妻と最期の十日間 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087205725

作品紹介・あらすじ

世界各国の紛争地域を取材してきた著者が、最愛の妻をくも膜下出血で亡くすまでの看取りの十日間を記録したノンフィクション。世界中で多くの生と死を見続けてきた著者だったが、迫りくる妻の「死」には、ただひたすら戸惑い、動揺し、取り乱すばかりだった。回復の兆しはなく、意識も戻らぬまま、脳死に陥る妻。著者は、妻の「その瞬間」までを詳細に記録することで、過酷な現実と向き合うことを選ぶ。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の桃井和馬さん(1962年生まれ)は、日本の写真家、ジャーナリスト。世界140カ国を取材し、紛争・地球環境などを題材に宗教的な文明論を展開している。第32回太陽賞受賞。

    この「太陽賞」は何かというと、

    平凡社が主催していた写真賞だが、今は休止されている。
    その理由は、賞の母体となっていた『太陽』が2000年に休刊になったためで、1999年(第36回)が最後の太陽賞。

    この本は、最愛の妻をくも膜下出血で亡くすまでの看取りの十日間を記録したノンフィクション。

  • 重い、の一言に尽きます。
    これまで予兆もほとんど無かったところに、突然の40歳の妻が倒れたとの連絡。小学六年生の娘や、両親など家族が大混乱に陥いる、、というノンフィクション。
    うちももっと備えないとな、、と思うものの、まあ大丈夫だろうとも思い、なかなか平和ボケから抜けられないですね。いざ状況に追い込まれたとしても、なるようにしかならないと思うものの、後悔はしないように生きていきたいと思います。

  • 世界各地の紛争や騒乱を冷静に見つめ語る姿勢と、十日間の苦悩との対比がいっそうの喪失感を誘う。心の準備をする時間を与えられることは、つらいばかりではないらしい。

  • 某所読書会課題図書.くも膜下出血で突然倒れた妻 綾子の看病する夫の状況を綴った物語だが、かなり冷静に事態を見つめて対処していることは素晴らしいと感じた.見舞客の対応に苦労する場面はあったが、周りの人のサポートや医療関係者の適切な対応で苦しい事態を乗り越えられたように思う.今のところ、このような修羅場の経験はないが、いつ発生するかはわからないだけに、冷静な気持ちを持つことを心がけよう.

  • 突然くも膜下出血で倒れた妻が、意識を取り戻さないまま亡くなるまでの10日間。ジャーナリストである著者の性(さが)か、克明に記録された内容。そしてもちろんそれだけでは片付けることのできない衝撃、慟哭、喪失感。けれどそれらを凌駕し、本書を読んで一番感じたのは愛というものの存在だった。

  • 昨日友人と「死」について話しており、シンクロして手に取る。大切な家族が死に直面したとき、わたしはどう思い、動くだろうか。

  • [ 内容 ]
    世界各国の紛争地域を取材してきた著者が、最愛の妻をくも膜下出血で亡くすまでの看取りの十日間を記録したノンフィクション。
    世界中で多くの生と死を見続けてきた著者だったが、迫りくる妻の「死」には、ただひたすら戸惑い、動揺し、取り乱すばかりだった。
    回復の兆しはなく、意識も戻らぬまま、脳死に陥る妻。
    著者は、妻の「その瞬間」までを詳細に記録することで、過酷な現実と向き合うことを選ぶ。

    [ 目次 ]
    第1章 突然の知らせ
    第2章 延命
    第3章 家族旅行
    第4章 日記
    第5章 病床の聖餐式
    第6章 目の前の事実
    第7章 不安
    第8章 鳴り始めたアラーム
    第9章 二人だけの時間
    第10章 桜舞う夜に

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 桃井和馬著「妻と最後の十日間」集英社新書(2010)
    *妻はたくさんの思い出を残してくれた。それだけではなく、私に1つのチエをも授けてくれた。人は試練を受け続ける。しかし、乗り越えられない試練ではない。そして乗り越えた後は、乗り越えたくなんの大きさだけ、他人の痛みを理解できるようになる。頭で理解していたこの当たり前の事実が、身体で理解できるようになったのだと今は思う。1人の女性の生と死を巡る中、いつもパウロの言葉を思い出していた。「あなたがたを襲った試練で人間として耐えられないようなものはなかったはずです。神は真実な方です。あなた方を耐えられないような試練に会わせる事はなさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださいます。」

  • 世界の戦闘地域で取材するフォトジャーナリスト。夫への共感と理解を持つ戦友のような妻。そのかけがえのない妻を突然クモ膜下出血が襲う。小学生の娘や親族と共に意識不明の妻に寄り添う。多くの殺戮現場を見てきた冷静なはずの男が、本当に愛するものの「死」に直面し、たじろぎ悲嘆にくれ、思考停止する。人間個人ははかないものと知っているのに、喪失することの前で何もできない。「死」とは生きているものの身近にある厳然たる向こうの世界だ。しかし愛は亡くならない。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。写真家

「2011年 『TSUNAMI3・11』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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