しを求めているという指摘も納得。

    精神的な余裕がない我々にとって、心にゆとりと平安を持つイスラム的な考えから学ぶことは多いと感じた。

  • そういえばイスラムについて何も知らないなと思って手に取った。やはりここに書いてあることは知らないことばかりで、とても興味深いと同時に自分の無知を恥じた。イスラムに対する自分のイメージが、いかにメディアによって作られた偏見に基づいているかを思い知らされる一冊。これを読んだ後はイスラムの人に対する見方がガラッと変わる。

  • イスラームへの理解を深めるために手に取った。
    自殺しない、孤立させない、持てる人は喜捨や施しをすることが善行に繋がる、などなど。わかりやすい言葉と事例で、読みやすかった。
    結婚の推奨という項目は、既に中年女性となり子どもを産む可能性が低くなった自身に置き換えると、内容は理解できるが耳が痛いなと感じた。それ以外は、相互扶助や人をもてなす精神など、概ね日本人にも馴染みやすく理解しやすい。他者を助ける、喜捨するという点においては、大坂の町人文化の価値観と似たところもあるのではないかと思った次第。

  • 「2012年 POPコンテスト」

    所蔵なし

  • 2011-1-22

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著者プロフィール

1956年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科科学史・科学哲学文科卒業。社会学博士。専門は多文化共生論、現代イスラム地域研究。一橋大学教授を経て、同支社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。著書に『イスラームから世界を見る』(ちくまプリマー新書)『となりのイスラム』(ミシマ社)『外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?』(集英社)ほか多数。

「2022年 『トルコから世界を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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