クローゼットファイル 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065285091

作品紹介・あらすじ

隠しても隠せない。服がすべてを自白してしまう。真犯人も、知りたくなかった過去も。
こんな解決見たことない! 迷宮入り事件を次々に看破する仕立屋探偵が挑む、6つの事件。

捨て子の着衣のリメイク痕、女子高生の制服の不自然なシワ、饒舌に語り出すヴィンテージ生地ーーこの男には、人に見えない真相が見える。
大好評『ヴィンテージガール』に続く、仕立屋探偵・桐ヶ谷京介の事件簿!

桐ヶ谷京介
名だたるハイブランドと職人、町工場とのマッチングを行う服飾ブローカー。服飾と美術解剖学の達人。共感度が高すぎて涙もろい。

水森小春
ヴィンテージショップ店長にして人気ゲーム実況配信者。骨董の知識で桐ヶ谷に協力する。外見と裏腹に毒舌かつド直球。

南雲隆史
桐ヶ谷の能力を借りて迷宮入り事件の再捜査を行う、杉並警察署のベテラン警部。

八木橋充
杉並警察署で未解決事件捜査に当たる巡査部長。ゲーム実況者小春の大ファン。

感想・レビュー・書評

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  • 服飾ブローカーのイケメン桐ケ谷京介とビンテージショップの店長の口の悪い小春の服のシワや諸々のことから推理する物語が6編。なかなかあっと驚く様な展開で面白い。罪を犯す人間の心理にもちゃんと踏み入っている。刑事の南雲や八木橋も個性的でいい。ただ、実の娘を虐待する話はちゃんと結末まで行ってないぞ。もっと踏み込んで欲しい。

  • 〈仕立屋探偵 桐ケ谷京介〉シリーズ第二作。
    第一作を読まれていない方の為に登場人物を紹介。

    桐ケ谷京介 34歳
    『服飾職人や弱小工場と世界のブランドをつなぐアパレルブローカー』にして服飾品の生地や縫い方、しわの付き方などから事件の真相を読み解く名探偵 涙もろく、特に虐待児の案件には大いに力が入る

    水森小春 26歳
    『ヴインテージショップを任されていて、その筋では目利きで有名。ゲーム実況者としても名を馳せている。その外道ぶりからは想像もできないほど容姿端麗』

    南雲隆史
    杉並警察署 未解決事件専従捜査対策室室長 警部
    一見『いかにも人のよい中年』だがしたたかで優秀な刑事 何かと桐ケ谷を警察官にスカウトしようとする

    という3人に加え、今回から八木橋充巡査部長(32)が登場。二人のファンである本人が熱烈に希望して専従対策室に来たらしい。

    今回は6編の短編集。前作の長編も良いがテンポよく進む短編集も良い。
    そして今回も様々な服飾ネタで楽しませてもらった。

    「ゆりかごの行方」
    十二年前、杉並署の裏道に置き去りにされていた赤ちゃんが身につけていた衣服から母親がどういう人間かを突き止める。

    「緑色の誘惑」
    十五年前に殺された六十五歳の女性は、なぜ数年前から緑色に固執するようになったのか。現場に残された灰の意味は。

    「ルーティンの痕跡」
    小春宅に侵入した下着泥棒が残していったある物(気持ち悪い!)の異常な劣化具合は何を意味するのか。

    「攻撃のSOS」
    例によって服や姿勢から虐待の痕跡を見つけてしまった桐ケ谷は少女を追い自宅を突き止めようとするが、少女によって逆に通報されてしまう。少女の運命は。

    「キラー・ファブリック」
    十六年前にアナフィラキシーショックで死んだ主婦は、酷い蕎麦アレルギーで外出もせず口にするもの触るものにも気を付けていた筈なのに、なぜ蕎麦の成分に触れてしまったのか。

    「美しさの定義」
    十年前に殺された服飾専門学校生は、不器用なのになぜ苦学してまで学校に通っていたのか。何を夢見ていたのか。

    生地の種類、そこに残されたシワやヨレなどの痕跡、縫い方にハサミの入れ方、ミシンに残った僅かな埃やゴミまで。こんなところにも事件解決の手掛かりが隠されているというのは読んでいる側からするとワクワクするが、人のすることには必ず何かしらの痕跡があるのだということも感じた作品だった。悪いことは出来ない。

    だが桐ケ谷が解き明かすのはそうした人の負の面だけではない。『美しさの定義』で言えば女子学生が追っていた夢だったり『攻撃のSOS』で言えば少女の本当の思いだったりを掬い取ってくれたのは良かった。
    全体的には苦い話なのだが、その中で『実にばかばかしくて気が休まる』小春と『どっかおかしい』八木橋の存在に救われた。

    それにしてもこれほどのことを調べるのはどれほど大変だったことだろう。参考文献は挙げられていないがその苦労は想像するだけでも大変だろうと思う。こちらは読んでホウホウと感心して楽しませてもらうだけだが。

    ※シリーズ作品
    ①「ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ケ谷京介」
     レビュー投稿あり

  • 仕立屋探偵シリーズ第二弾

    美術解剖学と服飾の深い知識を持った桐ヶ谷は、服を見ればその人の受けた暴力や病気などがわかる
    その能力を活かして警察が解決できなくて事件を解き明かしていく
    という内容ですが、こりゃコメディーだなw

    ヘタなお笑い番組よりおもしろいw

    だって、出てくる登場人物のキャラが濃すぎだもん!

    特に古着屋の小春!イチ推しです(≧∇≦)b
    ずけずけ発言にあけすけ発言の連発
    ゲーム用語を交えて捲し立てる
    どんな場面でもだれかまわず空気をぐだぐだにできる天才
    小春の会話、ツッコミを聞いているだけでお腹いっぱい!
    もぉ、サイコォォォォォォー!w

    でもね、頼りになるんです
    ゲームや古物を通しての物事の背景をよく知っていて、桐ヶ谷とはまた違った視点から事件解決の糸口を導き出す
    ウザキャラですが、できる子なんです!
    (*´σー`)エヘヘ


    本作は6つの事件の短編
    下着泥棒を捕まえる事件『ルーティンの痕跡』がおもしろい!

    これ、事件解決後のやり取りですw

    「警察が押収した女性下着をアホみたいにきれいに並べて撮影している映像をよく見るけど、あれはいったいなんなの?」と小春の問に
    「テレビで流すかどうかは報道する側の問題だからね」と答えた警察に小春がさらに放った一言で吹き出しました( ゚∀゚)・∵. ブハッ!!

    「明らかにゴージャスな下着を中央に並べているのは知ってんだよ!テレビ映りを気にしてね!警察の並べ師はだれなの!」

    並べ師って!www


    このシリーズ最高!
    続編が楽しみ((o(´∀`)o))ワクワク

    • 1Q84O1さん
      みんみんさん、これいいよぉ〜(*´ω`*)
      ぜひみなさんに読んでもらいたいです!
      みんみんさん、これいいよぉ〜(*´ω`*)
      ぜひみなさんに読んでもらいたいです!
      2024/01/04
    • かなさん
      1Q84O1さん、おはようございます!
      服を見てその人の背景がわかるって、
      すごい才能ですよねぇ(*'▽')
      1Q84O1さん、おはようございます!
      服を見てその人の背景がわかるって、
      すごい才能ですよねぇ(*'▽')
      2024/01/05
    • 1Q84O1さん
      かなさん、おはようございます!
      才能を活かして警察とは違った視点から事件解決していけるからすごい!
      川瀬さんは、「ムシ」「服飾」など変わった...
      かなさん、おはようございます!
      才能を活かして警察とは違った視点から事件解決していけるからすごい!
      川瀬さんは、「ムシ」「服飾」など変わったものをテーマにしているので面白いです(≧∇≦)
      2024/01/05
  • 迷宮入り事件の再捜査を行う杉並警察署のベテラン警部・南雲の下に新たに八木橋が加わる。
    見た目は、刑事に向いてなく一見爽やか風ではあるが、さして活躍するわけでもない。

    やはりこのシリーズには桐ヶ谷京介でしょうという感じで、今回も難事件を見事な洞察力と服飾の知識でサクッと解決する。
    さすがである。

    今回は、6つの事件でかなりの年月が経っているにも関わらず解決に導く過程は、恐れ入りました…状態である。

    特に最後の「美しさの定義」では、切りじつけとか合印という縫製に関わるものしかわからない用語も出てきて、実家の母が家で洋裁をしていたことを思い出した。
    今は、ほとんど既製品だが昔は生地を裁断して仕立てていたんだなぁと懐かしく感じた。
    触ってはいけない領域で、そぉっと見ていただけだったが。

  • 第二弾も面白かった♪
    警部の南雲さんの相棒が初登場。
    前作での桐ヶ谷&小春の活躍に南雲警部も2人を信頼して警察の方から事件を持ち込んでくるように!

    短編6つ事件も6つ!
    その中で未解決事件ではなく、なんと小春の下着が盗まれるという事件が!!
    連続下着泥棒はベランダからパンティを盗み、その場で履いていたトランクスと取り替えて行くという事件です笑
    膨大なトランクスに残された証拠…
    材質、摩耗具合、ゴムの伸び方、あらゆるシワ笑笑
    この事件の解明は面白かった〜(●︎´艸`)ムフフ

    気軽に読めて面白いこのシリーズ♪
    第三弾お待ちしてます‹‹\(´ω` )/››


    • みんみんさん
      犯人はお前だ〜!!
      犯人はお前だ〜!!
      2023/07/30
    • ゆーき本さん
      お腹が痛い時は ヘソ下までくるパンツが助かります。
      あー!早くこっちのシリーズいきたいよぉ!
      お腹が痛い時は ヘソ下までくるパンツが助かります。
      あー!早くこっちのシリーズいきたいよぉ!
      2023/07/30
    • みんみんさん
      デッカいパンツ‹‹\(´ω` )/››
      このシリーズ薄いからあっと言う間です笑
      デッカいパンツ‹‹\(´ω` )/››
      このシリーズ薄いからあっと言う間です笑
      2023/07/30
  • シリーズ2の一冊。

    おなじみ仕立屋探偵桐ヶ谷くんが、服の情報から事件解決へと迫る短編集。

    桐ヶ谷くんの魅力、推理が盛りだくさんでお得感いっぱいに感じた。

    何度、彼と一緒に泣いて憤ってやるせなさを感じたことか。
    そして何度、小春と南雲警部との毒舌掛け合いに笑わせてもらったことか。

    そして目玉は、やっぱりシワ一つ、縫い目一つ、繊維一つから手がかりを拾っていくその過程。

    もう目から鱗が止まらない面白さ。

    せつない事件が今回も多かったな。

    過去に救えなかった…その不甲斐無さを抱える彼と一緒に憤り涙した「攻撃のSOS」が印象的。

  • 仕立て屋探偵第2弾。
    今回は短編集で展開が早く読みやすかったです。

    前回の非公式の探偵活動ではなく、正式に警察に依頼されて服飾面からアプローチしています。

    「未解決事件専従捜査対策室」の刑事2人と桐ヶ谷と小春がいいチームで動いています。

    服飾に残された僅かな手がかりから一気に謎を解いていくので、テンポがいいです。

    シリーズ化嬉しいです。

  • 服飾に詳しい桐ケ谷京介と、ヴィンテージに詳しい水森小春。
    民間人のふたりが、警察の捜査に協力していく、シリーズ第2作。

    非公式ではなく、正式に警察の捜査協力をすることに。

    服のしわ、素材、縫い目、服の趣味の変化といったものから、情報を引き出し、犯人の姿を浮かび上がらせる。
    どれも通常の捜査とは違った切り口で、新鮮。

    小春のゲーム実況ファンで、望んでチームに入ってきた、八木橋充。
    見方に癖があって、その言動がおもしろかった。

  • 服の特徴から全てを見通してしまう、仕立屋探偵シリーズ第二弾。
    今回は短編集だったので、さらりと読めた反面、いやいやそんな、数十年解決しなかった難事件が、布見ただけでたちどころに犯人捕まるとかないわ…感がより強くなってる気もした。
    でも同じ作者さんの、昆虫学シリーズもそうだけど、目の付けどころが面白いと思うし、こういうジャンルで事件解決できたらいいなという、爽快感?みたいなものもある。
    登場人物も個性的で、チームのバランスも良くて魅力的。
    次回作も楽しみだ。

  •  警察とはまったく異なる視点からのアプローチで、事件を解決に導いていく桐ヶ谷京介の活躍を描くクライム・ミステリー。

     東京高円寺の商店街。老朽化したかつてテーラーだった店舗に越してきた男、桐ヶ谷京介。 
     痩身長髪の芸術家のような風貌。自ら仕立てもするが、服飾ブローカーとして国を越えて広く活躍しているプロ中のプロだ。
     そんな桐ヶ谷には異能がある。着衣を見ればその人の健康状態から置かれた状況まで推測することができるのだ。
     シリーズ第2作は連作短編集。
             ◇
    10年前に起きた身元不明少女の死体遺棄事件。未解決だったその事件を、刑事や鑑識とは異なる観点から解決に導いた桐ヶ谷は、杉並警察署警部南雲の信頼を得て正式に捜査協力できることになった。

     例によって小春もマネージャー気取りでちゃっかり桐ヶ谷の横に控えているが、小春の能力も決して侮れないことは南雲もわかっているので咎め立てしない。

     こうして、仕立て屋探偵・桐ヶ谷京介の活躍譚が始まった。全6話。

          * * * * *

     川瀬七緒さんの作品は相変わらず痛快です。

     いかに優れた能力を持っていようが、閉鎖的な警察組織では民間人が捜査に加わることは難しい。警察内に理解者が必要になります。
     湯川には草薙。赤堀涼子には岩楯。そして桐ヶ谷には南雲。信頼関係は十分です。

     さらに今回は、前作の畑山に替わって八木橋巡査部長が南雲の補佐につきました。この八木橋がまたいいキャラです。桐ヶ谷や小春をリスペクトするあまり、希望して再捜査班に異動してきた変わり者ですが有能な若者です。(大魔神のような畑山も悪くなかったですが。)

     また、桐ヶ谷は虐待などの暴力に晒されている人間、特に子どもには敏感に反応します。けれど察知してもこれまでは手を拱いているしかありませんでした。声をかけても警戒されるだけ。通報しても信じてもらえない。
     被害者を救うためには警察という後ろだてが必要だと痛感していた桐ヶ谷にとり、南雲や八木橋という知己を得たことは大きい。

     本作が前作を上回るおもしろさだったのは、1作目すべてを費やして桐ヶ谷の活躍の場を整えたからだと言えます。まさに、川瀬さんの入念な構想力のなせる業でしょう。

     本作に収められた6話はどれもよかったけれど、印象的なのは下着泥棒に遭った小春が自ら事件解決に奔走する「ルーティンの痕跡」と、親からの虐待で追い詰められた少女を救出する桐ヶ谷を描いた「攻撃のSOS」です。

     2作品とも、小春や桐ヶ谷のキャラクターが十二分に活かされていて、読後の余韻も格別でした。特に「攻撃のSOS」は桐ヶ谷にとって本懐を遂げたとも言える出来事だけに感慨深い。

     とにかく先が気になって読むのが止まらないのに、残り少なくなると読み終えるのが惜しくてたまらなくなる。まったく傑作シリーズだと思います。
     赤堀涼子のように、この桐ヶ谷京介とも読者として長いお付き合いを願うばかりです。

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著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。’21年に『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』(本書)で第4回細谷正充賞を受賞し、’22年に同作が第75回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門の候補となった。また’23年に同シリーズの『クローゼットファイル』所収の「美しさの定義」が第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に。ロングセラーで大人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)から最新の『スワロウテイルの消失点』までの7作がある。ほかに『女學生奇譚』『賞金稼ぎスリーサム! 二重拘束のアリア』『うらんぼんの夜』『四日間家族』など。

「2023年 『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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