- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086801973
作品紹介・あらすじ
大樹の前に、母方の叔父・零一が十数年ぶりに現れた。祖母の遺産を要求してくるが、「ゆきうさぎ」を売却しなければ支払えない。途方にくれる大樹をよそに、零一は連日のように来店し食事していくが……?
感想・レビュー・書評
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シリーズ第六弾。
小料理屋〈ゆきうさぎ〉を舞台にお送りする、連作四話+序章&終章が収録されております。
※今回の巻末レシピは、第二話「八十八夜の筑前煮」に登場した、先代女将・雪枝さんのご友人、十和子さんの思い出の一品である“筑前煮”と、表題作の第四話「あじさい揚げと金平糖」で大樹の叔父・零一さんが作った“あじさい揚げ”が載っております♪
前巻のラストで何とも不穏な雰囲気で登場したのは、大樹の叔父・零一さん。
彼は大樹に、亡くなった先代女将の遺産の遺留分を請求してきます。
その請求金額を支払う為には〈ゆきうさぎ〉を売却しなければならない・・?
急にやって来た叔父に、とんでも請求をされて途方に暮れてしまう大樹ですが・・。
さて、序盤から〈ゆきうさぎ〉大ピンチ?という展開で、こんな時こそ大樹の側にいてほしいタマこと碧が教育実習など諸々で忙しくて、バイトに入れないという状況・・でも、だからこそ“たまに来るタマ(スミマセン)”の癒しを実感できる、ということでもあるのですけどね。
第二話では先代女将・雪枝さんが〈ゆきうさぎ〉を始めた経緯の物語で、先代の頃からずっとお店に通ってきてくれている十和子さんのように、〈ゆきうさぎ〉を愛してくれている常連さん達の存在が心強いですね。
もし〈ゆきうさぎ〉が閉店してしまったら、十和子さんも悲しむでしょうし、何といっても常連の“ヌシ”・彰三さんが暴動を起こしかねませんからね!
一方、初の教育実習に臨む碧ですが、第三話「父と娘のお弁当」では彼女を見守る父・浩介さん視点の話なのですが、碧の為に大樹に教わったお弁当を作ってあげるという神っぷりで、本当に、この父娘の関係は理想的ですよね。
そして、父と娘といえば、第四話では大樹を悩ます叔父・零一さんと娘のめぐみさんの話も綴られます。
そう、一見非情に見えた零一さんにも、実はせっぱつまった事情があった訳でして、彼は腕のある料理人でもあるので、体調を崩した大樹のピンチヒッターをバッチリ務めてくれます。
巻末レシピにも抜粋された、零一さんの得意料理“あじさい揚げ”は、私これ絶対好きなヤツだわ~・・と、食べたくなりました。
ということで、一連の騒動を経て、ラストはちゃんと心温まる着地をしてくれるのが、このシリーズの良いところ。
さらに、終章「心が躍る店仕舞い」での胸キュン展開には、“つ、ついに来たか!”と顔がほころんでしまいました。
色々あったこの巻でしたが、今後の新体制〈ゆきうさぎ〉を見守っていきたいですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
☆4
今作はいつもの「ほっこり温かい」お話とは違い、「ゆきうさぎ」がなくなってしまうかもしれない!とハラハラドキドキのお話でした。(結末が気になって一気読みしてしまいました!)
「あじさい揚げ」がとっても美味しそうで…食べてみたくなりました❁⃘*.゚ -
このシリーズはどの巻を読んでも星5です!!
順調にお客さんを掴んできた小料理屋 “ゆきうさぎ”に思いがけない試練が!?
いつも冷静な大樹の実は弱いところや、碧との関係に注目です^^
今回もごちそうさまでした -
今回は[ゆきうさぎ]の存続を巡って波乱の展開………。登場人物各々の過去の出来事も掘り下げられてとても面白かった。新たな助っ人も登場して[次]を読むのが益々楽しみになりました。
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いつもよりハラハラと、一冊を通してお話がつむがれました。
お店の持つ雰囲気と、料理、人の想いがいっぱいつまって好きです。 -
・大樹の叔父登場。
ゆきうさぎの相続を知るや否や、財産分与をふっかけてきて、大波乱。
・雪絵女将のお友達の十和子さん登場。
穏やかなおばあちゃんは筑前煮をひ孫と食べていく。
・碧の教育実習スタート
・零一叔父とその娘の逸話
零一叔父はなんて強欲で自分勝手なんだと思ったが、
やはり雪絵さんの子供。
その心根は優しく、また自分の大切な人を守りたい一心から来るちょっと意地っ張りな性格だった。
最初から素直にさ…。
大樹の根っこを下ろした経営方針と展望が
うまく叔父の事情と結びついたのは見事。
大樹は料理人だけでなく、商売人だな、こりゃ。
そしてようやく、言ったか。
安心したよ、なんか。長かったな。 -
あらあらあら。まあまあまあ。
ラストでこんな言葉が出てくるくらい、遂に、って感じですね。
零一さんが悪役なだけじゃなくて上手いこと収まって、それがあまりにも自然にするっと流れて行ったからすんなり受け入れてしまった。
食事が絡むほっこり系のお話って、こうわざとらしいくらい人情派でお人好しな空気を感じることが多いけれど、
ゆきうさぎはそんなことなくて、でも結局人情派な空気はある、っていうその塩梅がいいぐあい。
あじさい揚げやアイスのように、その時食べたものが思い出の品になることってあるよね。
食べ物だと誰と食べたのか、その時の自分の状況だったり気持ちだったり、鮮明に刻み込まれるような気がする。
だからものすごいお気に入りになったり、反対に見る度にモヤっとする料理とか、それぞれあるんだろうな。 -
いよいよ大樹と碧の関係に進展が…と思っていたら、突然の「ゆきうさぎ」大ピンチ。
せっかく先代から繋いだ店と想いを、理不尽な叔父に奪われてしまうのか。
胃が痛くなるような気持ちで読みながらも、叔父にも理不尽覚悟の理由があって。
いつものほのぼのとした雰囲気とは少し違うけれど、
みんな大切な人を想っていて、やっぱり優しい話でした。