- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784086311281
作品紹介・あらすじ
『アイドルのいうことは絶対!』。アイドルが支配する街、沖津区のとある学生寮で、新たなアイドルグループが誕生。その名は『メロリリ』! 音が図形に見える主人公「ナズマ」はそのマネージャーになるが…?
感想・レビュー・書評
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国民的アイドルグループであるLEDに反旗を翻したアイドルやファンたちによる、熱量の高い作品。
自分たちが目指すアイドル像に向かって一気に駆け抜けていく終始熱いストーリー展開で、中々に良い作品でした。下火の心の中の声が会話文に紛れ込んできており、微妙に読みにくいのだけが気になった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『娯楽』★★★★★ 10
【詩情】★★★★★ 15
【整合】★★★☆☆ 9
『意外』★★★★☆ 8
「人物」★★★★☆ 4
「可読」★★★☆☆ 3
「作家」★★★★★ 5
【尖鋭】★★★★☆ 12
『奥行』★★★★★ 10
『印象』★★★★★ 10
《総合》86 A -
アイドルになりたい女の子がアイドルになるまでのお話。一筋縄ではいかないキャラクタ達の中で二人の主人公は障害を乗り越えて成長していき、読後感は意外にも(?)何だか爽やかです。
「アイドルに恋するのはつらいことだ。応援すればするほど相手は遠くに行ってしまう。」 -
アイドルという稼業でない青春な憧憬を説得力もって読ませてくれる一作
よういにたにかえられぬ価値ある一品
最近読んだ作品だと『ストライクフォール』と同じく
全体を眺めて登場人物たちそれぞれにに役割振られているきちんと感が堅苦しいが
ちゃんと自覚的に心象を適度に開陳させているところはより上手い -
音楽が苦手なのに、アイドルのマネージャーになった男の子と、ある過去を持つ女の子の話。ヒロインのひとりごとが好きだ。石川博品さんはやっぱり「ちょっと変わっている」のに「だれにでも」というテーマでぐっとくる話がうまい。好きだわー。
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こういう青春ど真ん中なやつ、いい。読み始めナズマが頑張る話かと思ったけど、アコのヒロイン力が圧倒的、でも主人公といわれると違うけど、群像劇とも言いづらい。なんか不思議な構成だった。とにかくアコのぶっきらぼうな脳内多弁キャラが可愛いの一言。小ネタ大好きな作家だからそれが生きるキャラづくりだなーと。確かに手さぐり感は否めないけど、持ち味の勢いを殺さずポップな話になっていて好きだった。好きなツッコミは『「踊りに行こう、ジ・アーティスト・フォーマリー・ノウン・アズ・アコチン」「……誰が謎の記号だ」』
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アイドル。それも地下アイドルものである。いや地下アイドルというアイドルはいないそうだが。アイドル界隈には詳しくないのでよくわからんが、おもしろかった。
しかし主人公の特性がいまいち活かされていなかったような気はする。 -
デビュー作の「耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳」はあまりの電波加減についていけなかったが、本書は強烈な灰汁が抜けてクセ程度にまろやかになっている。文体に溶け込むようにポップでリリックな爽やか甘酸っぱいアイドルもの。
国民的アイドルグループであるLEDをクソと言い、ライブで観客を殴りまくったりLEDをディスる歌を歌ったりとまだ強烈な灰汁があるが、ヒロイン下火の口少ない言葉と心の中での独り言とヒーローのナズマがうまく沖津区というアイドル地区を生み出している。
イラストに表れているようなポップでキュートなアイドルが仲間とトップアイドルを目指し、あとから思い返せば青春でしかない日々を過ごす。恋愛やアイドル、友情や青春など単語で区切られるものじゃなくて、下火のリアルな高校時代がここに詰まっている。使い古された青春という言葉でなく青春を表したい。
小説の中のリアルを感じる。イラスト通りのものを求めているのなら迷わず手にとって良い。 -
ナズマ視点の下火視点のザッピング構成により、「本物のアイドル(=虚像)」に対して求めるもの、求められるものの深淵を垣間見た。濃ゆい高校生たち。ポップな表紙と同著者作品のせいで百合ものと勘違いしたけど、これはこれで良かった。個人的にはこの作品は失恋ものだと思う。