自分をコントロールする力 非認知スキルの心理学 (講談社現代新書)
- 講談社 (2019年11月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065179192
作品紹介・あらすじ
「自分をコントロールする力」が人生の成功を左右する!
近年にわかに注目を集める「非認知スキル」。そのなかでもとりわけ「自分をコントロールする力(実行機能)」は、どうやら学校の成績や仕事の業績、そして将来の健康をも大きく規定するようです。
果たしてその能力は、どのようにして身につくのでしょうか。あるいはどんなときに働かなくなるのでしょうか。発達心理学の最新知見から、その育て方・鍛え方を大公開します。
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「非認知スキルがIQより大事って本当?」
「がまんが苦手な子どもの将来はどうなるの?」
「親の貧困や虐待は子どもにどんな影響を与えるの?」
「YouTubeを子どもに見せるのはやっぱりダメ?」
「理想の子育てって?」
「大人でも鍛えられるの?」
……いま大注目の「非認知スキル」にかかわる”そもそも”の疑問に、最新の科学が丁寧に答えます!
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[目次]
はじめに
第1章 実行機能とは?
第2章 自分をコントロールすることの重要性
第3章 実行機能の育ち方
第4章 自分をコントロールする仕組み
第5章 岐路となる青年期
第6章 実行機能の育て方
第7章 実行機能の鍛え方
第8章 非認知スキルを見つめて
おわりに
感想・レビュー・書評
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2020.5 記。
日経書評欄に載っていたのでミーハーに読み始めた。
ざっくり、「ガマンする力」と「やり抜く力」(グリッド?)は表裏一体で、それらを総称して「実行機能」と心理学領域では呼んでいるらしい。
実行機能=「目標に向かって自分をコントロールする能力」。
面白く読んだのだが、読む前に想像していたセルフコントロール=要するにストイシズム、という予断は誤解だったっぽい。
有名なマシュマロテスト。小さい子の前にマシュマロ一つを置いて、しばらく我慢できたら二個あげる、と約束して一人にしておいて我慢できるか。
他の実験もチョコをガマンさせたりプレゼントを盗み見るのをガマンさせたり、なんか要するにおなじに見える。
どれも将来のより大きなリターンのために今我慢しているだけで欲望そのものを抑えているわけではない。異時点間の最適化の問題という気もするのだ。もちろん、より大きな「目標」達成のためには、年単位でこの視座を持てるようにならないといけないのはわかるのだが。
例えば禅などは、何かを達成したいという欲望そのものを相対化する試みと理解している。
今我慢すればより幸せになれるよ、という考え方自体から解放されようという取り組み、というか。
「成功」か「平安」か、目指すものによって訓練の仕方も変わってくるのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今話題の非認知能力の概要についてよく分かる本です。
科学的なエビデンスをしっかりと示しながらも、それら全てを鵜呑みにしないよう、読者に呼びかけているのが素敵。
さて、非認知スキル
•思考の実行機能
•感情の実行機能
の2つに大きく分けることができます。
特に思考の実行機能ら学力との相関性もあることが確認されており、近年注目を集めているそうです。
さて、こういった実行機能の鍛え方として、今のところ
ゲーム、運動、マインドフルネスなどがあげられています。
モンテッソーリ教育なども注目されていますね。
学校ではテストなどのIQ重視の教育ばかりに赴きをおかれますが、実行機能を鍛えるという観点からどのような教育を
行っていくべきか?という視点をもっと持つべきだと思いました。
本書では触れられていませんが、
つまり、それが主体的•対話的で深い学びで育む資質•能力とはこの非認知スキルのことだと言えます。
まずは、教師がこういった研究結果を学ぶことから始めないといけませんね。
具体的な研究例がたくさんのっているので、学校関係者の方が研修会などで使うのも良さそうです。
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自分のだらしなさはどこからきているのか、それをコントロールするにはどうしたら良いのかが気になって手に取ってみました。
大人の実行機能はなかなか上げられないのですね、、。
でも、自分の親が子供の時にしてくれていたことの意味は考えさせられました。 -
ADHDグレーゾーンの可能性のある子どもに対し、感情や衝動のコントロール方法をどう教育すれば良いか悩んでいた中手に取った1冊。
感情・思考の実行機能の重要性を痛感した。
感情や気持ちを切り替えるのはそう簡単なことではないが、小さな頃からその能力を鍛えることができれば、(特に発達に課題のある人にとって)生きていく上でとても楽になるだろう。
参考になりました。 -
実行機能の発達
ブレーキが後から発達
アクセルが突出する思春期
具体的な実行機能の鍛え方?
⇒テニス経験と実行機能の関係という論文が面白そう
素質よりも環境
虐待と実行機能
話題が豊富で,特に親が知りたい(ような)具体的な育て方や環境と実行機能について,そんなに専門的な内容に掘り下げないので読みやすいのでは。 -
子どもの将来に大きな影響があるとして注目を集めている「非認知スキル」
そのなかでとくに大事な「実行機能」について、最新の知見をふまえて紹介する
「実行機能」(≒「自制心」)とは、目標を達成するために自分の欲求や考えをコントロールする能力
・どういう能力を指すのか
・どのくらいの年齢で、どのように育つのか
・子育てや教育・保育によって、どのように育むことができるのか
・鍛えることができるのか
ニュートラルな立場で、わかりやすく、ていねいに、ユーモアをまじえながら解説した良書
著者は京都大学大学院准教授、専門は発達心理学・発達認知神経科学
第8章の8ページだけでも読む価値あり -
子育てにおいて非認知能力という言葉が重要視され、様々な関連本が出版されていますが、この本では、発達心理学の専門家が、現時点で有効とされている研究データや論文を基に解説しています。それ故に断言する言葉遣いが少ない印象でした。
子育てに「成功した」方の体験談に基づく本も良いのですが、こちらの本は冷静且つ分かりやすい例えや言葉を選んで書かれているので、個人的にはこちらの方が説得力あるように感じました。
そして実行機能の健全な発達には何が必要か、答えは意外とシンプル。情報に振り回されて疲れている人にとっては肩の荷を降ろせる内容。