沃野の刑事

著者 :
  • 講談社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065176948

作品紹介・あらすじ

富む日本、惑う警察。
この国は、守る価値があるのか――。

1970年。大阪万博を控え、高度経済成長で沸き立つ日本。捜査一課と公安一課を対立させたある事件以降、袂を分かった刑事の高峰と公安の海老沢は、それぞれ理事官に出世し、国と市民を守ってきた。だが、かつてふたりの親友だった週刊誌編集長の息子の自殺をきっかけに、再び互いの線が交わっていく。単なる自殺と思われたが、独自に調べを進めるうち、日本全土を揺るがすスキャンダルの存在が、徐々に明るみに出る。尊重すべきは国家なのか、それとも名もなき個人なのか。「警察の正義」を巡り、苦悩してきた高峰と海老沢の答えは――。

戦後警察の光と闇を炙り出す一大叙事詩、待望の第三幕!

感想・レビュー・書評

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  • 主人公たちが生きた昭和。時代を事件を通して描いた物語三部作。面白かった。次作の平成の息子たちが生きる物語も楽しみ。

  • ん〜〜時代背景が古いと言うか、私自身が学生運動とかあまり興味がないからなのか。前作もあるみたいだけど多分読まないかも。まあ、何か都合の悪い事があると秘書やらの自殺でうやむやになるのは昔も今も変わらないけど。

  • 読んでいるうちに前作の記憶が蘇ってきた。次回は警察官の締めくくりのステージが舞台になるのか、はたまた次世代に引き継がれるのか?それぞれの時代背景のなかで主人公たちが奮闘するのはスリルがある。

  • 3人の関係性がいい。
    色々あっての距離感だが、やっぱり子供の頃からの友人とはそういうものなのだろうか。
    仕事や立場とは関係なく、仲良しの関係を見てみたいなぁと思う。

  • 戦後日本の国家観。結局、組織優先で個人が後回しにされ続けていく。三部作を通じて、何も変わらなかったことが描かれる。平成の三部作が、また出版され始めている。その息子達の時代のストーリーになるようだが、その史観に変化はあるのか否か。

  • 捜査一課の高峰理事官と公安1課の海老沢理事官が友人で『東日ウィークリー』の小嶋編集長の息子和人が自殺した件で、その奥に潜むカラクリを暴き出す物語だが、昭和40年代のトピックが随所に出てきて楽しめた.和人の通夜で小嶋から罵倒された海老沢は、警察と公安の軋轢で長年連絡を取らなかった高峰と会い、小嶋の無念を晴らすべく動くことになった.和人は一流商社で活躍しており、自殺の動機はつかめなかったが、東京地検の佐橋次席検事から海老沢は介入を止めるように示唆された.和人の恋人桜井亮子から重要な証言を得て、次期戦闘機の商談で公安OBの国会議員が絡んでいることを掴み、商社の幹部に接触するが、自殺されてしまい、更に議員秘書も自死していまう.和人が残した核心の資料を小嶋と佐橋に提供し、両理事官としては留飲を下げた感じだ.

  • 昭和の産物一覧w懐かしー!赤軍派はおまけに入れたのかと思いきや。まだ続けるつもりなんだね!

  • えー!
    最後のオチにびっくり!そう来たか!
    しかも三部作だと知り、やっちまった感が…….
    前作を読むべきか、略するべきか……

  • 1970年 大阪万博でにぎわった時代である。
    その少し前は、学生運動真っ盛り!
    東大の安田講堂でのデモ学生と機動隊との闘い!
    当時の学生は、何事にも熱かった!
    政治についても、今の香港でのデモもそうであろう。

    そんなに熱くなれるのだろうか?と、思われるのだが、・・・当事者としては、熱く燃えていたのだろう。
    この時代では、就職も、学生運動をしていたか否かが、、、、問題視された事もあった。

    捜査1課の刑事、公安1課の刑事、週刊誌編集長、3人共ある地位まで、出世したのだが、編集長の息子の自殺で、単なる死が、大きな波紋を呼ぶことになる。

    しかし、やはり、この時代の背景は、重い。
    ハイジャックという言葉や赤軍派というセクトを知ったのもこの時代である。

    北朝鮮へ逃げた赤軍派は、どうなったのだろうか?と、・・・
    拉致問題でさえ、解決できずにいる今の日本。
    普通の国の法律が、通用しないというのは、怖いと、思いながらも、中国と香港、台湾は、どうなっていくのだろうか?と。

    後何年がしたら、この問題も小説化される事だろう。

  • 101連作で昭和の歴史もよくトレースした良作だと思う。これまでで一番理解できるのは同じ時代に生きた証かも。次は息子たちがバブル期を過ごすのかなあ。2022-0621-72もう次のストーリーが違う作品で始まってるわ。バブルの刑事、待ってたのになあ。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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