- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065153345
作品紹介・あらすじ
小説という、旅に出る。
国、ジェンダー、SNS――ボーダーなき時代に、鬼才・宮内悠介が届ける世界地図。本文に300を超える「註」がついた、最新長編小説。
秋のあとに訪れる短い春、旅春。それは、時空がかかる病である――。人間ではなく世界の不具合を治す“世界医”。密室で発見されたミイラ化遺体。カトマンズの日本食店のカツ丼の味。宇宙エレベーターを奏でる巨人。世界一つまらない街はどこか・・・・・・。オーディオ・コメンタリーのように親密な325個の注釈にガイドされながら楽しく巡る、宮内版“すばらしい世界旅行”。“偶然の旅行者”たちはイシュクト山を目指す。合い言葉は、「迷ったら右」!――大森望(書評家)
この小説を体感していると、混沌と秩序って、向こう岸にあるのではなく、隣にあるのではないかと思えてくる。生きる上で生じたバグに体を浸し、誰かと誰かのハブになる。バグとハブもまた、隣にあるのではないか。1ページごとに困惑がやってくる。困惑がやがて快楽に変わる。困惑と快楽、これもまた隣にある。一体どういうことだろう。――武田砂鉄(ライター)
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
プロ野球2023年のシーズン中、ソフトバンクホークスがまさかの12連敗を喫したのだが、これはまさに"旅春"だと思えてならなかった。
最終的にソフトバンクは2位でクライマックスシリーズ進出を決めたので、"旅春"は無事に世界医によってデバッグされたようである。 -
バグでできた世界を旅する私たち。「世界医」の存在が新鮮。そして物語に入り込みつつ読み手を現実に引き戻す不思議な存在の注釈も独特。
読み終わったあと、仕様かバグか分からないすべての事柄に囲まれていると感じながら過ごしてみると、感じ方が変わります。面白かったです! -
頭を抱えるくらい面白かった!!!!!!!
世界をデバッグする旅小説及びエッセイです 最高です 註がついてるのも面白いのにその註が真面目で奔放 最高です
学校や仕事で本のちょびっとでもプログラミングに触れたことのある人、旅が好きな人 特に突き刺さると思います
秩序って何だろう、混乱って何だろう、バグって何だろう…… 思考を振り回されながら完走しました いやほんとメチャメチャ面白かったです -
第2部に進むと、登場人物が一つの場所を目指して集まって来て、交わっていくのでストーリーがより面白くなってくる。
この現実世界もバグまみれなのかも知れない。 -
いちど途中で断念したのを再読して読了。
世界のバグという発想が愉快 -
雑誌連載でだいたい読んでたけど
なんか視点がコロコロ変わる不思議な話で
しかも完結してなかったので(雑誌休刊のせい)
まとめてちゃんと読んでみることにした。
わけあって幻の山イシュクトをめざす人たちを
それぞれの視点から書いていって
最後に一堂に会するクライマックス。
通しで読んだら、なんとなくスッキリしたわ。
地球上で起きる不具合はブログラムのバグで
それを直してまわる「世界医」がいるという設定。
でも、良かれと思って一箇所修正すると
他のどこかがバグるってのが
すべての人を幸福にすることの難しさのようね。