シンジケート[新装版]

著者 :
  • 講談社
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感想 : 44
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065232125

作品紹介・あらすじ

伝説のデビュー歌集、31年目の新装版。1990年に第一歌集『シンジケート』で鮮烈なデビューを果たして以来、新世代の旗手として短歌ブームを牽引してきた穂村弘。現代短歌を代表する人気歌人にして名エッセイストの著者が描いたピカピカの恋のうたが、人気画家ヒグチユウコの絵と名久井直子の装丁で新たに生まれ変わります。解説・高橋源一郎。

感想・レビュー・書評

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  • 暴力的で荒々しい言葉遣いだけど美しい言葉の印象を受けました。
    暴力的だと感じるのは、恋人(たぶん)をおまえと呼ぶせいかもしれません。
    それと、女性を女と呼ぶせいもあるでしょう。
    文学で言えばエンタメ系ではなく純文学系の感じがしました。
    もう一人の現代の代表的歌人である俵万智さんはエンタメ系というイメージです。

    考えたのですが、穂村さんが恋人をおまえと呼び女性を女と呼ぶのは穂村さんは平成、令和の歌人ですが、穂村さんが昭和生まれだからで、そんなに暴力的という訳ではないのかもしれません。でも、あなたという呼称もありますが。
    今だったらぼくらとか君とかが多いような気がします。

    拙い的を得ない感想だったかもしれません。すいません。
    ちなみにこのレビューで1000レビュー達成です!



    以下よく引かれるという歌。


    ○子どもよりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」

    ○サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい

    ○桟橋で愛し合ってもかなわないがんこな汚れにザブがあるから

    ○終バスにふたりは眼むる紫の<降りますランプ>に取り囲まれて

    ○わざわいは夏降り注ぎママレードの中にのたうつオレンジの皮



    以下私が、好きだと思った歌


    ○編んだ服着せられた犬に祝福を 雪の聖夜を転がるふたり

    ○体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ

    ○「酔ってるの?あたしが誰かわかってる?」「ブーフーウーのウーじゃないかな」

    ○ゼラチンの菓子をすくえばいま満ちる雨の匂いに包まれてひとり

    ○ペーパーフィルターに世界の始まりを目守る神々春のゆうぐれ

    ○ハーブティにハーブ煮えつつ春の夜の嘘つきはどらえもんのはじまり

    ○裏切りの朝の香りはドロップの缶にそれだけ残した<はっか>

    ○「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて」

    ○「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて

    • aoi-soraさん
      まことさん、1000レビューおめでとうございます!!
      すごい数字ですね。

      まことさんの影響で、短歌や詩に憧れています(⁠灬⁠º⁠‿⁠º⁠灬...
      まことさん、1000レビューおめでとうございます!!
      すごい数字ですね。

      まことさんの影響で、短歌や詩に憧れています(⁠灬⁠º⁠‿⁠º⁠灬⁠)⁠♡
      でも難しいイメージで、手を出せません。
      いつか、いつか、挑戦したいです!
      2023/03/26
    • まことさん
      aoi-soraさん♪
      コメントありがとうございます!
      4年7カ月かかりました。

      短歌や詩集、是非読まれてみてください。
      詩集だ...
      aoi-soraさん♪
      コメントありがとうございます!
      4年7カ月かかりました。

      短歌や詩集、是非読まれてみてください。
      詩集だったら私のお薦めは、長田弘さん。文庫になっているものや、最近発行された『にほんの詩集』のシリーズもよさそうですね。
      短歌は、このコメント欄でひろさんにお薦めした、
      穂村弘さんの『短歌のガチャポン』や『あの人と短歌』などのアンソロジー、人気の歌人笹井宏之さんや杉崎恒夫さんの歌集がお薦めです。
      よかったら手に取られてみてください。
      2023/03/27
    • まことさん
      まおちゃん♪

      コメントありがとう!
      私もブクログにいたいけど、今の調子で、ずっと続けるのは、だんだん難しくなってくるかも。
      まおちゃんも、...
      まおちゃん♪

      コメントありがとう!
      私もブクログにいたいけど、今の調子で、ずっと続けるのは、だんだん難しくなってくるかも。
      まおちゃんも、たまにはブクログにも、遊びにきてね!
      いつも、待っているからね。
      2023/04/05
  • 皆さんのレビューから読みたくて。装丁挿画いろんなところに今の穂村さんの熱意が感じられるこんな素敵な歌集を手に入れることできて嬉しい!恋愛や生き方にもがく若さや自嘲を詠む歌が、あの時代を覚えている私には懐かしさも相まって心にしみる。

    • 傍らに珈琲を。さん
      改めて、111108さん初めましてです!
      早速本棚にお邪魔致しました。
      つい最近シンジケートを読んだのですが、とても刺激的で胸熱な体験をしま...
      改めて、111108さん初めましてです!
      早速本棚にお邪魔致しました。
      つい最近シンジケートを読んだのですが、とても刺激的で胸熱な体験をしました。
      穂村さんの青く尖ったものを感じることが出来る歌が並んでいて、大満足の一冊でした。

      111108さんの本棚、素晴らしいですね。
      幅広く読んでいらっしゃるし、感想もきちんと書かれていて。
      私はまだ始めたばかりなのですが、自宅の本棚の読み直しも含めて、少しずつ進めていきたいと思っています。
      のんびり気紛れ更新ですが、宜しくお願いします♪
      2022/10/18
    • 111108さん
      傍らに珈琲を。さん、こんばんは。

      すみません、ベルガモットさんの所でお返事しててすっかりフォローしてるつもりになってました。改めて、フォロ...
      傍らに珈琲を。さん、こんばんは。

      すみません、ベルガモットさんの所でお返事しててすっかりフォローしてるつもりになってました。改めて、フォローありがとうございます!傍らに珈琲を。さんが穂村さんや谷崎潤一郎読まれるいう所も嬉しいです♪

      いえいえ‥私は元々ミステリー好きでしたがそんなにたくさんは読んできてないんです。みなさんとやりとりしているうちに食わず嫌いだったのが治ったり、未知の地に足を踏み入れたりと、世界が広がって楽しいです♪
      〈感想をきちんと書かれている〉のは傍らに珈琲を。さんのほうですよ!内容も読んだ時の状況や感想もきちんと書かれてて素敵です。私は書くのは苦手なので後から読むと「なんだこりゃ」というレビュー多いのですが‥。
      これからもレビュー楽しみにしてますね!
      よろしくお願いします♪
      2022/10/18
  • そうか、31年前の歌集なんだ!そんなに前の歌集なのにちっとも昔な感じがしない。
    瑞々しくて可愛らしいことばで哀しみやおかしみを表現している。穂村さんってこんな歌を作る人だったんだ。
    わたしの頭のなかでは松本大洋さんの絵になって情景が浮かんでいる。そんなイメージ。

    好きな歌5首。

    ・体温計くわえて窓に額つけ「ゆひら」とさわぐ雪のことかよ

    ・「キバ」「キバ」とふたり八重歯をむき出せば花降りかかる髪に背中に

    ・「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備のすべて」

    ・許せない自分に気づく手に受けたリキッドソープのうすみどりみて

    ・子供よりシンジケートをつくろうよ「壁に向かって手をあげなさい」

  • 最初、全く意味が分からなかった。

    穂村弘さんの作品は初めてだし、そもそも、短歌の歌集を読むのも実は初めてで・・・最後の記憶は、中学校の国語の教科書だったろうか。

    「あれ、短歌ってこんな感じだったっけ?」というのが、まず思った印象で。
    穂村さんを知ってる方には、本当に申し訳ないのだけれど。

    それでも、とりあえず、細かいことは気にせずに、読み続けてみようと思い、ひたすら歌を追ってみると、だんだんリズム感が出てきたようで、根拠不明な面白さに陥り始めたとき、最初に気になった歌が現れた。


    俺にも考えがあるぞと冷蔵庫のドア開け放てば凍ったキムコ


    えっ、キムコって、あの悪臭を守る、あのキムコ?
    それから「俺にも考えがあるぞ」って。
    思わず、クスリとさせられて面白いし、何か現代小説のような、作者の台詞をそのまま載せて訴えている感じが、私には新鮮。

    そして、そのすぐ後に、


    「前世は鹿です」なんて嘘をためらわぬおまえと踊ってみたい


    踊ってみたいって、誘い文句、私にとってはすごく懐かしいなと思ってたら、この歌集は元々、1990年発売なんですね。

    道理で、当時を思わせる、雑多でいて、ロマンチックで、純粋な残虐性が怖くも哀しくもあり(私的にはブランキージェットシティを思い出した)、何でもあるのになぜか満たされない心の叫びのようなものまで、感じられるのか。

    そう感じたら、もう一度、最初から読まずにはいられなくなり、改めて読んでみたら、一気に私のお気に入りが増大した。


    「あなたがたの心はとても邪悪です」と牧師の瞳も素敵な五月

    君がまぶたけいれんせりと告げる時谷の紅葉最も深し

    血まみれのチューインガムよアスファルトに凍れ神父も叫ぶこの夜

    ほんとうにおれのもんかよ冷蔵庫の卵置き場に落ちる涙は

    闇の中でベープマットを替えながら「心が最初にだめになるから」

    「パジャマの片足に両足つっこんだ罰で彗星しか愛せない」

    真夜中の大観覧車にめざめればいましも月にせまる頂点

    街じゅうののら犬のせた観覧車あおいおそらをしずかにめぐる


    観覧車の歌は二つあり、それぞれ観点や味が異なるけど、どっちもすごくいい。

    時に、人間のどうしようもなさを惜しげもなく、書いているのもあるけれど、その反面、平和で穏やかな凪の感じもあるのが、人間の複雑さを表しているようで、この人好きかもと思えてくる。
    そして、やはり、ロマンチストだと思った。


    秋になれば秋が好きよと爪先でしずかにト音記号を描く

    抜き取った指輪孔雀になげうって「お食べそいつがおまえの餌よ」

    くちうつしのホールズ光る地下鉄の十色使いの路線図の前

    「まだ好き?」とふいに尋ねる滑り台につもった雪の色をみつめて

    あかるくてさみしい朝の鳥かごにガラス細工のぶらんこ吊す

    はるのゆき 蛇腹のカメラ構えてるけど撮る方が笑っちゃだめさ

    手はつながずにみるはるのゆきのなか今日で最後のアシカの芸を

    犬のためのミルク沸くまで真夜中のウエイトレスのシャドーボクシング


    そして、「スイマー」では、刹那的な文章もいいし、海をテーマにした歌をずっと読み続ける爽快感もいい。


    査定0の車に乗って海へゆく誘拐犯と少女のように

    手を叩け海のあおさに驚いたパトカーが椰子の樹に突っ込むぞ

    ゴムボートに空気(エア)入れながら「男なら誰でもいいわ」と声たてて笑う

    「海にでも沈めなさいよそんなもの魚がお家にすればいいのよ」

    バタフライ・ドルフィン・キックで切ってゆく水と光のバウムクーヘン

    砂の城なみうちぎわにたてられてさらわれてゆく門番ふたり


    どうしよう、この人、すごいよ。すごすぎる。この人の雰囲気、すごく好き。
    何か短歌というよりは、穂村弘さんを知る感じ。
    ただ、面白いとか怖いとか素敵なだけでなく、顔で笑って心で泣くみたいな感じが、すごく好き。
    短歌読んで泣きそうになるって、どういうことよ。

    と思っていたら、最後の、「ごーふる あとがきにかえて」の、ホチキスの針の最初のひとつで、とどめを刺された。涙腺崩壊というやつです。

    そう、私は今でもそれだよ。
    まさしく、ホチキスの針の最初のひとつ。

    「自由に、無意味に、震えながら、光りながら、ゴミみたいに、飛ぶのよ」

    • たださん
      111108さん

      エッセイは歌集とはまた違う感じなのですね。
      それもまた興味深いです。

      穂村さんの作品をたくさん読まれてる、111108...
      111108さん

      エッセイは歌集とはまた違う感じなのですね。
      それもまた興味深いです。

      穂村さんの作品をたくさん読まれてる、111108さんが怖いと感じる、それの計り知れなさに不安もありますが・・それでもいいと言ってしまいそうで怖いです(笑)
      2022/04/09
    • 111108さん
      たださん

      実は私そんなに歌集読んでないのです(-.-;)
      穂村さんに限らず歌集はとても「濃い」ので、読みどきを見極めないと酔ってしまうよう...
      たださん

      実は私そんなに歌集読んでないのです(-.-;)
      穂村さんに限らず歌集はとても「濃い」ので、読みどきを見極めないと酔ってしまうような引きづられてしまうような気がするので、少しずつ読んでます。

      穂村さんのエッセイは割と陽気でちょっと変なのが癖になります。

      でもこの2つが合わさると、知ってるはずの景色が違って見えるみたいな、こんな人だったっけ?みたいな‥
      いやいや、こんな恐ろしげなことあれこれ言わず素直に沼にハマってみるのが一番です!
      2022/04/10
    • たださん
      111108さん

      なるほど。歌集も小説のように、言葉の連なりでできているように感じますが、限られた字数でまとめ上げた世界に人が触れた瞬間、...
      111108さん

      なるほど。歌集も小説のように、言葉の連なりでできているように感じますが、限られた字数でまとめ上げた世界に人が触れた瞬間、起こりうる力は、また凄い作用があるのでしょうね。

      短歌にそのような力があることに、素直に驚きました。
      おそらく、ブクログをやっていなければ、一生知らずに終わっていたかもしれません。

      幾つになっても、知らなかった世界を知ることは素晴らしいものですね♪

      エッセイも読んでみますね。
      色々、教えて下さりありがとうございます(^_^)
      2022/04/10
  • 穂村弘さんのデビュー歌集。31年前に自費出版されたというこの歌集が、ヒグチユウコさんの装画、名久井直子さんの装丁で、新装版となって生まれ変わった。
    お三方のサインが入ると聞きボリス雑貨店まで行って購入してきました!手に持ったときの幸福感がすんごい。
    繊細な糸綴じで、こういうのコデックス装というんですね。好き……。
    一首ごとに放たれるきらめきは目が眩むほどで、一瞬の永遠、永遠の一瞬が見事にとじこめられている。定型の色気。私とあなたで世界を睨みつけたり、終焉を二人やわらかな毛布にくるまれて眺める、そういう感じがほんとうに甘やかでいいんです。

    〈ゼラチンの菓子をすくえばいま満ちる雨の匂いに包まれてひとり〉

    〈A・Sは誰のイニシャルAsは砒素A・Sは誰のイニシャル〉

    〈信じないことを誓って星は朝ねむる葡萄の肉色の空〉

    〈「自転車のサドルを高く上げるのが夏をむかえる準備の全て」〉

    〈試合開始のコール忘れて審判は風の匂いにめをとじたまま〉

    〈積乱と呼ばれし雲よ 錆色のくさり離してブランコに立つ〉

    〈終バスに二人は眠る紫の〈降りますランプ〉に取り囲まれて〉

  • とにかく、面白くて時間を忘れるほどはまってしまう歌集だ。

    高橋源一郎という人の、解説文も素晴らしい。著者の短歌の魅力を分かりやすく書いている。真実を鋭く見抜く目を持っているのだろう。劉備兄貴に孔明の事を紹介した水鏡先生のようだ。

    • 傍らに珈琲を。さん
      初めまして!
      いいねをくれた張飛さんの本棚を拝見し、ずっと迷っていたシンジケートを手にとりました。
      とても良い句集で震えました。

      張飛さん...
      初めまして!
      いいねをくれた張飛さんの本棚を拝見し、ずっと迷っていたシンジケートを手にとりました。
      とても良い句集で震えました。

      張飛さんの楽しいキャラのお陰です。
      読み終えた時に感想文はブクログにアップしたのだけれど、張飛さんへコメントが、ドキドキと迷っていて遅くなってしまいました。

      シンジケートと引き合わせてくれてありがとう。
      シンジケートは宝物の1つになりました。

      追伸:ブログの方もシンジケートの記事読みました。
      楽しい文章で、きっと皆さんの読書欲を掻き立てると思います♪
      2022/10/07
    • 張飛さん
      よう、傍らに珈琲を。!傍らに珈琲を。ってペンネーム、ドラマのタイトルみたいでかっこいいな!

      ブログを読んでくれたうえに、コメントまでくれて...
      よう、傍らに珈琲を。!傍らに珈琲を。ってペンネーム、ドラマのタイトルみたいでかっこいいな!

      ブログを読んでくれたうえに、コメントまでくれて本当にありがとよ!

      シンジケート、最高だよな!こんなに想像力を掻き立てられて、ワクワクできる歌集はなかなかないと思う。

      おまえの、感想も読ませてもらったぜ!「愛しき日常の素晴らしさ」ってめちゃくちゃいい言葉だな!この歌集にぴったりだと思うぜ!

      俺の本棚がシンジケートを手に取るきっかけになれたとしたら、これ以上ない光栄だ!

      ともあれ、俺は酒好きなただのおっさんにすぎねえから、飲み屋で飲みながら話してるような気分で気軽にまたコメントしてくれ!これからも、よろしくな!
      2022/10/07
    • 傍らに珈琲を。さん
      張飛さん、コメント返してくださってありがとうございます。
      嬉しいです。
      ペンネームや感想まで褒めて頂いてニコニコです。

      張飛さんが言うよう...
      張飛さん、コメント返してくださってありがとうございます。
      嬉しいです。
      ペンネームや感想まで褒めて頂いてニコニコです。

      張飛さんが言うように、シンジケートは読んでいるとワクワクしますよね♪
      好きな歌集に限らず小説や音楽や絵画など、自分の好きなものに出会った時は、自分の中から言葉や感情が溢れだします。
      そんな気持ちを語り合える仲間がここで増えていったら楽しそうだな~。
      ゆっくり進めていこうと思ってます。

      飲み屋で話してる気分て、いいですね♪
      こちらこそ、これからもよろしくお願いします!
      2022/10/08
  • 6/17 穂村弘×名久井直子 – 丸善ジュンク堂書店 オンラインイベント
    https://online.maruzenjunkudo.co.jp/collections/j70019-210617

    <大波小波> 伝説の歌集を今に:中日新聞Web(中日新聞定期読者記事)
    https://www.chunichi.co.jp/article/263812

    『シンジケート[新装版]』(穂村 弘)|講談社BOOK倶楽部
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000351539

  • 歌人・穂村弘氏のデビュー歌集です。
    「新装版が出た…!」と発売してすぐに購入しました。
    美しい装幀を愛でつつ、ときどき拾い読みをしていましたが、今回改めて通読。

    大学生のころ、はじめてこの歌集を読んだときの電気が走るような感覚がたびたびよみがえってきて驚きました。
    色褪せないとはこういうことか…!
    刊行されて31年という年月を軽々と越えたきらめきに、圧倒されてしまいました。
    昔も今も変わらず好きな歌もあるし、今だからこそ響く歌もある。
    私は多分、永遠にこの歌集が好きだと思いながら読了。

    余談ですが、本書を購入しようとレジに持っていったとき、書店員さんが「この本、ページのあいだにキャンディの包み紙が入ってるんですよ。3種類あるのでお好きなもの選んでくださいね」と声をかけてくださいました。
    教えていただけたことも、多分この書店員さんもほむほむが好きなんだろうなってことも嬉しかったし、店頭で手に取って本を選ぶ楽しみを改めて実感できました。

  • やっと手に出来た穂村さんのデビュー作。
    凄かった。
    度々鳥肌が立ったのは、FRESHNESS BURGERの冷房がききすぎてただけじゃない。
    これいい!こっちもいい!と付箋を立てていたら、付箋紙の意味がなくなった。

    リアリティの中の夢心地の瞬間を絶妙に捉えた句。
    逆に、キラキラ名詞のあとに続く塩辛い現実。
    はたまた静と動の美しさ。
    口語体の魔力。
    愛しき日常の素晴らしさ。
    その刹那にセンチメンタルな気分になる。
    そしてふと、私達読者のどんな毎日にさえ、それらは含まれるのだと気付いた。
    毎日を丁寧に生きていきたいものだ。

    これがデビュー作だなんて、ホント衝撃だ。
    当時、サラダ記念日のお祭り騒ぎで、シンジケートの存在すら知らずに過ごした私は一知半解だったとでも言うべきか。
    いや、一知無解か。
    あとがきをよせている高橋源一郎さんにも激しく同意する。
    そして、エッセイ集の穂村さんより尖っていて色気あります。
    たまに句中、その黒くて狡いものがチラリと見えて怖くなる瞬間もある。

  • いたずらな情熱。
    かっこいーな、オイ!てのも、若いな!てのも。
    懐かしい時代の熱も。

    〇言葉って凄いや。
    〇こんな感じで話す女性いるのかな?と思いながら関西弁に訳して読んでみると、しっくりきた。耳になじむかなじまないかだったか。
    〇キャンディの包み紙、うっかりベリッといってしまうとこだった。恐ろしい罠。たぶん、それも狙ってそう。

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著者プロフィール

穂村 弘(ほむら・ひろし):1962年北海道生まれ。歌人。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌にとどまることなく、エッセイや評論、絵本、翻訳など広く活躍中。著書に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』、『ラインマーカーズ』、『世界音痴』『もうおうちへかえりましょう』『絶叫委員会』『にょっ記』『野良猫を尊敬した日』『短歌のガチャポン』など多数。2008年、短歌評論集『短歌の友人』で伊藤整文学賞、2017年、エッセイ集『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、2018年、歌集『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。

「2023年 『彗星交叉点』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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