嘘つきは姫君のはじまり 東宮の求婚 平安ロマンティック・ミステリー (嘘つきは姫君のはじまりシリーズ) (コバルト文庫)

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  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784086013949

作品紹介・あらすじ

『貴女と、乳姉妹の秘密を知っている-。』差出人のわからない脅迫文を受け取り、動揺を隠せない宮子。身代わりの秘密がばれたのではないかと気が気ではない。その上、美貌と才気でまたたく間に次郎君と仲良くなってしまった大姫を前に、なすすべもない…。複雑な胸の内を抱える宮子だが、次郎君に対し、ついにある決断をすることに…?お騒がせ乳姉妹の身代わり絵巻、またもや大波乱。

感想・レビュー・書評

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  •  優しくて穏やかな愛情しか知らなかった宮子が、初めて身の内に覚えた激しい感情に戸惑い、翻弄される様が、今までいかに真幸に大切に愛されてきたのかを物語っているようで、真幸の立場を思うとより切ない。
     この巻でも真幸と有子姫が絡むシーンがあって、有子姫はどんどん可愛い面を真幸に見せているというのに、真幸は宮子一筋で、真幸と有子姫の仲に期待している身としては喜ぶべきか悲しむべきか迷うところだ。
     宮子が次郎君とのことを悩むように、宮子のことがなかったとしても身分差から考えて、真幸にとっては有子姫との恋なんて考えもつかないことだろうとは思う。そして、有子姫が本当に真幸に惹かれているのだとしたら、(平安貴族としては当たり前の範囲内だとしても、父親達の女性遍歴に関してはあまり良くは思っていないことから見て)それは真幸が宮子を一途に想っていることによる部分も大きいと思っているので、簡単に発展しても戸惑うだろうとも思う。しかも、今くらいの描写だと、私が勝手に希望しているだけで本当は伏線じゃなかったとしても別におかしくないくらい控え目な表現なので、実際問題どうなんだ!?と余計にヤキモキしてしまう。
    「そうね、冗談だといって、わたしが顔もろくにおぼえていない男を暗示の力でばかみたいに好きになってしまうのを、笑ってながめていればいいわ。見世物ね。面白いわよ、きっと」
    「いいわよ……わたしの初恋がどうこうなんてしょせんあなたには無関係なことなんだもの。わたしが誰を好きになろうが、結婚しようが、あなたにはどうでもいいことなのでしょう」
     このあたりなんか、(自覚してるかどうかは怪しいけど)有子姫が真幸に恋情を持っているんじゃないかと思って読むと、切なさと萌えで身もだえてしまう。ちょっとだけ希望していたけど、難しいんじゃないかと思っていた蛍の宮の参戦が素晴らしく理想的な形で叶ったので、真幸と有子姫の仲の発展も同じように叶うんじゃないかと、ついつい希望的観測をしてしまうのを止められない。
     史実から見ると、かなり難しそうだけど、そこは何とか曲げてどうにかなって欲しいところだ。
     宮子に話を戻すと、恋心を自覚してなお、秘密を明かして傷付く次郎君を思い、気持ちを打ち明け求婚に応えられないのが切ない。そう考えるに至った経緯の構成が絶妙で、宮子の気持ちが理解できるから尚更だ。特に、次郎君の気持ちに応えられない理由に真幸を利用している、真幸の気持ちを汚していると述懐する様は、次郎君と真幸の双方に対する想いが汲み取れて心揺すぶられた。
     でも、感情移入から距離をとって読者の立場から考えると、次郎君って、実は宮子の正体を何となく判ってるんじゃないかなあとか思っている。次郎君が宮子を名前――馨子で呼ばないのも、宮子の姉が全然でてきていないのも、実は伏線だったりしないのだろうか?
     引きの展開は、思っていたより早く起こったのでびっくりした。一時的なものなのか、このまま床についてしまうのか、どっちだろう?
     いずれにせよ、非常に先の気になる引きで、続刊が出るのが待ち遠しい。

  • 2巻のころ想っていた路線とは違うが
    姫ものライトノベル風少女小説としては安定の出来か
    この人物造形関係下でできることはもうなさそうなので
    次巻あたりできっちり終わらせての新しい作品を読みたい感

  • 後宮にやってきた大姫の存在に、宮子は心揺れるばかり……。なーんーだーこの糖度の高さは!中盤、うれしはずかしかった~(笑)。いよいよ自分のこころに向き合わざるを得なくなってしまった宮子もぐーでした。面白いのがわかっていたから、寝かせておいたんだけど、やっぱり面白~。ちゃんと馨子さまも活躍できて、有子姫と真幸のフラグもたちまくりで面白かったです。大人にもおすすめ。

  • 秘密を持ってるってとこがツボなんだよな。ラブラブっぷりも好き。

  • 気持ちの揺れ動きが激しくなってきて、
    さらに面白くなってきたこの巻。

    望み通り、蛍の宮も参加してくれて、かなり満足(笑)

    あとがきにて筆者は、次郎君の事をかわいそうだと
    記載してあったが、間違いなくかわいそうなのは真幸だろう。
    真幸派ではないが、正直真幸が遅れをとったのは、
    立ち位置の違いだと思う。

    真幸はある意味、常に一緒にいる存在だから、
    宮子にとってはなくなるという意識がない人。
    次郎君は、なくなる前提の且つ秘密を見せられない人。
    人は、やるなと言われる事の方が魅力的に見えるモノ。
    もし、真幸がなくなる存在だと、宮子が恋を知る前に
    示していたら、同等の相手になれていたと思う。
    知った後に、なくなる存在だと示しても、移り変わりは厳しい。

    初めからいる存在なゆえに、一方だけに確実な気持ちを
    見せられるとやはりつらい。
    そして思うのは、やはり、、、、馨子が罪深いと思う。

  • シリーズ物

  • とりあえす2巻前から持ち越しの大姫の謎は解け、宮子もようやく気持ちが定まり、な巻。
    前巻に引き続き、あまりにも少女小説な展開。仕様がないけど。
    かわいそうなのは真幸(でもまあ大人みたいだから平気でしょう)。それよりもかわいそうなのは有子姫(多分真幸が好きなんだろうけど、お家柄的にそれは報われないでしょうし、史実的にはこの人は作中の七の君の中宮だから。結婚相手は10歳下とかな世界)。

  • 大姫との東宮妃対決、ひとまず決着(休戦?)です。

    蛍の宮が大活躍。
    ストイックな後宮育ち。良いですね。
    源高明との会話が、この時代の政治って感じがします。

  • 平安ロマンティックミステリィ。

    久しぶりにコバルトコバルトしました。甘い!甘い!!生クリームたっぷりのイチゴぱふぇ特盛りを食べたみたい。でももっと食べたい。

  • 東宮さまついに攻撃に転じ!次郎君がんばります
    前回の終わりで深まった大姫との溝を解決したと思ったら、次郎君の暴走と宮子の苦悩は続きます。
    そして宮子も自分の気持ちに気付いて……

    ちょっと良い場面で誤字があるので、探してみるのもまた一興!すぐ見つかります。

    <参考もくじ情報>
    第一章:葛藤
    第ニ章:醜聞
    第三章:決別

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