学校ってなんだ! 日本の教育はなぜ息苦しいのか (講談社現代新書)

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感想 : 62
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065234754

作品紹介・あらすじ

ブラック校則、いじめ、教員のストレス。問題の根本にあるのは、自律をさせない日本型システムだった! 常識を覆す刮目の教育論!

感想・レビュー・書評

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  • 当たり前をやめた、で有名な工藤先生と、鴻上さんの対談。

    子どもたちが自分自身で考え、決めていくようにするための、ものすごく大切なマインド?が書かれている。
    だから、この本を読むと、こういう教育って面白い!やってみたい!こうあるべき!という意見がどんどん出てくると思うし、実際ワクワクする。

    でも、このマインドを丁寧に理解せずして、ある部分だけを真似しても、多分上手くいかない。
    それどころか、より先生や子どもたちを締めつける枷にもなりかねないと思う。

    多様性を認めることは、本当にしんどい。
    そして、学校という世界は、それをスローガンに掲げる割には、真反対の在り方をも、美徳に含んでいるのではないか。

    だって、安心安全を手軽に実現するためには、画一的、マニュアル的であった方が楽だもの。

    そして、自由に対する責任の部分を、どう考えさせるか?失敗に対して、一緒にどう向き合っていくのか?の部分に、お互いがビジョンを持っておかなければ、結局なんでもありに流れてしまうのではないかとも思う。

    多様であるというより、その一歩先に認める、がつくことの意味を今一度考えたい。
    多分、何度も読み返す本になると思う。
    しんどいけど。

  • いゃあ 面白かった

    それでも… と思ってしまう部分と
    だから… と強く思ってしまう部分と

    「学校」というところは
    ある意味で 日本の社会の縮図のように
    感じるところが多い
    今の日本の社会を眺めて
    いまや 制度疲労化している部分が
    とくに「学校」には顕著に現れている
    ような気がする

    そんな もやもやを 丁々発止の対談で
    言語化し可視化してくれた一冊

  • 新しい気づきがある本だった!
    自律・対話・創造
    本当に守らないといけないことを考えると校則のバカバカしいところが見えてきたりとか、宿題はいらないとか(できる人にはムダ、できない人にはただの壁。机に向かわせるのが美徳という観念だけであり、時間マネジメントの概念も大切)、定期テストは一夜漬けを産む悪しき慣習で、単元テストで履修確認すれば良い(テスト失敗したらやり直しあり)とか、物の見方を覆されるような討論がされていて、面白く読んだ。
    横浜創英、3年前に見学会行ったときは本当に普通のややかっちりした高校だと思ったけど、工藤校長になって変わったのかなぁ。秋に学校説明会行く予定なので、変化と校長の話がかなり楽しみになった。
    鴻上さんは光村国語6年に掲載あり。

  • 2021年最後に読んだ本、おもしろかった。ちょっと理想すぎなのかもしれないけど、すてきでした。

  • この本、めちゃくちゃいい。

    何が良かったかというと目的と手段、そして対話を大切にすることが
    一貫しているところ。

    何のための教育なのか。
    それを目指すために何をするのか。
    目的を達成するために対話を通して手立てを生み出す。

    校則がなくなったのはただの結果。
    校則をなくすために工藤先生は学校経営をしたわけではない。
    メディアがクローズアップするのは
    学テの結果、校則の廃止、支援学級がない などの
    ただの結果でしかない。

    結果を残すために自分たちは教育をしてるのでない。
    何を大切にしたいか、最上位の目的を対話により確認する。

    こうも書くと難しいよそごとのように見えるけど
    対話っていつでもどこでもできる。
    研修の時間じゃなくて朝でも放課後でもいつでもできる。

    自分の席の隣の人はきっと自分の話を聞いてくれる、
    対話してくれる、と
    隣の人を信じてこそ対話が始まる。
    勇気がいるかもしれないけど
    信頼は、まず自分が人を信頼することからはじまる。

  • 工藤勇一先生の本は何冊か読んでいるが,今回は特に今の日本の教育の課題に正対している1冊だと思います。

    以下備忘録

    ・今の子供達にはタイムマネジメントの力が必要
    →1日24時間しかない,その中にどれだけ自由時間を作れるか

    ・私にとってのパソコンはあなたの眼鏡と同じもの
    →ノートはパソコンだって構わない

    ・多様性ってしんどい
    →みんな違ってみんないいは苦しい,あっちこっちで対立が起きているからそこ全員が当事者にならないと

    ・対立軸を作ってはいけない
    →結果的に自分も信頼されず,子供達のためにならない

    ・タトリング(告げ口)とテリング(情報提供)の違いを学ばせる必要性
    →ノートに落書きはタトリング,カバンにナイフはテリング 

  • 学校関係で働き初めて2年目。
    少し現場がわかってきたタイミングで読めてよかった。
    学校の範囲に収まらず、これからの社会のこと、自分のこれまでとこれからの生き方について刺さる内容だった。

  • 本書は、工藤先生と演出家の鴻上さんの対談本です。

    学校を「変えた」人として注目される工藤先生ですが、全編を通じて、工藤先生も鴻上さんも、何も難しいことはおっしゃっていません。
    大事なのは自分で考えること。大事なものとどうでもいいものを間違えないこと。
    それに、命より大事なものなんてないじゃないか。分かり合えなければ、分かり合えるまで対話したらいいじゃないか、と。
    決して精神論や根性論ではない具体的な思考プロセスが示され、非常に納得感のある内容でした。誰かに責任を負わせるのではなく、何はなくとも現場でこれだけのことができるんだよ、と道筋を示しているところが良いです。
    繰り返し読み、自分なりに理解することで、十分家庭にも応用できる内容です。

  • 鴻上尚史さんと工藤勇一先生の対談集。演劇と教育の共通点という視点が面白い。当事者意識の必要性、他人事にするからクレームが多いなど、自分自身がこれからどのように教育に向かうのか、しっかり考え、行動していきたい。

  • 学校って団体の中で、これから世の中に出て普通に過ごせる様、基本的な事を学ぶ・教える所だと思っています。
    生徒主体に学校を持って行くのは本当に大変だったと思います。
    工藤さんすごい!
    やはり先生作り?から始めないとダメですよね。
    昔、中学校の用務員を3年間勤めていました。大学出てすぐの世間も知らない22歳の新人教員が、生徒、親、みんなに「先生!先生!」って毎日呼ばれていると普通の人でも調子に?のりますよね。そうゆう新人先生を沢山見てきました。
    一般社会を何年か経験してから「学校の先生」になるのがいいのではないかなぁ。
    教員になるための仕組みを変えないと、本当の「学ぶところ」、学校にはならないと思います。

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著者プロフィール

【工藤 勇一】(くどう・ゆういち)
 横浜創英中学・高等学校長・堀井学園理事/前東京都千代田区立麹町中学校長 1960年山形県生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県中学校教諭、東京都中学校教諭、目黒区教委、新宿区教委等を経て2014年4月より2020年3月末まで千代田区立麹町中学校長。2020年4月より現職。麹町中での教育改革を加速させ、横浜創英中で2022年4月より中高一貫6年制の「サイエンスコース」を立ち上げる。社会で活躍するさまざまな人を学校とつなぎ、「社会に貢献する科学」を創出する新しい時代の学びを構築する。内閣府の教育再生実行会議(2021年9月に第12次提言を出し終了。後継会議が設置予定)委員。

「2023年 『社会を変える学校、学校を変える社会』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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