魍魎桜 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065143056

作品紹介・あらすじ

魂呼び桜には恋と呪いが宿る。
祓い師・仙龍の死期が迫るなか、彼を想う春菜が下した決断とは――。

☆☆☆

土地を支えていたのはミイラ化した人柱だった。
漆喰の繭に包まれた坊主の遺骸が発掘されると同時に、近辺では老婆の死霊が住民を憑き殺す事件が多発。
曳き屋・仙龍と調査に乗り出した広告代理店勤務の春菜が見たものは、自身を蝕む老婆の呪いと、仙龍の残り少ない命を示す黒き鎖だった――!
ひそかに想いを寄せる仙龍のため、春菜は自らのサニワと向き合うことを決意する。

感想・レビュー・書評

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  • シリーズ第五弾。

    今作は至るところに 散りばめられた“想い”なるものにグッとさせられた。
    人が人を想う気持ちはどうしてこうも心を掻き立てるのだろう。

    ただでさえ満開の桜のその美には心奪われるのに…この曳きの儀式の瞬間は桜の吐息を感じると共に想いが宿る花びら一枚にまで最高に魅せられ心ざわつかされずにはいられなかった。

    仙龍に対しての春菜の想いも今までで一番好感を持てた。

    そして何よりも魂呼び桜、人柱…その土地に根付く伝承を見届ける土地の人の想い、そしてそれを大切に保存する想い、良かったなぁ。

  • 評価の高い本書から「よろず建物因縁帳」シリーズ初読みしてみました。

    ちなみに著者の作品も初読みです。

    いやぁ~、ドハマりしちゃいそうです(^^;

    曳き屋・仙龍と広告代理店のキャリアウーマンであり、サニワ(審神者)の春菜のW主演作。

    昔から地滑りが続いていた猿沢村の地滑り現場から発見されたのは、この地の言い伝えで地滑りを鎮める為に人柱となった坊主の亡骸。

    その直後から近隣で目撃されるようになった老婆の霊。

    そして老婆を見た村人は次々に急死していく。

    曳き屋・仙龍と共に老婆の霊の調査に乗り出した春菜。

    言い伝えを聞き、老婆の謎を解き明かそうとする春菜が見たものは、自身を蝕む老婆の呪い。

    春菜が金縛りにあうシーンでは臨場感がありすぎて恐怖を体験しました。

    そして、代々隠温羅流導師は42歳の厄年で命を落とすとの言い伝え通りに仙龍に付き纏う黒き鎖。

    ひそかに想いを寄せる仙龍のため、春菜は自らのサニワと向き合うことを決意する。

    古くから土地の人に魂呼び桜と呼ばれてきた枝垂桜の古木。

    ついに仙龍と春菜はその桜が人柱として命を捧げだ坊主を想う娘の亡骸から生まれたことを突き止め、坊主の亡骸を祀る為に建立される御堂の側へ桜を牽くことで彼女の魂を鎮めようと試みる。

    密かに仙龍を想う春菜の一途な想いは、死んで霊となっても人柱となった僧を想う老婆の姿と重なる。

    おぞましい怨念と純愛が見事に共存した作品。

    同シリーズ作品を追いかけることになりそうです。




    説明
    内容紹介
    土地を支えていたのはミイラ化した人柱だった。漆喰の繭に包まれた坊主の遺骸が発掘されると同時に、近辺では老婆の死霊が住民を憑き殺す事件が多発。曳き屋・仙龍と調査に乗り出した広告代理店勤務の春菜が見たものは、自身を蝕む老婆の呪いと、仙龍の残り少ない命を示す黒き鎖だった――!ひそかに想いを寄せる仙龍のため、春菜は自らのサニワと向き合うことを決意する。


    魂呼び桜には恋と呪いが宿る。
    祓い師・仙龍の死期が迫るなか、彼を想う春菜が下した決断とは――。

    ☆☆☆

    土地を支えていたのはミイラ化した人柱だった。
    漆喰の繭に包まれた坊主の遺骸が発掘されると同時に、近辺では老婆の死霊が住民を憑き殺す事件が多発。
    曳き屋・仙龍と調査に乗り出した広告代理店勤務の春菜が見たものは、自身を蝕む老婆の呪いと、仙龍の残り少ない命を示す黒き鎖だった――!
    ひそかに想いを寄せる仙龍のため、春菜は自らのサニワと向き合うことを決意する。
    内容(「BOOK」データベースより)
    土地を支えていたのはミイラ化した人柱だった。漆喰の繭に包まれた坊主の遺骸が発掘されると同時に、近辺では老婆の死霊が住民を憑き殺す事件が多発。曳き屋・仙龍と調査に乗り出した広告代理店勤務の春菜が見たものは、自身を蝕む老婆の呪いと、仙龍の残り少ない命を示す黒き鎖だった―!ひそかに想いを寄せる仙龍のため、春菜は自らのサニワと向き合うことを決意する。
    著者について
    内藤 了
    長野市出身。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年に『ON』で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞しデビュー.。同作からはじまる「猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子」シリーズは、猟奇的な殺人事件に挑む親しみやすい女刑事の造形がホラー小説ファン以外にも支持を集めヒット作となり、2016年にテレビドラマ化。近著に『BURN 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』(上下巻・角川ホラー文庫)、『夢探偵フロイト -てるてる坊主殺人事件-』(小学館文庫)。
    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    内藤/了
    長野市出身。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年に『ON』で日本ホラー小説大賞読者賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 夜中に春菜の家にお婆さんがくるのは怖かったなぁ。
    でもやっぱり全体的に怖くはなく、怪異の原因がわかってからが、あっさりとし過ぎてしまい残念。とはいえ桜を曳いてるときに花が咲くというのは美しい終わり方だった。

  • なんと今回パグ男でてきません

    なんでも曳ける曳家の人たちはすごいし、有るべきところへ戻してやるという怪異に寄り添うのは読み物として面白い
    桜が咲くシーンは頭に思い浮かぶような描写がよいが、なにも悪い事をしていないのに祟られ亡くなった人が結構いるのに桜の奇跡はちがうよとおもった

    そして楽しみにしている今回の昭和の女子キーワードは
    「バスローブ ワイン」でした
    描写がふるいんじゃ、一周回ってそれが楽しい

  • 2019/4/16
    やはり素晴らしかった。
    スタートはゆっくり目で今回は冷静に読めるかな?とか思ってたのに実は春菜が危ないってなった辺りからグングン引っ張られ、クライマックスでは私は通勤電車にいなかった。
    桜と僧侶と大姫を呆然と見ていた。桜吹雪の中、奇跡に感動していた。
    びっくりした。文字を読んでいる感覚が全くなかった。
    高砂からのほんの3ページほどだけど、本の中に入れたみたいだった。驚いた。
    それにしても仙龍、ツンが過ぎるよ。
    もうちょっと心配して動揺してよ。かっこいいけどさぁ。
    コーイチに春菜が危ないって聞かされた時のやり取りも見たかったよ。
    じらすよね~内藤さん。
    春菜を連れて行ったことを後悔してるかな?とか想像を逞しくしてしまったわ。
    仙龍もコーイチもちょっとしたしぐさがかっこいいんだわ。
    かばう位置に立つとか振り返って春菜の安全を確認してから行動開始とか。
    細かいところがニクイ!好き!

  • 地滑りした場所から人柱が発見された。
    そこは古くからお坊さんが人柱として土地を守ってくれていると言い伝えがある場所。
    しかし、それから何故か老婆の幽霊が出る様になる。
    その老婆は「お寺に行きたい」と言い背中に乗るのだがその重さが墓石程あると言う。そして老婆を見た人達に次々と不幸が起こる。
    そして遂に春菜に死霊がとり憑いてしまった。


    老婆はその土地の大姫で僧侶とは恋仲であった。
    大姫は代々受け継がれていた人柱として埋められる筈だったがそれを僧侶が代わりにやったのだった。大姫は毎日毎日埋められた場所に死ぬまで通い続けたのだ。
    大姫が亡くなるとその亡骸はあまりに重く動かせなくいつしか桜が咲く様になったのだ。
    死しても尚、僧侶の側にいたかった。
    あまりにも強い想慕。


    春菜のサニワとしての力がどんどん強くなっている気がする。てか、仙龍とは結ばれるのかしら?

  • シリーズ5作目。ヒロインの気の強さの加減もいい感じになってきた。回を追うごとに少しずつ成長が見えるからなのか……1巻の鬱陶しいほどの負けん気の強さは、あえて過剰に書いていたのかと思えるくらいで、その恋も応援したくなる。今回は話もよかったが、ヒロインが仙龍のテリトリーに入り始めたという点が興味深く、章タイトルもいつもと違う感じで目をひかれた。

  • 土地を支えていたのはミイラ化した人柱だった。漆喰の繭に包まれた坊主の遺骸が発掘されると同時に、近辺では老婆の死霊が住民を憑き殺す事件が多発。曳き屋・仙龍と調査に乗り出した広告代理店勤務の春菜が見たものは、自身を蝕む老婆の呪いと、仙龍の残り少ない命を示す黒き鎖だった――! ひそかに想いを寄せる仙龍のため、春菜は自らのサニワと向き合うことを決意する。

  • 発掘された人柱と、それに関わる老婆の死霊。今回もまた因縁の深そうな怪異がたっぷりです。魂呼び桜にまつわる伝説はロマンチックなものともいえるけれど、それを恋慕の情ととるか執念ととるかでかなり印象が違ってきます。終盤まではとにかく不気味で怖い。迫りくる仙龍の寿命に対するリミットにもぞくぞくさせられます。ああして目に見えてしまうのも、怖いし嫌だよなあ。
    自らのサニワとしての力と向き合い、仙龍の因縁を断ち切ろうとする春菜の強さと健気さが、読者に安心感を与えてくれる印象です。ひどくつらい立場のはずなのだけれど、彼女の頑張りはとても心強くて。ぜひともあんな因縁は断ち切ってもらいたいものです。
    そしてラストのシーンの美しさが圧巻。情景を思い浮かべるだけで鳥肌が立ちそうな心地でした。

  • 好きなシリーズの最新作。
    因縁がらみの建物を移す曳き家の仙龍と春奈が活躍する。
    「主人公が嫌い」って意見もあるが、私には理解できない。フツウにまっすぐで好感のもてる主人公だと思うのだが考えすぎでは……?
    読書なんて感じ方は人それぞれだし、キャラの好みも千差万別でいいとは思うが、私は春奈に好感を持っている。
    今作では重役の浮気に本気で怒る所や自然におばあちゃんの手を握る所(+「わんこ」発言)、過去に遡れば一作目の赤子に関係する哀しい真相に感情を乱すところなど、勝ち気で強気、仕事以外では不器用でやや融通が利かないが、そんな青臭いところも含めて応援したくなる。
    仙龍との微妙な距離感や恋愛面でのもどかしすぎる進展ぶり、小林教授やコーイチ、和尚など魅力的な周囲の人物との掛け合いも楽しい。
    いちいち登場人物にイライラしながら読むのも不毛だし(どこで切るかは自由)、キャラクターに愛着持ってシリーズを追っかける方がストレスフリーでずっと楽しい。

    今回は地滑りで発見された人柱の遺骨と樹齢八百年の枝垂れ桜にまつわる悲恋。
    終盤であきらかになる真相はあっさりめだが、それまでの過程が面白い。ホラー描写もさほどグロくはないが、そこに絡む人間関係がテンポよく描写される。
    一人称「僕」のおっとり穏やかな小林教授やわんこ属性のムードメーカー・コーイチなど、脇を固めるキャラの朗らかさが恐怖を中和してくれるので、キャラクター小説としても安定の読み応え。仙龍は相変わらず寡黙男前カッコイイ。

    特にラストの桜が咲く場面は映像的に美しく胸に迫る。
    祟られた人たちは災難だったけど、数百年地すべりから集落を守り続けてきた実績を加味すれば……でも偶然掘り出しただけで祟られるのは気の毒だなあ……。

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著者プロフィール

2月20日生まれ。長野市出身、在住。長野県立長野西高等学校卒。デザイン事務所経営。2014年、日本ホラー小説大賞読者賞受賞作『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』でデビュー。ほかの著書に『ON』につづくシリーズの『CUT』『AID』『LEAK』『ZERO』『ONE』『BACK』『MIX』『COPY』『BURN上・下』、スピンオフ『パンドラ』『サークル』『OFF』、「東京駅おもてうら交番・堀北恵平」シリーズ『MASK』『COVER』『PUZZLE』『TURN』など著作多数。

「2023年 『LIVE 警察庁特捜地域潜入班・鳴瀬清花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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