- Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784065144312
作品紹介・あらすじ
日本列島の旧石器時代はどこまでさかのぼれるのか?
縄文から弥生への移行の真相は?
遠くアフリカ大陸に誕生した人類が、どのようにしてここまでたどり着いたのか?
「わたしたちはどこから来たのか」をめぐる、明治から現在まで白熱し続ける大論争を、最新人類学の到達点から一望検証。
いま、どこまでわかっているのか。残される謎は何か。日本人の最大にして不変の関心に、古人類学の第一人者が、深く、わかりやすく解説します。
【本書の内容】
第一章 太古の狩人たち――旧石器時代の日本列島人
第二章 人類の起源と進化
第三章 アジアへ、そして日本列島へ
第四章 日本人起源論――その論争史
第五章 縄文人から弥生人へ
第六章 倭国大乱から「日本」人の形成へ
感想・レビュー・書評
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原本は2005年発行の講談社選書なのだが、この14年間で考古学と同じかそれ以上、人類学は大きな発見が相次いだ。よって、この本は大幅に加筆・改訂されている。ただ去年読んだ「絶滅の人類史」などよりも、それぞれの記述が詳しく専門的だ。その分、面白味は無くなっている。
人類学的視点に立った弥生から中世・近世を含んだ日本史の試みは、文庫本としては読んだことがなかったので、非常に「便利な」本だと思う。ただ、弥生人の渡来説の詳しい動態や人口などは、まだまだはっきりしない。また、弥生前期の動態は、骨が見つからないミッシングリンクだと言われていて、はっきり書かれていないのが恨めしい。土井ヶ浜遺跡の弥生人は中国江南からということで決まりのようだ。ただ、まだどのルートを辿ったかも言えないらしい。その他、わかったことわからないことが、詳しく簡潔に述べられていた。あと数年は古代日本列島人類史は、この本が一般教養教科書として相応しいと思う。ただし、5年後ぐらいには、更に細かい改訂は必須だと思われる。
2019年3月読了詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00260606 -
徳川家は、生育環境が庶民とは別のため、体形が変わったとか
淘汰されるべき劣性遺伝子が残ったわけは、一定の病気に強かったとか
その時一時一時の環境、生活の仕方や人々の交わり方で、今に至る
壮大である -
日本人の誕生だけでなく、人類の誕生も扱うスケールのでかい話をよくまとめたものだと思う。
各章、現状や課題で終始して、まだこれからの研究分野であると感じた。出アフリカの時期といい、縄文から弥生に至るミッシングリングといい。
いつか我々がどこからどうやって来たのか、解明されるのだろうか。分子生物学の知見でどこまで迫ることができるのか。 -
率直な感想。長かった…長い。
その分非常に詳しく、かつ分かりやすく書いてある。読んでよかった。
分かりづらいところは図や表があるので視覚でなんとなく理解できる。
とても丁寧に調べられているし、文献の読み込みもすごいし、本分野の研究の歴史についてはこの本読めばわかるという感じ。
結論として、まだこの分野は発展途上であり研究中ですよ、という感じの内容でした。
昔自分が学生時代勉強したことについて、今になって新たな研究報告があるのは面白いなと感じた。定期的に知識はアップデートしないとだめですね。 -
第1章 太古の狩人たち―旧石器時代の日本列島人
第2章 人類の起源と進化
第3章 アジアへ、そして日本列島へ
第4章 日本人起源論―その論争史
第5章 縄文人から弥生人へ
第6章 倭国大乱から「日本」人の形成へ
著者:中橋孝博(1948-、奈良県、人類学) -
迷宮の森に紛れ込んだような錯覚を与えてくれる。研究者のたゆまぬ努力には敬服する。
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日本人の起源は何なのかを、どちらかという科学的・客観的な記述を試みていてそれに成功していると思います。下手すると情緒的に偏ったり政治的・民族主義的な内容になったり日本人スゴイ的なくだらない内容に陥りがちなテーマですが、淡々とデータを記載しそれに対する考察を述べるという構成になっていて好感を持てます。で、結局よくわからないけど少なくとも太古から多様性あふれるのが日本人だということなのだと思いました。
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【新着図書ピックアップ!】日本人の起源はどこからなのだろうか。人類に発祥がアフリカと考えられているので、そこから長い時間をかけて地球上に広がったと考えられているが、まだ、多くは謎に包まれている。僅かな化石や遺物が手掛かりだが、まだ、謎の解明にはいたらない。人類誕生から古代日本への旅をゆっくり楽しみたい方には、お勧め