- Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
- / ISBN・EAN: 9784082990282
作品紹介・あらすじ
“安心していいよ、それは私達の大切な順番だから。"直木賞作家・桜木紫乃による初の絵本。小説『家族じまい』のもう一つの物語。
感想・レビュー・書評
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思ったより ずっと深い内容で
子供を持つ親のための絵本だと思いました
そうか 順番なんだ
忘れたほうが怖くないんだと思うと
老いて いろんなことを
忘れてしまうのが
怖くないような気がします
娘が巣立つときにじんわり
親をみとったら ぐっと
胸にせまる絵本でした -
タイトルの感じから、言ってみれば"認知症"系の話だろうと予想はつくけれど、そこに女性ならでは、の複雑な思い、心の機微が描かれていて、母と娘ってこういう感じだよなとしみじみ思いました。
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中央公論文芸賞を受賞した小説『家族じまい』に登場する人々のもう一つの物語。生まれ、育ち、そして子どもを生み育み、やがて老いていくこと、そのすべてが”たいせつなじゅんばん”だということがこの作品に描かれていた。桜木さんはこの先、どんどん娘を忘れてゆく母のことを考えながら、「家族じまい」という小説を書き、本書の絵本では、小説から漏れた孫の視点で書いたと語っている。「家族じまい」は読んでいるが、絵本は違った趣きがあってこちらも良い。随所に著者らしい言葉が散りばめられていた。
「ねえママ、おんなのことおんなのひとはどうちがうの?」「おんなのこはね、だれかにまもってもらうひと。おんなのひとはね じぶんをまもれるひと わかる?」
ママは さとちゃん(祖母)とのおもいでを にづくりする。さとちゃんは ひとつずつ にもつをおろしながら くらす いつかママがあなたをわすれても あれもこれもなかったことにはならないのだからあんしんしてね」「これは たいせつな たいせつな わたしたちのじゅんばんなの」
順番の表現に胸がつまった・・・。
タイムリーにも、今朝新聞記事に東山彰良さんとの対談が掲載されていた。東山さんが、ホテルローヤルを読み「きちんとエンタメをしつつ、諦めについて書かれている。その諦めというのは自分を受け入れる過程みたいなもの」と評した。それに対し、桜木さんは「私は(出身地)北海道で一番諦めない女で、私の大事な仕事は肯定すること。親の生き方や男の行く道を肯定する。それが自分の肯定につながる」と述べている。執筆における「カニかま」理論も興味深かった。カニサラダ(小説)はカニのむき身(事実)だけでなく、カニかまぼこ(うそ)もまぜた方が美味というもの。桜木さんは「エッセーも含め、本当のことを書いたことがない」と、”書き物における虚実”と語っていた。
「さとちゃんが みんなのことをわすれる日は わたしたちとのおわかれを こわがらずに かなしまずに すむ日」
認知症が死への恐怖を忘れさせるとは認識していたが、大切な人たちとの別れる悲しみを癒してくれるものでもあったのだ・・・。 -
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「車椅子ドレス」直木賞作家・桜木紫乃さんが絵本に | 北海道のニュース | ニュース | STV札幌テレビ
https://www.stv....「車椅子ドレス」直木賞作家・桜木紫乃さんが絵本に | 北海道のニュース | ニュース | STV札幌テレビ
https://www.stv.jp/news/stvnews/u3f86t00000bllyb.html2021/09/02
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母に名前を忘れられたら、まだ私は寂しい。
母が認知症の始まりだと診断されて3年目。
まだ私のこと覚えてくれている。
いつか忘れちゃうかもしれないけど、長く生きてくれたのだから、忘れちゃってもいいか。
いい時間を過ごせれば。
…そうか、この心境がこの絵本の「お母さん」の心境なのか。
挿絵に時折現れる猫に癒される。
おばあちゃんが眠る時も一緒。
はやくコロナが収まって母にゆっくり会えたらな。
いつか あなたを わすれても
目と目を合わせて微笑めばいいのよ。
たぶん。 -
両親、義両親共に他界。これからは、自分や主人の老いと向き合わなくては思っている。忘れられてしまう事は悲しいけど、一緒に活きてきた事実はなくならないよね。
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わすれても
どうなるのかが知りたくて手に取りました。
忘れていくという後退する期間は
何のためなんだろうと思っていた
この本を読んで、最後のページにその答えがあったように思えた。
それは、さようならを準備するための期間なんだと。
私もわすれていくという期間を過ごすんだろうな
周りの人に心配させてしまうんだろうな
自分の時は自分の感覚として、忘れていくという期間はどんな感じなんだろうな
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直木賞作家・桜木紫乃さんの母親が、〝記憶という荷物〟をおろし、娘の名前を忘れたその日。この時の想いを、孫の視点で語った大人への絵本です。〝ママと私は、さとちゃん(お婆ちゃん)の思い出を数える。 いつか忘れてしまう時間を、大切に過ごす〟〝さとちゃんが、皆のことを忘れる日は、私たちとのお別れを怖がらずに、悲しまずにすむ日。長い長いさよならの準備をする・・・ 〟「お母さん、私を忘れていいよ。忘れたほうが、寂しくないから。 忘れたほうが、怖くないから」愛ほしいほど切ない、作者の想いが深く心に沁み入ってきます。
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いろいろなことを忘れてしまったおばあちゃん。
さみしそうなお母さん。
お母さんも私を忘れる日がくるのかな?
「もしも いつかあなたを わすれる日がきても」
「みんな なかったことでは ないのだから」…
「ながい ながい さよならの じゅんび」のお話。
これからのこと、いろいろと考えるタネになる絵本でした。
そして、全ページ、オザワミカさんの絵っ!!
たくさんの人に、手にとってほしい本。