- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065325223
作品紹介・あらすじ
戦没者2万人のうち1万人の遺骨が今なお行方不明の硫黄島。硫黄島関係部隊の兵士の孫である僕(=記者)は、祖父の「戦友」とも言える1万人の行方を追うべく、民間人の上陸が原則禁止された島に4度上陸した。機密文書を含む日米の公文書調査も2年がかりで進めた。結果、浮かび上がったのは「極秘の核基地化」など、知れざるIWOJIMA(米国側呼称)の戦後史。ロシアのウクライナ侵攻で戦争や核問題への関心が高まる中、戦禍に終わりはないという硫黄島の「教訓」を伝える。報道関係者として初めて政府の遺骨収集派遣団に3度参加し、日米の公文書を調べた記者が初出版する謎解き型ノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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太平洋戦争の激戦地、硫黄島。未だ見つからぬ1万人の遺骨の謎を探るべく、調査だけでなく遺骨収集ボランティアにも3度参加した記者の著書。著者の祖父も戦争関係者であったため、単なる興味本位の行動記録ではなくその本気度が十分伝わる記録であり、硫黄島の現状を知る上での一助となる作品。
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サイパンで戦死したと聞いているおじいちゃんのことがずっと知りたくて、でも何もわからずで、近づきたくて、場所はちがうけどこの本を手にとった。国や家族や未来のために戦ってくれた方々に、亡くなられた方々に、その家族の思いに思いをよせ、おじいちゃんを偲び、自分の境遇の有り難さをあらためて思う。4章では最後の2文に共感。僕は霊魂を信じるというか、普通にいると思っている、見たこと感じたことがあるわけではなく証明できないが、いるように思うだけ。7章、8章では死が目前なのに笑顔でいられる境地、本土に帰る人を笑顔で見送れる境地に思いをめぐらす。同じ境地にたてるものではないけれど、残りの人生を生きる価値を見いだすヒントをいただいたように思う。また、本書とは関係しないが「何となく」というのは、生き方の方向を示すものだと読んでいる途中でふとふたたび思う。先祖(過去)と共にある生き方が、共に影響しあっている。読後、地道な継続は運命が顕れるというか、決まるというか、繋がるというか、そういう連続なんだと思え、また、伝承は未来にとって大事なんだと、思った。(さっきまで”う◯こ”の話しで小3息子と盛り上がっていた、おじいちゃんの孫)
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ネットニュースで紹介されていて、ちょうど図書館にあったので借りて読む。
2024年度までを遺骨収集の「集中実施期間」と位置付けるが、その後については不透明とのこと。
本書は2023年7月25日第一刷発行された。
戦前戦後での島の在り方など、読んでいてもっとたくさんの人に硫黄島について知ってほしいと感じた。
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「硫黄島では一万人が未だに見つかっていません。見つからない理由の一つとして挙げられるのが『風化』です。」
物理的な遺骨の風化と、居住が認められていないことによる記憶と記録の風化、そして、米軍による現在までの支配と日本政府の忖度ーー。
色んな条件が重なって遅々として進まない現状。そんなこと言ってる僕自身も「硫黄島は住むのは無理な過酷な環境でしょうがない」という思い込みがあったし、そもそも読むまで「いおうジマ」だと思ってた自分を恥じる。
戦後を終えるためには僕らが知ること、忘れないことが重要だと痛感。
著者のこの島への執着、執念、情熱に、脱帽と敬意。個人的な意志もあろうがただただ仕事人としても尊敬。 -
TBSラジオ「session」に、著者の北海道新聞記者・酒井聡平氏が出演していたことをきっかけに読んだ一冊。
祖父が戦時中、硫黄島の隣の父島にいたことを知り、祖父の戦友たちを見つけたいという思いで、並々ならぬ執念と行動力で遺骨収集団に加わる様子を読み、このような人、このような記者がいるのだと驚かされる。
当時の硫黄島を知る人や、遺族へのインタビューは貴重な話ばかりであり、戦後80年を前にこのような活動や記録することよ大切さを改めて知ると同時に、私たちも「知る」ことを続けなければならないと感じる。
「忘れてはいけないことは 決して忘れてはいけない」
本書の最後に紹介されている、酒井氏の座右の銘という、高木いさお氏の原爆詩の言葉が、今戦争について考えること、読むことの意味を教えてくれる。 -
ミステリー小説好きだけどこれは現実のミステリー
信じられない量の資料を忙しい仕事の合間でよくこんな華麗にまとめたなぁと感心してしまう
ジャーナリズムがすごすぎる
おかげで僕は本を読んだだけでこんな貴重な情報を知ることができた
今度は硫黄島の手紙と父親たちの星条旗観よう -
内容に引き込まれて一気に完読しました。
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東2法経図・6F開架:369.3A/Sa29i//K