本当に君は総理大臣になれないのか (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065230664

作品紹介・あらすじ

――はじめに一つだけ確認しておきます。政治家の本にありがちな、馴れ合い、お世辞やお追従の満載、予定調和型のインタビューにするつもりは一切ありません。小川さんにとって答えづらいところもあるかもしれませんが、あとで活字になったゲラを見て「ここは都合が悪いからカットしてほしい」と言われてもお断りします。つまり完全な「ガチンコ」の取材なのですが、そのような条件でもよろしいですか?
小川 結構です。すべておまかせします。
――ありがとうございます。それでは始めましょう。意地の悪い質問に聞こえたらすみません。                               (本書より)


「地盤・看板・カバン」なし。野党で子分もいなくて、ほぼ無名。
なのに、「将来の総理候補」として最近、人気上昇中。

自称「日本を良くする政策オタク」。永田町での仇名は「修行僧」。

そんな50歳の清貧代議士に、忖度&お世辞一切抜きの本音でストレートに聞いてみた――。

「小川さん、持続可能(サステナブル)な日本をつくるとか言うけど、そんなこと本当に可能なんですか? 万年野党・弱小議員のアナタが言っても所詮、絵に描いた餅では?」

本書の主な内容
(小川淳也氏の発言)
●今の形のままでは日本は存続できない
●歴史からみれば「右肩上がり」の時代はレア
●政治家の仕事は「再分配」から「負担のお願い」に変わる
●30年、ずっと考え続けた「私の政策」は最強の構造物
●消費税率は減税後、長期的には25%に引き上げる
●「人生のチェックアウト」の導入
●定年制を廃止して労働環境を柔軟に変えていく
●日本の歴史は40年単位で大きく変わってきた
●小川版「未来の政治年表」
●「党議拘束」こそが野党を弱体化させている
●コロナと戦う病院が赤字になるのはおかしい
●すべての改革内容を盛り込んだ超巨大法案
●国民投票で否決されたら即退陣・引退
    
ガチンコ インタビュアーの発言
「政治主導」って結局、政治家の利権につながるだけでは?
民主党政権時代にやればよかったじゃないですか?
政策はわかりました。でもどうやって実行するんですか?
国会でスキャンダルばかりが義論されるのはなぜです?
画餅では? 大改革には非常大権が必要でしょう?

特別ルポ
ノンフィクション作家・中原一歩が描く小川の半生

感想・レビュー・書評

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  • ――はじめに一つだけ確認しておきます。政治家の本にありがちな、馴れ合い、お世辞やお追従の満載、予定調和型のインタビューにするつもりは一切ありません。小川さんにとって答えづらいところもあるかもしれませんが、あとで活字になったゲラを見て、『ここは都合が悪いからカットしてほしい』と言われてもお断りします。つまり完全な『ガチンコ』の取材なのですが、そのような条件でもよろしいですか?

    小川 結構です。すべておまかせします。

    ――ありがとうございます。それでは始めましょう。意地の悪い質問に聞こえたらすみません。(本書より)

    そんな切口上にも似た書き出しで始まる本書。確かに巷に数多ある自説と手柄話横溢の政治家の政策本ではない。

    地盤・看板・カバンもなく、ほぼ無名で異質の存在ながら一部の層から熱烈な支持を集める立憲民主党 小川淳也衆議院議員。東大法卒、旧自治省キャリア官僚 50歳。当選5回とは言え、選挙にはからきし弱く、小選挙区で勝てたのは1回のみ。残りは比例復活。地元香川1区の対抗馬は、自民党 平井卓也 (現デジタル改革担当相)。平井は地元の四国新聞・西日本放送のオーナー一族で強固な地盤を持ち、難攻不落の対抗馬。

    昨年、小川氏が17年前の初出馬よりその選挙活動を追ったドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』<大島新監督>が異例のヒットし話題となった。

    本書は自称『日本を良くする政策オタク』。永田町での仇名は「修行僧」。そんな清貧代議士小川氏に『では、総理になったら何をしますか』を単刀直入に切り込んだ一冊。

    ◉小川氏の政治思想の背景…
    人間の数が減り続け、今後低成長がずっと続く。右肩上がりの時代に作られた道路・住宅・橋・上下水道・病院・鉄道といった社会の基礎を成す大量のインフラもこのままでは維持するのも大変。1,200兆円もある政府債務や年金負担も人口減少の時代にはますます国民の重荷になっていくのは自明。

    ◉低成長時代の政治家の使命
    現在:『経済はなんとか成長させる、株価も賃金も上げるから、あとは自己責任で生きてほしい』

    転換:『教育や介護や福祉が必要な人には無償に近い形で利用できるように社会設計を大きく見直すから、そのための国民負担についてはきちんと議論させてほしい』…という政治・社会に移行しなくちゃならないと語る。

    ◉聞き手の逆襲
    『小川さん、持続可能(サステナブル)な日本をつくるとか言うけど、そんなこと本当に可能なんですか?万年野党・弱小議員のアナタが言っても、所詮絵に描いた餅では?』と鋭く突っ込む。

    その攻防は面白く、聞き手の突っ込みはもっともで、多くの国民が抱く野党の姿勢・存在に対する忿懣を代弁している。

    ◉小川氏の返答
    突っ込みを受けて、〈小川淳也版未来の政治年表〉を提示。題して『日本改革原案タイムテーブル』。自身が首相になったことを前提に改革断行のプロセスを明らかにしていく。

    総覧すると、これからの日本の課題が炙り出されており、その解決施策がまとめられている。

    ◉読後感
    我々アラフィフ世代の孫たちが所帯を持ち始める
    28年後の2050年の人口は1億192万人。高齢化率38%。2055年には高齢者が多数を占め、逆ピラミッド型、逆三角形に移行。

    改革の必要性は国民の多くは感じている。最大の問題は、それを託すに値する政党・政治家がいないというトホホな現状。また、いかに気高い政治思想があろうが、党利党益に貢献しないと御輿に乗ることもできず、小選挙区当選でなければ発言権も弱い。この厳しい現実を高邁な志をもっていかに埋めていくのか。

    昨今の政治家を見ていると、メディアの前では不機嫌そうに尊大にふるまい、口は歪み、木で鼻をくくった返答を繰り返す。永田町は老獪と老害と老醜が跋扈し、国が滅んでも永田町だけは存在しそうである。

    そんな政治三等国ニッポンに、石清水のような政治家がはたしてどう切り込んでいくのかを注目していきたい。久々に直に話に耳を傾けてみたい政治家が現れたのが、せめてもの救い。

  • 小川さんの出馬している香川1区に居住している者です。私は小川さんが出馬した当初から応援して来ました。私自身、小川さんが理想に燃える熱い人というのは理解していましたが、人となりを充分理解していなかったことに気が付きました。小川さんが大学生時代何を考えていたのか。イギリスで何を思っていたのか、また、出向先の愛知県春日井市で何をしていたのかなどこの本を読み、良く分かりました。私は政治というのは、一部の政治家に任せていてはいけないという認識を持っています。私自身も小川さんと共に、一人ひとりが充実して生きられる社会の実現に向けて努めようと思いました。
    この本は政治の入門書としても最適かと思います。若い方が政治に興味を持つきっかけになるようにも思います。
    素晴らしい本を出版してくれた小川さんと中原さん、そして出版社に深く感謝いたします。ありがとうございました。

  • つい先日
    ドキュメンタリー映画「君は総理大臣になれないのか」
    を観たばかりだったので、
    おもわず手に取ってしまいました。

    映画の中でも感じたことですが
    清廉潔白を体現したかのような小川淳也議員
    読みながら
    映画の中のシーンを何度も思い起こしていました

    小川さんご自身もあっぱれですが
    その小川さんを支えている家族の方たち
    その家族を支えている周りの人たち
    その周りの人たちを支えている
    「この国は もうちょっと なんとかならないのか!」
    と思っている人たちが
    少しでも
    いや
    確実に増えていく一歩としての
    この一冊の存在は大きいと思います

    もっと 読まれて欲しいなぁ

  • 田舎の生まれ育ちなので政治家というと地域のボスがなるもの、というイメージだったので東京に住んで選挙公報とかを見てスペックが高い人が多いことに驚かされた。本作品も東大法学部を出てキャリア官僚から政治家に転身した人物のドキュメンタリー。同名で映画にもなったみたいで店頭でプッシュされていたので興味を持った。四国のパーマ屋さんの息子で特に地盤や財産があるわけでもなく公立高校で野球にも取り組みながら現役で東大の法学部に入り「役人になって世の中の役に立て」という父親の言葉に従う形で自治省に入り、公務員の限界を知ってより世の中のためになろうと周囲の反対を押し切って政治家になった、という人らしい。選挙区には世襲議員で現役のIT大臣がいることもあってずっと比例復活で代議士活動しているらしい。この人の凄いところはきちんと政策があってそれは文書化されており(入手は難しいみたいだけど)本作でも「かなり練った政策だから簡単にブレないしなんでも聞いてくれて構わない」と言い切っている。かなりの理想論、という印象ではあるが政治家が理想を語り役人が実施を担うと考えるとこれぐらいの理想論でいいのかもしれない。政策だけではなく実現へのマイルストーンも公表しているところも素晴らしい。またTwitterで千本ノックと称して指摘や質問、そして攻撃にも回答していく、ということもずっとやっていて実際に見てみたけどもかなりの切れ味と真摯さだと感じた。選挙の前だけ駅前に現れて自分の名前を連呼するだけ、みたいな政治屋が多いけれども日頃から真摯に活動している人をこそ応援したい。その意味では個人的には同調できない立憲民主党の所属議員ではあるけれどこの人のことは今後も注目していきたいと思った。代議士なのに安アパートに住み続けてひたすら正論を吐き続ける、近くにいたらしんどいだろうけどこういう議員がいる

  • 自分が知らない事もたくさんあって、勉強になった。映画も見たがこういう人に日本を任してみたい。

  • 正義は、天然と相性が良いのかも知れない。

    しかし、天然は偽善を想起させる。無垢を偽装する事で、他人の油断を誘う。あざとさと表裏。読みながら、小川淳也がどちらなのかと。正義を貫く無垢さは、党利党略、党議拘束と折り合いがつくのか。彼はただの無垢ではない。無所属ではなく立憲民主からの出馬する位には、打算的で戦略もある。それが正しいかは不明だが。

    映画は見ていないが、映画にもなったという。『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた』という本を先に読み、この国会議員が小川淳也だった事。最近YouTubeの対談番組で彼が出演しており、興味を持った。生い立ち、政策、思考、本著で詳しく紹介される。

    天然とは言わないが、自然体だと思った。努力家だとも思う。裏表が無く、与し易い。それが小川淳也の良さだろうか。

  • 初めて、消去法ではなく投票したいと思う政治家を知った気がする。
    小川さんの考えが合っているかどうかは分からない。でも30年も政策を徹底的に考え、考え抜いているこういう人に政治を任せたいと思う。

  • 色んな政治家の方が書いた本の中で1番良かった
    政策の内容については、共感するところが多かった

  • この小川淳也という議員はよく知らなったが、よっぽど優れた政治家なので取り上げたと思って読んだ。
    読んだ限りでは、理想は高い人のようだが総理は無理だろうなと思った。

  • 小川代議士の特異性(政策の是非はさておき)は関心深いし、共著者の中原氏の代議士の半生をまとめたルポルタージュもコンパクトによくまとまっていた。

    ただ、代議士のインタビューにおけるインタビュアーがお粗末。講談社の現代新書編集部員がインタビュアーらしいが、新入社員ならともかく、中堅社員以上なら本人の適正以前の人選ミス。政治を真面目に学んでいる大学生(高校生)の方が余程本質を引き出せるインタビューが出来たと思う。

    インタビュアーの稚拙さにより星はマイナス1とした。

    ジュンク堂書店姫路店にて購入。

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著者プロフィール

元・立憲民主党の衆議院議員(6期/2021年12月現在)1971年、香川県生まれ。東京大学法学部卒。1994年自治省に入省し、2003年に民主党より衆議院議員選挙に初挑戦するも惜敗。2005年に初当選。2021年11月、立憲民主党の代表選を経て政務調査会長。対話する政治を全国津々浦々に広げていきたい。

「2021年 『選挙活動、ビラ配りからやってみた。「香川1区」密着日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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