わたしのアメリカンドリーム (文学の扉)

  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065258248

作品紹介・あらすじ

ミアには秘密があるー―。
移民としてアメリカで厳しい生活をしている、5年生のミアとその家族。
一家は住み込みで、モーテルの管理人をすることになりました。
しかしオーナーがとてもいじわるで、モーテルでは毎日おどろくような事件がたくさんおきます。
ミアはモーテルのフロントデスク(受付)で知恵をしぼり、しあわせをつかもうとがんばります。
アジア系移民や黒人をめぐるリアルな姿が描かれる、新しい移民の物語です。

New York Times Best Seller List
Asian / Pacific American Award for Literature
New York Historical Society Children's History Book Prize Honor Book
Parents' Choice Gold Medal Fiction Award Winner
NPR Best Books of the Year
Kirkus Reviews Best Books of the Year
Publishers Weekly Best Books of the Year
Washington Post Best Books of the Year
Amazon Best Books of the Year
School Library Journal Best Books of the Year
New York Public Library Best Books of the Year
Chicago Public Library Best Books of the Year
Top Ten Debut Novels 2018 - ALA Booklist
他受賞多数

ケリー・ヤン
児童文学作家。中国からの移民として、カリフォルニア州で育つ。小さい頃は本の内容と同じく、モーテルで働いていたが、13歳で大学に進学し、カリフォルニア大学バークレー校とハーバード大学ロースクールを卒業する。アジアやアメリカの子どもたちに書き方やディベートを教える、ケリーヤンプロジェクトの創始者。主な作品に『Three Keys』など。

田中奈津子
翻訳家。東京外国語大学英文語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』『橋の上の子どもたち』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選らばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』(以上、講談社)など。

感想・レビュー・書評

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  • うわーーーー!すごいいい話!

  • 小説を読みたくて、気分的に、明るくなれそうなもの、ということで事前の情報も何もない状態で読み始めました。アメリカンドリームという名前だから、まぁ、最後はハッピーエンドだろうというのも最初から分かっていたので安心して読めそうなのも選んだ理由です。
    中国人移民の家族が仕事のため家族で住み込みでモーテルに住んで、モーテルのオーナーに意地悪されつつも諦めずに、最終的にはモーテルをオーナーから買取り、所有することが出来たので、成功への道を進むことが出来た、という、あらすじです。
    あらすじだけ書くとよくある話かと思うけど、この中国人の女の子がとても聡明で、10歳くらいまで中国にいたからネイティブではないのだけど、英語を努力しています。英語の向上の道の大きな方法は自分で自分の言いたいことを書く、ライティングなのかとこの本を読んでいて思いました。
    そして、クラスにに2人しか中国人、アジア人がいないのだけど、「2人はアジア人だから仲良くなれるはずよ!」みたいなクラスメイトの悪意ない発言にショックを主人公が受けていました。私もアメリカにいた時日本人にあいました。うん、もちろん基本的な考えや価値観、文化が似てるから仲良くなりやすいのはあるよ。けど、やっぱり性格ってあるよね…私はその日本人は苦手だったし、日本にいたら絶対友人になってない自信がある。ひとくくりにされるのも嫌だよなあ、と思いました。

    割と読みやすい文体だったので、さらっと読めたけど、人種問題もとりあげていて、考えさせられる良い本でした。

  • 何か明るいお話を読みたくて、タイトルから明るそうなこの本を手に取りました。
    勝手にそんなイメージを持って読み始めたもんだから、中国人の移民の女の子のお話で、しょっぱな家族3人で1つのハンバーグをを食べている時は、ん?ってなりました。

    主人公のミアはパパとママと3人暮らしです。ファミリーはアメリカンドリームを夢見て移住してくるのですが、その暮らしはあまり良いものではありませんでした。そんな時あるモーテルで住み込みで働くことになりました。そこのオーナーはヤンさんといって同じ中国人ですがとてもお金に執着春のあるケチな男性でした。

    そしていざ働き始めてみると、急に労働条件が変わったり、清掃や管理に追われ、ヤンさんからは搾取されまくり、それはもうとても過酷な日々となります。

    ミアのお友だちのルーペ。彼女の家庭も裕福ではなく、ミアにとってとても大事な存在になっていきます。ルーペのセリフで、「この国で勝ち組になると言ったらベッドの置いていないリビングを持つことね。」というセリフがありました。お金持ちから貧乏まで自分がどの位置にいるかというのは人それぞれ。貯金もない我が家は貧乏な気もするし、外食にたまにいけて、たまにほしい物を買えてるうちはそこまで貧乏じゃない気持ちにもなってくる。私にとっての勝ち組は…専業主婦かな。

    ルーペのセリフにはこんなセリフも。「貧乏人のジェットコースターからは降りられない」育った環境?本人の怠惰?はたまた運命か。貧乏人のジェットコースターというのは残酷な喩えでいろいろ考えさせられますね。

    胸に強く響いたのがパパがすごく高い鉛筆を買ってくれた話です。毎日がその日暮らしと言っても過言ではないほど切羽詰まっている中で、ミア元気づけるために買った鉛筆。パパはその鉛筆を大切に持っていなさいとは言わず、使ったらいいさと言いました。使ったらすぐになくなってしまう鉛筆に、600円をかけることで、ミアの価値はそれだけすごいものなんだぞって言っている気がして、涙が止まりませんでした。それはある意味では、お金をいっぱいためてすごいものを買うよりその時のミアには意味があると思いました。

    結局のところずっと貧乏で明るいお話ではなかったけれども、強く胸に響いた1冊でした。

  • ミアは中国からアメリカにやってきた移民。パパとママは、仕事を見つけようとやっきになって、ようやくモーテルの管理人という仕事を見つけた。しかも、モーテルで寝泊まりできる!
    でも、オーナーのヤオさんはがめつくて、とっても意地悪。家族がお金持ちになるには、どうしたらいいんだろう……?

    原書をよく見かけて、気になっていた1冊が邦訳された。
    親の仕事ではあるが、自分事のように一生懸命働くミアが、いつか自分のモーテルを持てたらと夢見るストーリー。その中には、アメリカならではの問題もたくさん描かれている。例えば医療保険の問題。医療保険に入っていないため、怪我をしないようにと体育の授業にまともに参加しないミア。家族が怪我をする場面もあり、そのときに請求された医療費は日本円にして60万円。とてもではないが支払えなくて困る。当たり前に思ってきた日本の医療制度をありがたいと思い、これが崩れないことを願ってしまった。
    また、犯罪が起きたときに黒人が真っ先に疑われるという人種差別の根強さも描かれる。
    ミアの、自分で考えて前向きに行動していくところに元気をもらえる。また、モーテルの長期滞在のお客さんや移民同士の絆の強さがとてもいい。
    日本と中国を混同されたときには、私もちょっとがっかりした(笑)。


  • 中国からアメリカへ移民したミアと両親を待ち構えていたのは過酷な人生だった。溢れるほどいる中華系移民にまともな仕事はなく、安い賃金でアパートすら借りられない。

    やがてミアの両親はラッキーにも住み込みでモーテルを管理するという仕事を見つける。だがラッキーだと思ったのは最初だけ。オーナーの中国人は信じられないほどケチでおまけに悪どい。賃金契約を勝手に書き換え、設備が壊れたら全て請求してくる。

    ミアは両親の手助けをするためにフロント係を買って出て、自分にできる工夫でモーテルへ貢献する。お客様カードを作ったり、忘れ物を郵送するサービスを思いついたり。
    そして手紙。

    だんだん覚えてきた英語を駆使してミアはあちこちへ手紙を書く。手紙はモーテルに住んでいるアフリカ系移民やミアの両親を頼って訪れた中華移民たちを支え、彼らの未来を切り開く。

    ミアのポジティブさとひたむきさが読んでいて爽快。状況は厳しいけど。

  • 作者も少女時代にモーテルで働いていたことがあると言うので、自身の経験がある程度反映されているのだろうか。黒人差別についても書かれている。

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著者プロフィール

児童文学作家。中国からの移民として、カリフォルニア州で育つ。小さい頃は本の内容と同じく、モーテルで働いていたが、13歳で大学に進学し、カリフォルニア大学バークレー校とハーバード大学ロースクールを卒業する。アジアやアメリカの子どもたちに書き方やディベートを教える、ケリーヤンプロジェクトの創始者。主な作品に『Three Keys』『Parachutes』『Room to Dream』など。

「2022年 『わたしのアメリカンドリーム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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