スーパーコンピューターを20万円で創る (集英社新書)

著者 :
  • 集英社
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感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087203950

作品紹介・あらすじ

通常のパソコンなどに比べて格段に速い計算を行うスーパーコンピューター。数十億〜数百億円をかけて、ときには国策として開発が行われるが、この分野でひときわ異彩を放つスーパーコンピューターが一九八九年に日本で開発され、話題を呼んだ。GRAPEと名づけられたそれは、開発費わずか20万円。天文学者たちによる手作りで、天文計算においては驚異的な計算速度を誇り、巨大楕円銀河誕生の謎を解明するなど画期的な成果を挙げた。コンピューターの専門家のいない、たった四人の開発チームはいかにしてプロジェクトを成功に導いたか…。無味乾燥に見える科学の世界の裏側で繰り広げられた熱い人間ドラマを、開発チームの一員だった研究者自らが活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 自作で24メガフロップスのパソコンを作る。当時の最速のスーパーコンピュータに比べて10分の1程度遅いだけである。しかもコストは20万円という破格。研究員のそれぞれの想いが重なり合ってプロジェクトは成功する。その作成まで経過を描く。

  • 開発の経緯を本人が綴ったものです。著者は多才な方で文章はとても読みやすく、実話にもかかわらず登場人物が魅力的で一気に読めました。当時東京大学に在籍した現神戸大学教授 牧野淳一郎さんの地球温暖化問題に言及したところに現在プリンストン大学上席研究員 眞鍋淑郞さんの成果があり、「おお、何か凄い」と思いました

  • 世の中になかったものを作り上げるという息吹を感じる本。プロジェクトX的ではあるが、開発者の人には共感できるところが多いと思う。おすすめ。



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    【要約】


    【ノート】
    ・新書がベスト

  • スパコン、GRAPE、Gravity Pipelineプロジェクトの中の人による、自伝的ノンフィクション。

  • 【総合点】 9.0/10点
     インパクトがあった。なんていうか発想が凄い。「スーパーコンピューターを作ろう」とそもそも考えること自体が普通はありえない。内容を見てみると、一人の発想ではなく流れがあるわけだけど。
     結果として実際に作り上げてしまっている。それも素人が、5か月程度で!これはもう驚愕としか言えない。伊藤君、マジ天才!という他ない。

     そしてGRAPEプロジェクトは現在においてもまだ進行中で、ゴールデン・ベル賞も何度も受賞しているという素晴らしい実績の歴史がある。伊藤さんはもうGRAPEに関わっていないにも続きが作られるというのは、「スーパーコンピューターって作ろうと思えば誰でも作れちゃう(ちょっと言い過ぎかもだけど)」ということ。
     伊藤さんは素人だったからこそファーストペンギンになれたのではないかと思った。思考過程も素人ならではという感じだし、そしてだからこそ20万円で出来たのだろうなとも。

     ちなみに当時のスーパーコンピュータは1か月のレンタル料が1億円らしい。製作費ではなく、レンタル料である。それを20万円で作る、というのはよほど馬鹿げた話である。この馬鹿げた試みを案外あっさり成し遂げてしまったのは伊藤さんが(あとチームメンバーも)常識を持たなかったからこそかもしれない。

     序盤は人物紹介的な流れで割と読むのが疲れる。スパコン出てこんやん、と突っ込みたくなる。でも当時の情勢を知ることも勉強にはなる。
     中盤過ぎからの伊藤さんの情熱が凄まじい。帰宅後でも思いついたら研究所へ戻っている。没頭するというのはこういうことなのだろう。幸せな時だったと思う。
     ちなみに伊藤さんはヤンマガでも「栄光なき天才たち」を連載し、当時で年収1000万を超えていたというから多才だったのは間違いない。クリエイティブ系なんだろう。

     ハードの伊藤、ソフトの牧野。このコンビで作り上げたGRAPEが世界最速を叩き出す。奇跡的だよね。

     元々この本を読み始めたのは「エクサスケールの衝撃」で紹介されていたからだったけど、思った以上に面白かったし、刺激になった。で、僕もちょっと作ろうかなと思い始めているところ。
     伊藤さんははっきり言って天才だったのだろうと思う。だから同じ環境、同じシチュエーションで作ったとしてもその何倍もかかるとは思うけど、でも後進達が作れているのを見ると、素人に出来ないものでもないということは証明されている。
     そしてスパコンは今後、世界で必要とされるものだ。日本は特にだと思う。

     惜しいのは伊藤さんが、というかイニシャルメンバーがもうGRAPEに関わっていないということ。このメンバーが牽引していけば、スパコン業界がもっと加速しそうな気がするんだけどなー。

    【得たもの】
     圧倒的な刺激。これに尽きる。
     とりあえず自作パソコンについて色々調べてみることにした。

  • 今でもシステム論という言葉は意味が広すぎて、時と場合によって様々な使い方がされる。

  • タイトルから、節約してスーパーコンピュータを作る貧乏くさいはなしなのかと思ったら、そんなこと全然なくて、東大の最前線のスーパーコンピュータの開発の話だった。恒星とか銀河とか星団とか月の誕生とかタンパク質の秘密を解明するためのスーパーコンピュータを作る話は夢があって面白かった。漫画の原作者も高校教師も経験した著者の伊藤先生がまず面白く、プロジェクトのリーダーの杉本先生は名言が多くて素晴らしいパンチラインがいっぱい出てきて、伊藤先生と対立する戎崎先生というのもクセ者で、登場人物がみんな普通でなく頭がよくて個性的なのも面白かった。この後の話もぜひ読みたい。

  • GRAPEは有名な専用計算機である。開発者による著作だけに,開発メンバーの人柄なども分かって面白い。

    2012/12/01図書館から借用; 12/07朝の通勤電車から読み始め;12/09夕方読了

  • これは面白かった。
    プロジェクトX的な面白さです。

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著者プロフィール

千葉大学大学院工学研究院 教授
著書:
『スーパーコンピュータを20万円で創る』集英社新書(2007)
『GPUプログラミング入門』講談社(2013)

「2017年 『ホログラフィ入門 コンピュータを利用した3次元映像・3次元計測』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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