今昔百鬼拾遺 月 (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社
4.06
  • (10)
  • (14)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 208
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (752ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065190197

作品紹介・あらすじ

鬼の因縁か、河童の呪いか、天狗攫いか──
昭和二十九年。連続する怪事件の残酷な真相。

「先祖代代、片倉の女は殺される定めだとか。しかも斬り殺されるんだという話でした」 昭和29年3月、駒沢野球場周辺で発生した連続通り魔・「昭和の辻斬り事件」。七人目の被害者・片倉ハル子は自らの死を予見するような発言をしていた。ハル子の友人・呉美由紀から相談を受けた「稀譚月報」記者・中禅寺敦子は、怪事件に不審を覚え解明に乗り出す。(「鬼」)

複雑に蛇行する夷隅川水系に、次々と奇妙な水死体が浮かんだ。3体目発見の報せを受けた科学雑誌「稀譚月報」の記者・中禅寺敦子は、薔薇十字探偵社の益田が調査中の模造宝石事件との関連を探るべく現地に向かった。第一発見者の女学生・呉美由紀、妖怪研究家・多々良勝五郎らと共に怪事件の謎に迫るが―。山奥を流れる、美しく澄んだ川で巻き起こった惨劇と悲劇の真相とは。(「河童」)

是枝美智栄は高尾山中で消息を絶った。約二箇月後、群馬県迦葉山で女性の遺体が発見される。遺体は何故か美智栄の衣服をまとっていた。この謎に旧弊な家に苦しめられてきた天津敏子の悲恋が重なり合い―。『稀譚月報』記者・中禅寺敦子が、篠村美弥子、呉美由紀とともに女性たちの失踪と死の連鎖に挑む。天狗、自らの傲慢を省みぬ者よ。憤怒と哀切が交錯するミステリ。(「天狗」)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 百鬼夜行シリーズのスピンオフとでもいうべき連作集。先に文庫で出ていたのは知ってましたが、やっぱりカバンに入らない厚みのノベルズサイズでないと!

    登場人物は女学生だし、今風の言い回しとかが出てきたからてっきりティーン向けの作品なのかなとちょっと思ってしまいました。でも、中身はやっぱりぺダンティックであり適切な言葉の積み上げによって無いはずの物があるように見えてくる技が光る百鬼夜行シリーズでした。
    脳は母国語で思考するから、自国の言葉を正しく使わないときちんと思考できない、と誰かが言ってました。まさにその通りの怪しい世界を切れ味鋭い言葉で解体していく過程が面白くもあり、だからこそ論理では解ききれない人間の悲しさもかえって浮き彫りになります。

    岩手の河童の顔が赤いという表現が出てきます。
    遠野駅前の河童の像は赤いのは正しく作られていたのですね。やっぱりもう一回遠野にいこう。

    各話にでてくる警察官の憎めないダメキャラが可愛すぎてツボ。

  • このシリーズはおべんとばこのようなノベルズじゃないと。個人的には文庫よりノベルズ。
    呉美由紀ちゃん(絡新婦?)と敦子さんが絡む。昭和29年の話。
    「鬼」章のはじめは、とても怖かった(ちょと違うが変換できない)で始まる。辻斬りが発生。しかもだんだん切り方がうまくなっていき、最終的に人を殺している。
    「河童」章のはじめは、品がない(言い回しは毎章で違う)で始まる。密談していた男たちが夷隅あたりの川で尻を出して次々に死んでいく。多々良先生、益田も登場し、支離滅裂。
    「天狗」章のはじめは、高慢なのです(言い回しは毎章で違う)で始まる。探偵にお世話になった美也子さん(「百器徒然袋――雨」で、榎木津のおかげでしょーもない婚約者と結婚せずにすんだ)と美由紀が出会って高尾山に登り、落とし穴に落ちる。2名の女性が死んでおり、2名の女性が行方不明。やるせない話だなぁ・・・過去の遺物のような老人を発端とした話w
    この厚さでも、どんどん読めてしまうんだよね。本編を何年も待っているのだ('_')

  • やはり「天狗」。

    鬼→うーん、まぁそうか
    河童→やっぱスピンオフだとこんな感じか、、まぁ脱線感はいい感じだけど。
    天狗→うぉぉ

  • 久々の京極先生。
    年末年始で読み切りました。
    一気読みできるほどのスピード感はないものの先が気になる程度ではあり。

    個人的には天狗、とそこに込められた思想が好みでした。ひどい事件だけれども

    2022.1.2
    1

  • 久々の京極夏彦。しかも百鬼夜行シリーズ。
    二段組にこの分厚さ。読んでも読んでも進んでいる気がしない・・・。
    持ってられないし、いや~、身体的に疲れた。

    主人公が女学生のせいなのか、なんだか印象が違った。
    大人に啖呵を切るってのは、結構ありがち。内容も説教的で青臭い。
    駄目な大人を言葉でやり込めるこの感じ。ちょっと田中芳樹っぽい。
    渦巻いて、闇の淵に引きずり込まれて行くような、これまでの異様な世界とは違うかな。
    まあ、取っつきやすいし、軽い。これもまた良し、か。

    『ヒトごろし』が関わってくるとはね~。

  • 講談社タイガ、角川文庫、新潮文庫で発売されたものの合本。講談社ノベルスという形で出たのが嬉しい。
    京極堂や関口、榎木津は出て来ず、呉美由紀と敦子がメイン。
    結構あからさまに現代社会の問題点を取り上げてズバズバと斬りつけている。
    久しぶりに読んだせいか、敦子ってこんなにドライな人だったかなぁと少々違和感。

  • 天津敏子さん、富士額にアイシャドーの人、なのかな?

  •  呉美由紀・中禅寺敦子の二人がかかわる三つの事件(鬼・河童・天狗)をまとめたもの。
     大幅な加筆訂正があるということだが違いはよくわからなかった。ただ前回よりも理解しやすかった気もしないではない(単に既読だったからかもしれないが)。

  • 面白かった。敦子さんや美弥子さんまで出てきて楽しめた。

  • 読んだけど読んでない本
    文庫が先に出てノベルスが出るの狡い
    揃えたくなるじゃないか
    でも文庫のカバー装丁好きだからいい

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

京極夏彦の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×