サピエンス日本上陸 3万年前の大航海

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065185544

作品紹介・あらすじ

私たちの祖先は、なぜ日本を目指したのか?――命がけの航海から見えてきた「新しい人類史」!

「最初の日本列島人は、当時陸続きだった大陸から歩いてやってきた」――これは今や間違ったイメージだ。我々の祖先は、何らかの手段で海を越え、日本列島へたどり着いた。
しかし、その事実には不可解な点がある。
水平線の先にある見えない島の存在を、彼らは知っていたのか。
世界最大級の海流、黒潮を、どうやって越えたのか。
そして、それほどの難関に立ち向かってまで、なぜ海の向こうを目指したのか。
――謎に挑むため、私たち現代人がおこなった命がけの実験航海実験。そこから見えてきた日本人誕生の物語と、「祖先たちの本当の姿」とは。



〈この太古の航海は決して、選ばれし屈強な男たちが主役の冒険物語ではない。
これは後期旧石器時代を生きた、ふつうの男女たちの物語なのである。   ――本書より〉

クラウドファンディングで計6000万円もの支援を受けて達成された「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」の成果がここに!

感想・レビュー・書評

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  • 【AIにはできない】
    約3万年前にホモサピエンスは大陸から日本へ渡ってきたと言われています。

    最も近い台湾から与那国島でも台湾から与那国島は見えません。
    当時も台湾は自然が豊富で山には木の実、果物があり、海では魚が十分に取れ、食べ物には困っていなかったと思います。

    わざわざ見えない、何があるかわからないその先を見に行こうとする行動に合理性はありません。

    しかし、その意味不明なことをできるのが人だと思います。

    AIにはこの意味のないチャレンジができないのです。

  • 人類は日本にどうやって来たか?
    1.大陸やサハリンと繋がっていた北海道ルート
    2.朝鮮半島から対馬ルート
    3.大陸と繋がっていた台湾からの沖縄列島をつたわって来たルート

    この3の仮説を実証実験したもの
    2013年3月にプロジェクトを立ち上げてクラウドファンディングで資金を調達して
    台湾で船作り、草、竹、木を試して
    数々の失敗を経て2019年7月、ついに台湾から与那国島への航海に成功する。

  • 日本人のルーツの一つに、南方系のルートがあると考えられていますが、そのルートが成り立ち得るのかどうか、実際にやってみよう、というプロジェクトの全体を紹介した本です。

    とはいえ、南方系のヒトが初めて日本に渡ってきたのは3万年以上前のことなので、想像するしかない部分は多々ありますし、3万年前と今では、海の状態も陸の状態も違うので、完全再現は難しいですが、それでも、人力だけで南方系のルートは可能と考えて差し支えないレベルの成果が得られたことは、非常に意味があると思います。

    それにしても、このプロジェクトに関わった皆さんの情熱には、圧倒されます。
    南方系のヒトが日本に渡ったときにも、きっと同じような、あるいは、この本に出てくる皆さん以上の情熱があったのでしょうね。

  • プロジェクト成果を一般書にわかりやすくまとめるのは本当に良い。楽しめました。

  • 海部先生たちのこのプロジェクトは存在は知っていたけど詳しくはこの本で初めて知った。素晴らしいプロジェクトですね。

    行けたのかどうか、どう行ったのかということ自体よりもそれらを体験的に探ることによって「なぜ行ったのか?」というwhyを追求しようというロマンふれるプロジェクトでした。草筏、竹筏、そして丸木舟を作り海に出てみること、そもそも島を見つけること、海の上での様々な実際の出来事、どの過程も興味深かったです。

    日本への上陸だけでなくオセアニアの各島への進出にも想いを馳せたくなりますね。

  • 3万年前の大航海について、実際に3万年前につくったであろう船をつくり航海した話。
    現代だからこそ起こった問題も面白おかしく語られていて、読み物としても面白い。
    航海して終わり、ではなく、そこからさらに考察を深めていくのも良い。
    台湾から日本に3万年前、人類はどうして命がけだとわかって航海したのか、決意をしたとき、海を渡っているとき、何を思ったのか、そんなことに思いをはせる。

  • Amazonオーディブルにて。朗読がいきいきとして、勢いがある感じが本のノリと合っていて良かった。
    ヨーロッパの遺跡の壁画を描いたサピエンスに嫉妬する感じ、笑ってしまうけどちょっと共感した。
    3万年前の人類に、寄り添って想像してみる試みが面白かった。どれだけ近づけたのか分からないけれども。
    移住したということは一定数以上の男女が協力し合って計画して挑んだはず、という考え方が良かった。

  • このプロジェクトは著者の著作やTV報道で知識はあったが、失礼ながら地形や環境もすっかり異なった現代の突飛な冒険実験、という印象が強かった。
    しかし本書でこの試みに携わった人々の真摯な頑張りにまずは感銘を受けた。また旧石器時代と現代の地形や海流の差など、分かっていることと分からないことを判別する、著者の科学者らしい記載もとても良かった。
    与那国島からは台湾が見えると言うから、船で渡ることは造作ないことかと思っていたが、逆は真ではないという。
    海上からは見えない島、何があるのかも分からない島、夜を越さなければたどり着けない島。成功した人よりも、命を落とした人の方が多かったのではないか。しかもたどり着いたといっても苦労の連続であっただろうに成功なのかどうかすらわからない。そこを目指したのが人類なのだ。
    それでも好奇心にあふれ、未知な世界に挑むことを恐れない。それが人が人たる所以の一旦なのだろう。改めて今の自分がいることをありがたいことだと感じた。

  • 良書。と言うか、素晴らしい取り組み。
    3万8000年前、日本に人類が船でやって来たと推論し、実際、体験、証明しようとする。面白く無い訳が無い。

  • 丸木舟を漕いで、台湾から与那国島に渡ったホモ・サピエンスたちの後ろ姿が、時空を超えて、あとちょっとで見えそうな気がした。

    それほどの臨場感に、胸が熱くなった。
    科学には、こういう形もあるのだ。

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著者プロフィール

 海部陽介(東京大学教授)
1969年生まれ。東京都出身。東京大学大学院理学系研究科博士課程中退。博士(理学)。
主な著書に『人間らしさとはなにか』河出新書、『サピエンス日本上陸』講談社、『日本人はどこから来たのか』文藝春秋、『人類がたどってきた道』NHK出版などがある。

「2022年 『海洋進出の初源史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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