- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065163283
作品紹介・あらすじ
長靴の形をしたイタリア半島に蹴り上げられるように、地中海に浮かぶ最大の島、シチリア島。マフィアの故郷として知られ、人気の観光地でもあるこの島は、現在はイタリア共和国の一部となっているが、しかし、古くからここは「イタリア」だったわけではない。文明の先進地域・地中海とヨーロッパの歴史を常に色濃く映し出し、多様な文化と宗教に彩られてきたシチリア島。その3000年に及ぶ歴史を描き出し、シチリア島から世界史を照射する。
シチリアの覇権をめぐって最初に争ったのは、古代ギリシア人とフェニキア人だった。その後、ローマの「最初の属州」となり、ローマ帝国の穀倉となった。中世にはイスラーム勢力が柑橘類の栽培や灌漑技術を導入し、当時の先端文明と通商ネットワークをもたらしたが、北フランス出身のノルマン人たちがこれを屈服させて「シチリア王国」を建て、栄光の時代が訪れる。さらにドイツのホーエンシュタウフェン家、フランスのアンジュー家の支配が続き、ヴェルディのオペラで知られる「シチリアの晩祷事件」を境に、アラゴン・スペインによる「長く、暗い時代」に入る。フランス革命期にはイギリスの保護下に置かれるが、19世紀にはイタリアの統一運動、すなわちリソルジメントに巻き込まれ、イタリアに併合されていく。
絶え間なく侵入した「よそ者」と、宗教・文化の交錯の過程で、シチリア人の誇り高いアイデンティティは形成された。そして今、北アフリカから小さなボートで「新たなよそ者」が押し寄せているシチリアは、まさにグローバル化した世界の台風の目となっている。
〈目次〉
序章 シチリア島から世界史をみる
第一章 地中海世界と神々の島
第二章 イスラームの支配と王国の栄光
第三章 長くて、深い眠り
第四章 独立国家の熱望と失望
第五章 ファシズムと独立運動
終章 「シチリア人」の自画像
あとがき
参考文献
関連年表
シチリア王の系譜
感想・レビュー・書評
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紀元前から第二次世界大戦まで翻弄され続けたシチリアに関して
ギリシャ、ローマ、イスラム、ノルマン、ドイツ、フランス、アラゴン、、、
東西南北至る所から強制的な文化融合された土地であり、地中海中心の世界における地政学的な重要地点でもある。
2,000年以上を駆け足で説明頂くので、詳しくは拙著の他を参照してね ってところでしょうか。
シチリアは絶え間なく侵略されたり土地交換の交渉材料にされたりで多難ですが、中世までは侵略した側の王がすぐ亡くなったりして、うわぁ後継どうしょうと、また周辺諸国間で揉め出して、やり直しやり直し揉め直し揉め直しなので、もう文章だけ追ってると笑えます。 -
古代ギリシア人の植民から現代までの期間を通覧する内容。シチリアの晩祷以降、特に近現代についてはほぼ知識ゼロで読んだので非常に勉強になった。一般的なイメージを幾分改められたと思う。
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地中海の浮かぶシチリア島の歴史を、ギリシア文明のころから第二次世界大戦が終わるまでの長い期間を通してみた本。ただ決して物語ではないし、文学的な盛り上がりなどがあるわけでもない。普段なじみがないと、イタリアの先の小さな島、くらいの意識しかないが、この本を読むことによって、実は周りの様々な国の思惑によって翻弄されてきたという雰囲気はわかる。ただ読みやすい本ではないし、読んで楽しかったという感じでもなかった。本当に歴史が好きな人を対象にした、読み手を選ぶ本だと思う。
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シチリアと言えばマフィアだろうと思っていたので、歴史が深く面白かったです。 ヨーロッパ的には、シチリアといえば晩涛 でしょう。イルデイポルコ 豚の鼻がムッソリーニのあだ名なら ”紅の豚”は、どうなるのか・・まだ古い建物が残っていて観光するには良さそうです。 やはり飛行機のガソリン代は割高なんでしょうか?