「ナパーム弾の少女」五〇年の物語

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 89
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065288139

作品紹介・あらすじ

1972年6月8日、ベトナム戦争末期に撮られた一枚の写真は、戦争の残酷さを余すところなく伝え、世界中に衝撃を与えた。
その写真から50年、写真の「主役」となった少女のその後の波瀾万丈の半生を描いた感動のノンフィクション。

大火傷からの奇跡の生還ー肉体的にも精神的にも苦痛の日々ーベトナム政府に「発見」され、監視下のもとプロパカンダの「道具」とされた日々ーボートピープルへ挑戦ー宗教をめぐる母親との対立ーはじめての西側への旅ーキューバへの留学と結婚ー必死の亡命ーそして寛容を訴える旅へ

戦争とは?
国家と個人の関係とは?
自由とは?
家族との絆とは?

主人公キム・フックの物語は、いまの私たちにも多くの問いかけに満ちている。

感想・レビュー・書評

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  • 「ナパーム弾の少女」の自由を求めた物語 知られていないカナダ亡命までの20年〈AERA〉 | AERA dot. (アエラドット)
    https://dot.asahi.com/aera/2022062200060.html

    『「ナパーム弾の少女」五〇年の物語』(藤 えりか)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000358936

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ゆるし」を語った平和の希求者 [評]吉岡忍(ノンフィクション作家)
      <書評>「ナパーム弾の少女」五〇年の物語:北海道新聞 どうしん電子版
      ...
      「ゆるし」を語った平和の希求者 [評]吉岡忍(ノンフィクション作家)
      <書評>「ナパーム弾の少女」五〇年の物語:北海道新聞 どうしん電子版
      https://www.hokkaido-np.co.jp/article/709712?rct=s_books
      2022/07/26
  • キム・フックさんのベトナム戦争
    少女が裸で逃げる写真、これは見たことがあるそう思って読み始めたが、全く理解していたものが違うものであった。
    戦争と言う殺人と、国と政治、浅いものではあるがすっかり引き込まれて考えさせられた一冊だった。

    そもそも裸で逃げる少女ではなかった
    ナパーム弾で一瞬にして着ていた衣服が溶かされどうしていいかと彷徨う少女なのだと知った。
    もちろん逃げているとも言えるが、取るもの取らず逃げていると思っていたのでそうではないと知り
    ナパーム弾って…と恐ろしさについて知った。
    溶かされた衣服が皮膚も蝕むのは言うまでもない。
    身体の多くの皮膚に火傷を負い、彼女の運命が幾つもの出来事で救済に向かっていくストーリーとも言える出来事があった。

    火傷にも思い違いがあった。
    表面の皮膚だけでなく神経も巻き込んで皮膚が引っ張られ巻き込まれるから、表面が落ち着いても痛みは続いていくというのだ。
    たまたま神経の病に罹りこれからも療養する必要がある私は、神経を巻き込む痛みというのはとても理解できるものだった。

    日本は現在は国の政治も安定していて、政治的な制約や搾取制限と言ったことはなく恵まれているのだろう。
    知らぬ国へ行かねばならない人の気持ち、宗教の壁と言葉の壁、想像に難いものである。

    キムさんの人柄もあって沢山の扉が開いたとも言えるが、「 I forgive, but I don’t forget 許すけれども忘れない」とスピーチしたと言う言葉が彼女の全てなのだと感銘を受けた。

    戦争のない世界であります様にと願いを込め、たくさんの人に読んで欲しい本だ。

  • 戦争の悲惨さもさることながら,キム・フックの歩んだ道の険しさ,彼女の想像を絶する苦悩と勇気と,底知れぬパワーに感銘を受けた.
    『あの写真』の真実と,その後のもっともっとリアルな現実と…こう言う時代にあって,読まねばならない一冊として吸い寄せられる様に手に取ったのは,やっぱり正解だった.

  • 有名な写真に紐付く一人の少女の半生がベトナムの歴史だけでなく、大国のエゴだけで動かされてきた世界の流れを如実に物語っている。

  • ベトナム人には数多く接してきたけれど、ベトナム戦争についてもベトナムの政治についても正直よく知らない。
    それでも、一人の女性の生き様として読み応えがあり、こういう本を同世代の日本人女性が書いたことに敬服。

    いろいろ考えさせられたが、特に感じたこと。

    1.キム・フックさんの強さ
    2.戦争を報道するということ

    2については、読みながら今のウクライナからの報道と重なった。

  • 子供が「爆弾におびえなくてすむ」と喜ぶ姿の悲しさ。命に価値をつける大人の愚かさ。国に翻弄される人々の苦難。国民を守ってくれない国、政府。助けを呼べぬ状況で何とか「自由」を求める姿に、感動したと同時に、こんなことは地球上のどこでも起こってはいけないと思った。今も起こっている差別、戦争、難民etc。起こらない、起こさせない体制を作らなければならない。他人事だと思っていてはまた繰りかえす。歴史は繰り返さないために学んでいるのに、何も、何も進歩していない私達に腹が立つ、悲しい、恥ずかしい。今、すべての人に読んでほしいと思う。

  • 不屈の精神

  • 1972年6月8日。ベトナム南部の農村でのナパーム弾による爆撃。火傷をおい逃げ惑う少女の写真はピューリッツァー賞を受賞する。「ナパーム弾の小説」とカメラマン達のその後の50年を、追った力作ノンフィクション。

    少女の名はファン・ティ・キム・フック。全身に大火傷を負いながら奇跡的に生き長らえる。しかし続く傷痕の痛みと政府のプロパガンダに利用され監視される生活。

    ベトナム戦争後の政府の混迷に奔走されながら逞しく生きるキム・フックとあの写真を通じたカメラマン、医師らとの出会いと絆。

    ベトナム戦争の集結を早めたとも言われる一枚写真を通じた大河ドラマ的なノンフィクション。

  • [NDC] 289.2
    [情報入手先]
    [テーマ] でーれーBOOKS2023/エントリー作品

  • 有り 289.2/フ/22 棚:5〜6

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