- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065166826
作品紹介・あらすじ
『後宮の烏』の著者が描く和風アリスファンタジー!
「早くわたしを見つけて」
禁忌の庭に住む少女と、優しすぎる探偵が解く、切ない秘密。
「庭には誰も立ち入らないこと」――光一の亡父が遺した言葉だ。
広大な大名庭園『望城園』を敷地内に持つ、江戸時代に藩主の別邸として使われた三日月邸。光一はそこで探偵事務所を開業した。
ある日、事務所を訪れた不思議な少女・咲は『半分この約束』の謎を解いてほしいと依頼する。彼女に連れられ庭に踏み入った光一は、植物の名を冠した人々と、存在するはずのない城を見る。
感想・レビュー・書評
-
父の死をきっかけに実家に一人戻ってきた探偵の八重樫光一。実家には過去御用医だった八重樫家が殿様から下賜された広大な大名庭園「望城園」があるが庭には誰も立ち入らないこと、という奇妙な遺言が遺されていた。ある日、咲と名乗る少女が依頼に訪れ、彼女に導かれて庭に入るとそこには咲を「姫」と呼ぶ植物の化身の様な住人達が暮らす城が存在していた。この不思議な世界と光一の普段の生活の描写のノスタルジックさが素敵だ。始めは咲からの謎を解く手段が地域の人々への聞き取りが主なので優しい雰囲気だけど地味かな、と思っていたらそれが庭園自体の謎に繋がっていき、結構大掛かりで重い方向に進んで読み応えが増し、最後に遺言の意味や咲の正体等様々な謎が綺麗に解き明かされたので満足。ただラストの時系列はどう解釈したらいいかちょっと戸惑った。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
残った思いを解きほぐすという流れは『下鴨アンティーク』に通じるものがあり、同じような流れだと展開に新鮮味がなくなりそうだけどなあという一抹の不安をいだきながら読み進めたが、ツンデレ牧兄妹が登場してからは面白くなってきた。特に、何かといえば筋肉を口にするお兄ちゃんがおかしすぎる(笑)。シリーズ化できそうでもあったが、ラストがあれだとここで終わりのような気がする。そもそもシリーズ化するとそれこそ作者の上記シリーズとかぶりそうだし。
-
救われた。
庭の謎が解けていくときには切なくて泣きそうになった。咲のことは本当につらい。
今後の八重樫家と牧家はどうなっていくんだろうか。良縁で続いていくといいなと思った。
-
草木の精達の国とを行き来しつつ、「庭」にまつわる謎を解き明かしていく嫋やかで美しい物語。
文章から立ちのぼる’品’が心地良く、世界観にすんなりどっぷり浸れます。
濃い和テイストとファンタジーの独特な雰囲気は醸しつつ、上手い加減で探偵小説(と呼んでいいのだろうか)とミックスした個性的な作品ではないかと。
装画も素敵。
また読みたくなる作品。
1刷
2021.12.11 -
父から受け継いだ庭に「入るな」と言われていたが、ある少女が現れて……。けっこう意外な方向でした。イメージがよい。
-
面白かった。好きなファンタジー。こういう不思議系は大好き。ぜひ、シリーズ化してほしい。探偵光一の活躍と牧家の兄妹と主人公との関係性というか絡みをこれからも読んでみたい。
-
アリスって結局なんなんだろ…?(途中それらしいこと言うけどなんの関係もない)
美しい言葉だけでタイトルとストーリーを決めましたという印象の物語は最終、それはどうでしょう…という終わり方を迎えるので、なかなか作者の思い切りがいいです。こんなタイトルだけど一応原題が舞台ですもんね……
あと、思わせぶりな伏線とかあった気がするんですけど特に意味はなかったんですよね…?
それはそれとしてこういう綺麗なものだけ集めたみたいな話は好き。 -
父親の死により、「庭には誰も立ち入らないこと」という遺言と共に受け継いだ庭園「望城園」。突然現れた少女に導かれ庭に踏み入ってしまった光一は、自分が見たことのない場所にいることに気付く。
主人公は、異界となった庭園と現実世界とを往き来して、庭園の住人達にまつわる過去の物語を探り出します。
本当は星5つにしたかったのですが、全編が切ないお話だったので、1つ減らしてしまいました。この設定でハッピーエンドは難しいだろうとは思うのですが、1つくらい手放しで「良かった」と思えるお話も読みたかったです。