不可逆少年 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065332849

作品紹介・あらすじ

若き家庭裁判所調査官・瀬良真昼(せら・まひる)。どんな少年も見捨てない。そう決めて彼らと向き合ってきたはずだった。しかし、狐面の少女が犯した凄惨な殺人事件を目の当たりにして、信念は大きく揺らぐ。不可解なことに、被害者は全員同じ高校に縁のある人々だった。被害者遺族の男子高校生を担当する真昼は、思わぬ形で事件の真相に迫り――?圧巻の青春リーガルミステリー!

感想・レビュー・書評

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  • 神経犯罪学に興味を抱きました。
    また、電流を流すことで味覚が変わったり、サプリメントを摂取することで精神状態が変わるように、些細なことで感じ方や考えもいい意味で変わるのだなと思いました。

    「灰色を白とみなすのが理解で、黒とみなすのが偏見なの?」
    「重要なのは行為で、対象はおまけにすぎなかった」

  • 文庫の新刊コーナーで購入しました。
    -------------------------
    殺人犯は13歳
    少女が起こした
    凄惨な殺人事件。
    法は彼女を裁けない
    -------------------------
    狐の面をつけた少女が、
    監禁した大人を次々に殺害する事件が発生した。
    13歳は「刑事未成年」で法では裁かれない。
    だから今しかない。

    とても衝撃的なあらすじと、
    表紙の絵が印象的で
    思わず手に取りました。

    理解できない出来事に遭遇すると
    どんな背景があって、
    どんな生い立ちがあって、
    どんな理由が考えられるのかと、
    理解できないと不安になるから。
    再発防止もできないから。

    だけど、精神ではなく、
    脳の仕組や発達が通常と異なっていたら。
    更生も何もない。
    家庭裁判所調査官の真昼は、どう向き合うのか。

    登場する少年、少女が
    一生懸命自分たちを守ろうとしている姿に
    心が痛かったです。

    殺された被害者は、
    殺されて当然の理由があったりして、
    もうどこもかしこも壊れていて。

    私刑が正義というわけではないのかも。
    一つ壊しても、連鎖して他のものが壊れていく。
    ドミノみたいでした。

    読後は…色々な矛盾に対して、どう考えれば良いのかわからず悶々としました。苦笑
    そして発行が前後しますが、「法廷遊戯」を購入しちゃいました。
    近々読もうと思います。

  • めちゃめちゃおもしろかった。
    読みやすい。
    最後のセリフがすごく良かった。
    作品を通して、見捨てない。大丈夫。と言われてる気持ちになった。

  • 家裁の調査官と
    事件を起こしたサイコパスの物語と思いきや、
    別の事件が起こり、でも繋がっていて…

    思っていたのとは違う方向に進んで
    こんなところに着地するのかという感じ。

    茉莉という名前が苗字によっては
    変なフルネームになるのか。

  • 合間合間に挟まる太陽と傘のマーク。最初の50P辺りまでは?だったが登場人物の名前が出揃うとそれぞれ真昼と雨田のパートを表していることがわかる、、

    それにしても13歳、15歳とは思えない犯行計画。「持たざるものは失わない」とは言い得て妙だが、生まれながら自分で制御出来ないほどの他傷衝動を抱えて生きるとはどんな感じなのだろうか。
    他人に自分の気持ちがわかってたまるかという思いとそれでも誰かに分かってほしいというアンビバレントの中を揺れ動く少年少女を相手にする調査官という仕事を思い知る。

  • 狐のお面をつけた少女が3人の大人を刺殺・撲殺・絞殺。毒殺に失敗して生き残ったのは少女の姉だった…

    という出だしが凄そうで購入してみた、のだが。

    最初のつかみの華やかさの割には中盤以降単調に感じてしまった。犯人が13歳で罪に問われないという設定のせいで警察ではなく馴染みのない調査官だったり鑑別所だったりしたせいかな…と思ったのだが、1番自分にとって消化不良になったのは、主人公を挙げろ、と言われたら誰だっけ?というくらい登場人物に頭抜けた魅力がある人がいなかったからかな〜という気がしてる。

    被害者の子供(茉莉やバク)や加害者の姉であり被害者でもある奏乃が普通に学校に来て普通に話してるのも現実味がなくて応援できなければ、犯人を追い詰めるこっちサイドのキャラクター達もなんか頼りなかったり言葉が足りなかったりルール無法だったりと同調できるキャラではなく。犯人だけど魅力的、とか、探偵役に思わず肩入れしちゃう、ということなく終わってしまって、なんかこう、ひとりの人の独白を聞かされてるくらい淡白だったなーと。

  • 衝撃的な事件から始まり、これが続くと少しきついかもな…と思いましたが、杞憂でした。

    主人公が日々少年と向き合う様子や、それぞれが考える調査官のあり方なども丁寧に描かれ手織り、また別の深い事件が描かれという感じで、場面転換が多かったため、私的にはすらすらと読めました。

    そして、最後には最初の事件の真相へ近づくという流れが良かったです。

    タイトルへの主人公の向き合い方が最後のセリフで締め括られてるのが響きました。

  • 冒頭からなかなか衝撃的なシーン
    終始鬱々とした気持ちになりながら読了
    誰にも頼ることができない少年たちが追い込まれていく展開は読んでいてつらかった

  • 面白かったけどオチは他にもあったのかなと消化不良感。

  • 途中までの内容は面白かったです。
    最後のオチが弱い気がします。
    メッセージ性を重視した結果なのか、最後に読んだ人に任せます感があって残念な感じがした。

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著者プロフィール

1990年岩手県生まれ。東北大学法学部卒業、同大学法科大学院修了。弁護士(ベリーベスト法律事務所、第一東京弁護士会)。本書で第62回メフィスト賞を受賞し、デビュー。他の著書に、『不可逆少年』『原因において自由な物語』『六法推理』『幻告』がある。

「2023年 『法廷遊戯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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