新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065218631

作品紹介・あらすじ

免疫学の第一人者が、最新の科学データで正体不明のウイルスの謎に迫る。
これぞ新型コロナ解説書の決定版!

山中伸弥氏推薦(京都大学iPS細胞研究所 所長)
「新型コロナウイルスを正しく知ることが、私たちにとって今最も重要なことです。最新の科学データを元に書かれた本書は、大いにその手助けをしてくれるでしょう」

新型コロナウイルスが中国で発生したのは、2019年12月。それからわずか半年の間に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は瞬く間に世界に伝播し、10月末には全世界の感染者数は4400万人を突破し、死者は120万に迫ろうとしている。このウイルスは過去にパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスとは明らかに違う性質を持っており、得体の知れない様々な謎を秘めている。「あり触れた風邪ウイルスがなぜパンデミックを起こしたのか?」「幼児は、感染しても軽症が多いのに対して、高齢者が感染すると重症化しやすい。なぜかくも症状に差が出るのか?」「なぜ獲得免疫のない日本人の多くが感染を免れたのか?」「有効なワクチンは本当に開発できるのか?」など誰も知りたい新型ウイルスの7つの謎に、最新の科学的知見に精通した免疫学の第一人者が果敢に挑む。本格的流行期を前に必ず読んでおきたい「読むワクチン」。

日本を騒がす風説を一刀両断!
●「実は日本人の大半はコロナに感染。集団免疫はすで確立している」は本当か?
●「コロナはただの風邪。恐るるに足らず」は、危険で間違っている!
●徹底的なPCR検査でも、コロナウイルスの封じ込めができない理由とは
●インフルエンザにすぐ感染する子どもたちが、コロナに罹りにくいのはなぜ?
●BCG接種にコロナウイルス感染を防ぐ力があるは本当か?
●トランプ大統領を救った?人工的中和抗体は「ゲームチェンジャー」になるのか
●抗体には、症状を悪化させる悪玉抗体、何の役にもたたない役なし抗体もある

感想・レビュー・書評

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    新型コロナウイルスが中国で発生したのは、2019年12月。それからわずか半年の間に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は瞬く間に世界に伝播し、10月末には全世界の感染者数は4400万人を突破し、死者は120万に迫ろうとしている。このウイルスは過去にパンデミックを引き起こしたインフルエンザウイルスとは明らかに違う性質を持っており、得体の知れない様々な謎を秘めている。「あり触れた風邪ウイルスがなぜパンデミックを起こしたのか?」「幼児は、感染しても軽症が多いのに対して、高齢者が感染すると重症化しやすい。なぜかくも症状に差が出るのか?」「なぜ獲得免疫のない日本人の多くが感染を免れたのか?」「有効なワクチンは本当に開発できるのか?」など誰も知りたい新型ウイルスの7つの謎に、最新の科学的知見に精通した免疫学の第一人者が果敢に挑む。本格的流行期を前に必ず読んでおきたい「読むワクチン」。
    日本を騒がす風説を一刀両断!
    ●「実は日本人の大半はコロナに感染。集団免疫はすで確立している」は本当か?
    ●「コロナはただの風邪。恐るるに足らず」は、危険で間違っている!
    ●徹底的なPCR検査でも、コロナウイルスの封じ込めができない理由とは
    ●インフルエンザにすぐ感染する子どもたちが、コロナに罹りにくいのはなぜ?
    ●BCG接種にコロナウイルス感染を防ぐ力があるは本当か?
    ●トランプ大統領を救った?人工的中和抗体は「ゲームチェンジャー」になるのか
    ●抗体には、症状を悪化させる悪玉抗体、何の役にもたたない役なし抗体もある






    ブクログの献本企画で初めて当たっていただいた本なのでとても嬉しかったです。
    発行日は11月、書かれていたのは10月頃のようなので もう3ヶ月くらい経っていて状況も変わりつつありますよね。
    感染力の強い変異株が入ってきているようなので 持病持ちとしてはとても怖いです。
    内容は専門的過ぎて私には難しい部分もありましたが その部分は読み飛ばしてくださいとちゃんと書かれてあり その他の部分はとてもわかりやすく丁寧にかかれていると思いました。
    自然免疫と獲得免疫について、ヘルパーT細胞とB細胞とキラーT細胞について、善玉抗体と悪玉抗体と役なし抗体について、などとても勉強になりました。
    ワクチンについて書かれている部分は とても興味深いものでした。
    ワクチンの認可に関わる問題についても読んでみると それまで疑問に思っていたことが更に強い疑問に変わりました。
    私が住んでいる地域では 死亡数が東京より多い気がしていて とても気になる部分なのです。
    たまに若い人が重症になっていたり 死亡していたりすると 身につまされる思いです。
    自分に出来ることをやるしかなく 余計なことを考える暇を作らないよう、本を読んだり映画を観たりと何かしらするようにしていますが この状況がいつまで続くのか...子供達の将来も不安ですね...

  • コロナウイルスについての報道は抽象的な表現が多く、もやっとしていたので勉強の為に読んだ。

    自分の場合は大学時代に生化学を学んでいたり慢性炎症の辺りが研究分野だったので基礎知識を思い出しながら読んだ。簡潔で分かりやすく的確に書かれているので、基礎知識のある人にとってはさくさく読めると思う。

    一方で文系だったり基礎知識のない人にとってどの位分かりやすいのかはちょっと分からなかった。

    コロナウイルスによる重症化事例がなぜ多臓器不全などなのか、各感染者検査の内容、コロナウイルスが何故パンデミックを起こす特徴を持っているのかがよく理解できた。

    やや免疫の基礎知識を持っている分、報道の伝え方から異なる推測の仕方をしてしまっていた所もあったので、正しく理解する事は重要だと思った。

    2020年時点での内容なので、最新の情報については書かれていないがコロナウイルスについて正しく警戒する為には読んでおいて良い1冊だった。

  • ウイルスには善も悪もない。
    ただ生き延びるのみ。

  • 体系的に書かれたものを一回読むとあちこちで出てきていた情報が収まりどころができるのが感じられてよかった。一年でこれだけわかるのね。

  • ウイルス、ウイルスに対する人間の体の反応、ワクチン、抗体など、日常の報道では曖昧な憶測や情報が飛び交っているので、事実を把握したいと思い本著を手に取った。

    敵を正しく知り、無闇に恐れるのではなく、正しく付き合うことが大切だと学んだ。一方で、進みつつあるワクチン開発は朗報ではあるが、その安全性が本当に照明されたわけではないことから、接種する場合は一定リスクは承知の上で接種する必要があると感じた。

    重篤化の可能性がある高齢者ならともかく、30代40代は重症化も少ないため、ワクチンの安全性が明確に示されるまで、積極的な接種は避けたいと思う。

    同時に、ワクチン開発や抗体の開発に励んでいる人間の力強さに頼もしさを感じた。私個人はちっぽけでただ不安に感じること以外何も出来ないけど、医療従事者や開発者など、人間ってホントすごいんだなという衝撃を本著を通じてあらためて感じた。武力に力を注ぐのではなく、コロナを通じて世界が手を取り合って人間の本当の意味での力強さを示してほしいと感じる。

  • 新型コロナに対する知識を少しでも付けることは大事だと感じられる本。
    マスコミがコロナは怖いから気をつけないといけないとか逆にコロナなんてインフル以下のウイルスだから自粛なんていらない!という両極端の考え方ではいけないと感じた。
    ウイルスは人間達が日々行っている環境破壊から未知のウイルスが作られているという考えも腑に落ちた。だから最近言われているSDGsを達成させることもこのようなことにつながる。個々人の環境を守る行動も将来につながる。そういう視点も大事だと感じた。
    コロナは人によって出る症状が大きく違う。またインフルのようにわかりやすい症状が出ないからやっかい。などコロナに対する基本的な知識や専門的な内容を素人でもわかりやすく説明してくれる本。
    今まで何冊かコロナ関係の本を読んだが、1番腑に落ちる内容でとても勉強になった。
    これからコロナに対して、正しく怖がって感染防止に努めていきたいと感じた。

  • 新型コロナに関する報道は本当に多いですが、玉石混交で何が正しいのか、何が間違っているのか、私自身も分からなくなることが多いです。テレビやネットではなく、ちゃんとエビデンスに基づいた情報が欲しいと思い本屋に行っても新型コロナを扱う書籍もまた玉石混交。そんな中、ブルーバックスなら間違いないだろうと思い、11月に発売になったばかりの本書を読んでみました。詳しい内容は、本書をお読み頂きたいのですが、トピックスとして私が「なるほど!」と思えたのは次のような項目でした。
    1)PCR検査、抗原検査、抗体検査の違いとそれぞれのメリット、デメリット
    2)新型コロナの症状は風邪やインフルエンザとは違うのかどうか
    3)なぜ子供は重症化する事例が少ないのか
    4)集団免疫に関するマスコミの大きな誤解と、実行再生産数の意味
    5)なぜ重症化する人と、軽症で済む人の違いが出るのか
    6)ヒトの免疫の仕組みの概略
    7)ワクチンの効果が長期間持続するケースとそうでないケースの違い
    8)中和抗体、役なし抗体、悪玉抗体の3種類の抗体の違い
    9)DNAワクチン、RNAワクチン、不活化ワクチン、弱毒生ワクチンなどワクチンのタイプ別の違い
    10)ワクチン開発のプロセスの概略
    11)著者がゲームチェンジャーと位置付ける人工抗体とは
    著者は免疫学者でいらっしゃるので、免疫のメカニズムの解説は少し難解で、著者自身も「ここは読み飛ばしてもらってもOK」と述べられています。しかし、それ以外の大部分は医学の知識が無くても理解できますし、日々の報道を理解する上でも非常に役立つ情報が満載でした。
    本書が発売されて以降も第3波の感染拡大など局面がどんどん変化していますし、新しい知見も次々と発見れています。でも本書出版時点における新型コロナの”正しい”知識を得られるという意味で、非常に充実した1冊だと思います。

  • ウイルス感染の基本的な知識を踏まえて、新型コロナウイルスが持つ特徴について科学的に解説した本。

    個人的には、自然免疫に対する訓練免疫の話が興味深かったです。免疫システムはとても複雑で、まだまだ未解明な部分があることを改めて実感しました。 2020年11月に出版された本なので、現時点ではすでに古くなっている情報もありましたが、「敵を正しく知り、正しく恐れる」ための基礎知識が簡潔にまとめられた良書だと思いました。

  • ブルーバックスなので、感染や免疫のメカニズムがメイン。基本的なウイルス感染と新型コロナの違いが説明されているが、まだわからないことも少なくない。ワクチン接種が始まる前に出版された本で、デルタ株やオミクロン株への変異といった状況の変化もあり、もうすでに古くなってしまった部分もある。

    新型コロナは、ウイルスに抵抗する能力を持つI型インターフェロンというサイトカインの産生や活性化を抑えるタンパク質を作る。I型インターフェロンの産生が抑制されることによって、炎症性サイトカインも産生されなくなるために、ウイルスが排除されにくく、風邪症状も出にくい。症状が出にくいために、感染者が社会の中を動き回り、感染が広がる結果となる。

    しかし、感染が進むと炎症性サイトカインが作られ過ぎて免疫の暴走が起こり、重症化につながる。特に、肥満、動脈硬化、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患などの持病がある人では、それぞれの組織の炎症が悪化し、全身状態の悪化にもつながる。

    PCR検査では、感染後数日間はウイルスが検体の中に出てこないことが多く、陽性にならない。従って、PCR検査は陰性証明にはならないため、必要な人に必要な回数行うことが望ましい。抗原検査はPCR検査より感度が低いが、迅速、安価、容易にできるので、頻度を上げて行うことで空白を埋めることができる。

    免疫には、生まれた時から存在する自然免疫と、感染によって発達する獲得免疫の2つがある。自然免疫系の食細胞には、マクロファージ、単球、樹状細胞、好中球などがあり、異物を細胞内に取り込んで分解あるいは殺菌する。また、サイトカインを作ることによってリンパ球による獲得免疫の働きを増強する。自然免疫が働かないとワクチンの獲得免疫も動かないため、免疫増強物質のアジュバントが入れられている。

    獲得免疫の主役で、白血球の1つであるリンパ球にはT細胞とB細胞があり、T細胞にはヘルパーT細胞とキラーT細胞がある。ヘルパーT細胞はウイルスを感知すると指令を出して、B細胞に抗体を作らせて血液や体液中のウイルスを殺し、キラーT細胞を活性化させてウイルスに感染した細胞を殺す。

    T細胞の機能は、各個人が持つヒト白血球抗原(HLA)の型によって変わり、1万種類以上ある。抗原提示細胞の代表である樹状細胞は、細胞内に取り込んだ抗原の一部を細胞膜の上に提示して、T細胞がそれを認識する。ワクチンに対しても、結合できるHLAを持たない人は抗体を作ることができないが、別のワクチンでは抗体を作ることができる場合もある。

    BCGや結核菌の菌体成分は自然免疫を強く刺激する。BCGが広範に接種された日本などの東アジアでは新型コロナによる死者数が少ないが、南米では死者数が多く、死者数が少ないオーストラリアやニュージーランドでは広範なBCG接種が行われていない。新型コロナの持つ特定のアミノ酸配列に反応するT細胞は、鼻風邪コロナウイルス由来の抗原で活性化するとの研究結果もある。

    抗体には、ウイルス感染を抑える中和抗体、ウイルスを殺せない役なし抗体、感染を促進させる悪玉抗体がある。不活化ワクチンでは、どの抗体もできる可能性がある。

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著者プロフィール

宮坂 昌之(みやさか まさゆき)
大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授。一九四七年長野県生まれ。京都大学医学部卒業、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了。金沢医科大学血液免疫内科、スイス・バーゼル免疫学研究所、東京都臨床医学総合研究所を経て、大阪大学医学部教授、同・医学研究科教授を歴任。医学博士・PhD。著書に『分子生物学・免疫学キーワード辞典』(医学書院、共著)、『標準免疫学』(医学書院、共著)、『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何『免疫力を強くする 最新科学が語る免疫とワクチンのしくみ』『新型コロナ 7つの謎』(いずれも講談社ブルーバックス)『新型コロナワクチン 本当の「真実」』など。

「2022年 『新型コロナの不安に答える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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