王杖よ、星すら見えない廃墟で踊れ (集英社オレンジ文庫)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086803694

作品紹介・あらすじ

王位継承権を持つ三人のきょうだいによる『共同統治』が敷かれるイルバス。
末王子サミュエルが治める西部地域は貧しく、貧乏伯爵令嬢のエスメ・アシュレイルは食糧難を解決すべく、日々手を土に汚し畑仕事にいそしんでいた。
丹精込めて育てた芋が盗まれたのをきっかけに、領地の窮状を王子に訴えようと決意したエスメ。
頼りない双子の兄に代わり男装して王宮に出仕するが、当のサミュエルにまつわる噂は気難し屋だワガママだと、あまり芳しいものではなく……?
ふたつの星が巡り逢うとき、王国に新たな風がもたらされる!

感想・レビュー・書評

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  • ベアトリスのお話がほんっとにおもしろかったから続編が出たと知って即刻本屋で買いました。ページをめくったらもう最後まで止まらなかった。前作で、狡猾だけれど未熟さが目立ったサミュエルの成長譚。

    いずれ希望がもたらされること、他者の尻馬にのっかることばかり考えていた彼が、どう自身の納める領地と向き合うのか。
    自身を変えたい、もっとやれるべきことがあるのではないかと考える貧乏令嬢のエスメとぶつかり、お互いにいい作用をもたらしていくところが読み応えある。エスメの勇敢で思慮深く向上心の強いところがとてもいい。

    あとこれは毒親からの解放もあって興味深い。イザベラの行いはほんとおぞましいんだけれど、彼女からしたらただの愛ゆえっていう認識なの怖いよね。それはただの支配なのに。まあこれはノアの行いがあってっていうのが大半なんだけどさ。いままで捨てきれなかった母やノアから与えられた毒の甘ったるさを、サミュエルは自覚して捨てるのだ。

    赤や青の陣営と比べてまだまだ発展途上というか若いふたりだからふんわり香る程度のロマンスも、青々しくてよかった。特に手を繋いで一緒に転んじゃうところがかわいくて好き。
    次回は青の陣営のお話になるって信じてるんで、いまからめちゃめちゃ楽しみです!!

  • エスメがかっこいい。サミュエルは色々ちゃんと考えてるし、行動もしてるけど母に邪魔されて自信がない。エスメと出会えたおかげで自信も出て、立派に国王の道を一歩無事踏み出せてよかった。個人的にはレギーが好きです。お兄ちゃんも精神的な部分を抜けばとてもかっこいい。
    エスメとの関係をもう少し読んでいたかったです。続きで出てきてくれるといいな。

  • 上二人が優秀過ぎてサミュエルの駄目っぷりが際立つ。ただ人の意見をちゃんと聞ける子でぐんぐん成長していくのが分かるので、楽しく読みました。
    元気いっぱいなエスメのおかげで、状況は苦しくとも全体的に明るく前向きな内容になってます。最終的に三人の王のパワーバランスがとれてきて嬉しい。

  • これも面白かった。
    前3作が女王の物語であるのに対し、こちらは女性政治家の誕生物語ですね。
    男装して双子の兄弟の替え玉として出仕するとかベタだけど楽しいし、この兄の体質が後半の緊迫感のあるシーンのコメディリリーフとして働くのもすごく面白かった。無駄がない。
    困窮した領地のために援助を求めに行ったエスメが、ただ助けられるのではなく、サミュエルと緑の陣営のために、そして西部全体のために何をすべきか考えを深め、王太后である母の呪縛から逃れようともがくサミュエルの支えとなっていく。
    囚われの王子様を救うのは、勇敢なお姫様であるべき。最高でした。

  • ベアトリスのお話も面白かったので買っちゃいました。

    ただのわがまま王子かと思っていたサミュエル。
    自身が望みながらもままならない虚弱な体と周囲(特に母親)。
    どうにかしたくてもどうしたらいいのかわからない絶望にさいなまれているだけでした。

    自由奔放さが売りの相方がいれば大丈夫そうですね。

  • 頼りない双子の兄の身代りとして男装して宮廷に出仕する、このシリーズで最も少女小説らしい展開。ラブコメ感にニコニコしつつも、貧困との戦い、政争はこのシリーズらしく厳しいので読み応えもじゅうぶん。
    これだけで完結しているし、いちばん気軽に読めるので、シリーズでひとつだけ薦めるならこれだけど、「ベアトリス〜」は先に読んだほうが楽しいと思う。

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