廃墟の片隅で春の詩を歌え 女王の戴冠 (集英社オレンジ文庫)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086803670

作品紹介・あらすじ

王政復古を果たしたベルトラム朝。だが女王ジルダと第二王女ミリアムの姉妹間の反目は、王宮全体を巻き込んだひずみとなり、新王政に影を落としはじめる。
姉たちの争いを止められない己の無力さや、政略結婚相手の幼馴染・グレンを思うように愛せないことに苦しむアデールだったが、常春の国・ニカヤで出逢った三人の国王兄弟たちや民との交流を通し、新たな可能性を見出していく。
隣国カスティアとの戦争の兆しに、否応なしに厳しさを増すイルバスの情勢。
アデールを愛するあまり、グレンは次第に常軌を逸した行動をとり始め……。
果たしてアデールとイルバスの未来は!?激動のクライマックス!

感想・レビュー・書評

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  • ジルダの重圧は計り知れない。エタンも覚悟を決めて隠し通そうとしたけれど、アデールはさすがですね。
    最後やっぱりエタンと一緒になるのは上下と読んできて感慨深いです。文字だけではこの行間にあるであろうみんなの苦労と気持ちはとても想像もつかないですし、苦しみの末に生きていく2人、そして国民たち。戦争ののちに平和な治世を築けてよかったです。

  • 一度は倒れた国が女の子だったために生き残った王女達によって復活。末の妹以外は王の血を継いでおらず長女はそれに悩み、王座にいることが苦しくなる。中の妹は国を売ろうとする。何も考えず流されるままにいよ、とされていた末の妹は何も見ないままでは何も守れないことに気づき、病んだ長女に代わって王となる。という話。目覚めて成長していく末の妹を追いかけるのが丁寧に描かれていて面白かった。
    恋愛に関しては、最初の夫は末の妹を愛してたけど、愛されず死んでしまったのは切ない…末の妹も家族として夫が好きだったのにね…もどかしいね…。その後は好きな人と結ばれました。さすが少女小説!好きです!

  • ベアトリス達の話と違うのは、姉達が王の血を引いてない言う点が大きく彼女達の扱いが切なかった。女には厳しいんだな…。
    後、グレンが可哀想だった。もうちょっとヒロインに歩み寄れればエタンを出し抜けた気もするんだけど、そういう事が出来ない男だったんだろうな…。

  • よい少女小説でした。どらまちっく。

  • 滅茶苦茶面白かった。頁を捲る手が止まらなかった。
    二作目三作目合わせて一作目のベアトリスの祖母である女王アデールの半生を描いた物語なんだけど、革命から廃墟への幽閉、亡命、王政復古、結婚、戦争、最終的には女王即位と目まぐるしく、まさに波瀾万丈の人生で大河ドラマのような満足感があった。
    一旦は潰えてしまった王政を立て直し、姉妹の軋轢の緩衝、夫婦間の感情のすれ違いなどに揉まれながら、徐々に抑圧された自我を開放し、自分なりに王女としての役割を果たそうと努めるアデールの成長がやっぱり良い。
    話の主旨やモチーフは一作目と丁度鏡写しのようになっていて、ベアトリスに廃墟の鍵が託されたことにも納得がいく。
    三人姉妹の関係の根底に捨てきれぬ情が流れているのも前作との共通項ではあるけれど、今作の方がより複雑な事情も絡んでいて、遣る瀬無さも強かった。彼女達の関係が決して良い形で終わらない事は、前作読んでれば分かってたんだけれど。
    夫婦の関係も、絵に描いたような愛憎劇で、読んでて悲しくなってしまった。
    アデールは人を惹きつけると同時に、彼女が望もうと望まざろうと周囲の人の人生狂わせていて、まさにある意味魔性の女でしたね。しかし政情不安定な転換期の君主って、こういう強烈な魅力や求心力を持っていないとつとまらないのかもしれない。

  • ページを捲ることすらもどかしくなるくらい、先が気になって仕方なかった。でも読み進めると展開が容赦なくてツラくなり途中ついに「嘘でしょ!?」ってなったわ…。ミリアムがあんなことになるなんて思わなかったし、わたしはグレンがめちゃくちゃ好きだったから…。彼の自分自身でさえ苦しく深く傷ついてしまうくらいのアデールへの思いが、どうか彼女を縛ることなく折り合いつけて、報われてほしいって思ってたから。
    でも読むのは止められない。ラスト付近のジルダとのやりとりは涙なくして読めませんでした。アデールは冬の国の嵐になった。春を迎えるために。始まりの塔でクライマックスを迎える展開も見事。
    塔に囚われてた姫は、彼女を拐いに来た男と幸せになりました。っていうのはまんま塔の上のラプンツェルだよね。
    とても素晴らしかったです…

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