聖刻

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065240557

作品紹介・あらすじ

堂場警察史上初、女性刑事の物語。

「彼女のように強く優しく生きてみたい。『柿谷晶』は私の胸に消えぬ爪痕を残した。君に首ったけだ」
ーー林家正蔵

加害者と被害者の狭間で苦悩する女性刑事を描いた、
ネット社会の歪みを射抜く傑作サスペンス!

大物司会者の息子が、元恋人を殺害したと出頭。捜査一課の女性刑事・柿谷晶は取り調べに臨む。だが、被疑者は犯行を自供する一方、動機については口を閉ざす。晶は被疑者の家族に接触するが、家族はネット上の誹謗中傷に悩まされていた。加害者の家族だからといって、責めることは許されるのか? 自らの苦い記憶が甦る中、家族に張り付き、事件の背景を探る晶。犯罪被害者支援課の村野らと協力しあい、留まることのない加害者家族への悪意と戦いながら捜査を続ける晶だったが、やがて事態は最悪の方向に向かう。贖うべき「咎」は誰のものなのか。
ーー振りかざされる「正義」は、単なる「悪意」の裏返しだ。

感想・レビュー・書評

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  • 女性刑事が主人公。
    女性が活躍する話は好きです。
    堂場瞬一さんの警察物シリーズは好きで読んでいます。
    今回はその読んだシリーズの登場人物の名前が出てきて、その度に懐かしく楽しみました。

  • いつかこの題材を取り扱うことはあるだろうなとは思ってたけどシリーズ化してきたか。加害者家族支援とSNS問題を絡めているのでダブルで重い。加えて主人公が加害者家族であるという背景があるせいか壁を作りかつ、かなり独善的、攻撃的であったりして魅力に乏しく、読書スピードが落ちる。他のシリーズとの絡みもあるので読み続けることになりそうだが、もう少しカドが取れてほしいな。

  • 加害者と被害者の狭間で苦悩しながらも突き進んでいく勇ましい女性刑事を軸とした展開。

    ネットの悪意に巻き込まれ犯罪者になったり、被害者になったり。
    ネット中心の現代だとしないという選択は無いのかなと…結局は、自分の責任において、となるのだろうが。

    エスプレッソが大好きで休みの日は小型オープンツーシートを乗り回すこの女性刑事の新部署でのシリーズがスタートするのかな?

  • 別シリーズで今作への伏線らしきものが貼られていたのでファンとしては嬉しい。今作自体は動機が雑だったのが残念。新シリーズへと発展するのか気になるところ。

  • 犯罪加害者家族の女刑事が、加害者でありネット被害者である芸能人家族の精神的救済のために尽力するストーリ。プロット自体は可もなく不可もなくだし、女刑事の独善的姿勢もどうかとは思うが、人物描写の細やかさは良く、全体的に面白かった。堂場作品をそんなに読んでるわけではないが、何か会話や文章表現が軽い点が気になる。こういうストーリではこの文体は向いていないように思う。

  • 休日の早朝に紐解き始め、夜遅くまでの間に時間を設けて随時読み進め、素早く読了に至った。というより、これは紐解き始めると、ページを繰る手が停め悪くなり、そして「続き」が気になって仕方ないという感じになる。
    つい最近、『誤ちの絆 警視庁総合支援課』という作品を読了した。犯罪事件や事故に携わった人の周辺に在る人達全般、被害者、加害者を問わずに何らかの支援対応を行うべきであるとして“総合支援課”が登場し、配属された捜査一課に居た女性刑事の柿谷晶が奮戦するという物語であった。本作、『聖刻』は『誤ちの絆 警視庁総合支援課』の「前日譚」というような内容となっている。“総合支援課”が登場する前、構想段階、準備段階である時期という設定だ。柿谷晶刑事は捜査一課の捜査員である。
    物語は、練馬の警察署に設けられた事件の特捜本部に在る柿谷晶が、飛び込んで来た報せに驚くというような場面から起こる。
    練馬の警察署に特捜本部が設けられた事件とは、管轄内で若い女性が殺害されたと見受けられる事件であった。捜査一課の捜査員も特捜本部に入ることとなり、柿谷晶の所属する班が本部に入ることとなった。その本部に飛び込んだ報せとは、「女性を殺害した」という若い男が六本木の警察署に出頭したのだということであった。偶々他の捜査員が居なかったというようなことも在り、柿谷は同僚の井端を伴い、六本木へ出て出頭して来たという男に在って事情を訊くこととなった。出頭して来た男は、女性と口論になって押し倒した時に死亡してしまったという犯行そのものに関しては供述をした。女性は過去に交際した経過も在るのだという。が、その殺害に至ってしまった動機等に関して、男は言葉を濁し続けた。そしてその男は、高名なテレビ司会者の長男で、俳優活動をしていた経過も在ったという人物であった。
    捜査の焦点は犯行動機の解明というような事柄となって行く。柿谷は被疑者の周辺を調べるということで、高名なテレビ司会者である父親、その妻である母親、更にモデル活動をしているという大学生の妹という家族に接触して行くこととなる。
    出頭した男の犯してしまった罪を受けて、家族は非難や悪意に晒されてしまうようになる。父親は出演番組を直ぐに降板し、司会者の活動から退くとした。妹は、高名な父親との関係を明らかにせずにモデル活動をしていたのだが、その関係が暴露されたことも在って、結果的に活動を休むこととなった。結果的に“加害者家族”となってしまった人達に柿谷は向き合いながら、捜査を続けることとなる。そしてこの一家を巡って、幾つかの事件が発生する。柿谷はそれに取組む。
    そういうようなことで展開する物語で「如何なる!?」と本当に夢中になる。
    本作の一件の後に展開するということとなる“総合支援課”だが、それは“犯罪被害者支援課”のシリーズの「シーズン2」のような感じにもなっている。そういうことで、“総合支援課”の「前日譚」という感の本作には、“犯罪被害者支援課”のシリーズの主要人物が一部登場する。“犯罪被害者支援課”の主要視点人物である村野、行動を共にする場合も多く在る少し若い女性の安藤梓、被害者支援業務のベテランである女性職員の松木という人達が、本作の作中で各々に役目を果たしている。
    ヒロインの柿谷が向き合う一家は、「加害者家族」として非難や悪意を向けられてしまう一面が在ったが、その故に妙な事態に巻き込まれて「被害者家族」という性質も併せ持つこととなってしまう。こういうような、在り得る、または有り勝ちな事態の複雑化を踏まえて、“総合支援課”が構想されて行ったような感である。実に安直に悪意が拡散するような一面も在る様相…そういう中で懸命に闘おうとするヒロイン…これは酷く魅力的だった。
    題名の聖刻(せいこく)という語である。この聖刻とは 古代エジプトの文字「ヒエログリフ」(象形文字)を指すということであるらしいが、何か「読み悪い記録」というような含意で題名に用いられているのかもしれないと思った。真意が読み取り悪い情報が、訳が判らない程度に溢れている中での出来事というようなことか?後からそういうことを考えたが、本作を読み進めている中では然程気にしなかった。自身で面倒な過去を抱えながら、刑事の仕事に邁進し、女性が些か不利な場合も在る警察という業界で少し突っ張って頑張るという感じ、巷で色々と言われる御洒落に無頓着なようでいて、独自なライフスタイルを大事にしているというような、傍目に「カッコイイ!」という感じの柿谷晶というヒロイン…強く引き込まれる。
    なかなかに愉しかった!!広く御薦めしたい!!

  • これは新しいシリーズ物になるのかしら・・・ 多くの方が書かれてるが、この主人公が嫌いなんで、シリーズ物にするなら思い切り改心させて欲しい。事件としては難しい問題。現実にこういう事態が起こってるんでやになる。昔は良かったなあと思わず云いたくなる年寄り・・・

  • 発売と同時に終了した「犯罪支援課」シリーズからの橋渡し的な作品。
    堂場作品で初めての女性刑事が主人公となるが、個人的にはこの柿谷晶が人間として、とても受け入れ難い。
    元恋人を殺したと自首した犯人は大物司会者の息子。
    加害者でありながら、テレビで知られた存在の為、マスコミの攻撃から加害者家族を守る為、晶は家族をフォローを命じられる。
    現場で事件を追いたい性格の晶は、この命令が直属の上司ではなく、刑事総務課から直接命じられたことに反感を覚え、加害者家族への嫌がらせとして、自宅を放火しようとした犯人を追っているうちに、加害者の妹が自殺してしまう。
    そこでやっと加害者家族への意識が向く晶だったが、ただ痴情のもつれから元恋人を殺してしまっただけと思われた事件の裏に、想像を絶する悪意が存在することが判明する。
    芸能一家を追い込んだ犯人の本当の狙いは何だったのか・・・
    「犯罪被害者支援」シリーズで、SNSの影響で被害者だけでなく、加害者家族のフォローの必然性も出て来たことを示唆していた。
    それをこの作品でメインで描いた訳だけど、何だか前半は晶のやる気のなさに苛立ってしまう。
    作者の思うつぼなのか、初めて描く女性主人公だからなのか…
    女性主人公となっても、相変わらず食事シーンが多く、相変わらず食事に対する不満が満載。文句を描くくらいならば、書かなければいいのに、といつも思ってしまう。
    現在の犯罪が動機がすごく漠然としたものが多くなり、警察小説を描く側も時代に合わせなければいけないのだろうが、事件の真相や主人公の設定なども中途半端で、かなりがっかり。
    本当にこれまでのシリーズに登場した人物頼りで、これまた残念。

  • 最後の100ページは、さすが堂場さん。
    でも、200ページくらいまでは、あんまり面白くなくて読むのをやめようかと思った。他シリーズの人たちがたくさん出てきたのが嬉しかった。
    女性主人公の新シリーズ発動ですね!

  • ふむ

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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