中国の歴史5 中華の崩壊と拡大 魏晋南北朝 (講談社学術文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065219065

作品紹介・あらすじ

講談社創業100周年企画「中国の歴史・全12巻」の学術文庫版。第3回配本の第5巻は、220年の後漢滅亡から隋の天下統一(589年)にいたる大分裂の時代を取り上げる。
前漢・後漢の400年の大帝国は、後漢末期の混乱の中に崩壊し、魏・蜀・呉が争う三国時代を経て、晋の司馬炎による再統一をみるが、まもなく匈奴・鮮卑・羯・羌など異民族の大侵攻を招いていわゆる「五胡十六国」の大混乱時代に突入する。
華北はやがて鮮卑が建てた北魏が統一し(439年)、東魏、西魏、北斉、北周と興亡を繰り返す。一方、江南には漢民族の王朝である宋に続き、斉、梁、陳と次々に王朝が交替する。胡漢の勢力がたがいにしのぎを削るなかで、華北では雲岡や龍門の壮麗な石窟寺院が営まれ、江南には建康(現在の南京)を中心に陶淵明、顧ガイ之らで名高い六朝文化が栄える。
この魏晋南北朝時代は、日本列島には邪馬台国や倭の五王が登場し、朝鮮半島には高句麗・百済・新羅が興って、東アジアの「世界秩序」が形成された。その中心をなす「中華」も分裂と融合を繰り返し、非漢民族が漢化(中国化)するなかで拡大し、新たな中華世界を形作っていったのである。現代に続く中華意識と民族問題を視野に、東アジア世界の秩序の源流へとさかのぼる一冊。〔原本:2005年2月、講談社刊〕

感想・レビュー・書評

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  • 2021/3/24読了
    魏晋、南北朝時代。
    陳舜臣『中国の歴史』でも、隋も唐も元々は北方の異民族に由来するようなことが書いてあった筈だが、この辺の事情が本巻で詳説されている……が、五胡十六国・南北朝の大分裂時代は、雨後の筍の如く国家が乱立し、皇帝の名前まで被ってややこしい。そもそも、発端となった晋王朝の分裂・崩壊の経緯は、余りにお粗末。司馬懿仲達が草葉の陰で泣いているぞ。

  • 三国統一を果たした西晋の崩壊に端を発し、中華思想が江南、果ては東アジアに伝播した事象を、魏晋南北朝時代概説を通して俯瞰する。北朝における胡と漢、南朝における漢と蛮の棲み分けと融合は、その中心軸として生き続けた中華文明の汎用性と慥かさが感じられ、その後の隋唐で昇華するテーマとも感じた。この主題を踏まえつつ、煩雑なこの時期の事実の因果関係がよく整理され、読みやすさはシリーズ中でも秀逸。南北動乱と倭の関係も読みどころ。

  • 魏晋南北朝時代が対象。要点を押さえた叙述で、目まぐるしい五胡十六国と北朝、南朝の興亡が分かりやすい。一度解体された秩序が、侵略者を巻き込み拡大再構築されていく過程が興味深かった。

  • この時代、非漢族が南下し、自分たちの国をつくったり、中国大陸がいよいよ混乱の世紀に突入。しかし、この混乱が中華思想を育み、漢民族だけではなく、周辺の民族が各々の中華思想を持つに至る。
    倭のまとまりもその思想から生まれたものか。

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著者プロフィール

1950年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学後、佐賀大学教養部教授、九州大学文学部教授をへて、九州大学大学院人文科学研究院教授。著者に『中国の崩壊と拡大』(講談社)、『中国史のなかの諸民族』(山川出版)、『魏晋南北朝時代の民族問題』(汲古書院)など。

「2006年 『東アジア古代国家論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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