χの悲劇 The Tragedy of χ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784065142530

作品紹介・あらすじ

トラムに乗り合わせた“探偵”と殺人者。Gシリーズ転換点となる決定的一作。後期三部作、開幕!!

香港のトラムで起きた密室殺人と、果てしなく広がるバーチャル空間での光速の追跡劇。
天才を追い、天才に追い詰められる。
「そう。ここが私の世界だ」

香港で仕事をする島田文子のもとに男が現れた。島田が真賀田研究所にいた頃に起きた飛行機事故について質問があるという。その日、走るトラムの中で殺人が起き、死者の手に「χ」の文字が遺される。乗客として警察の捜査に応じた島田だったが、そこである交換条件を持ちかけられ……。Gシリーズ後期三部作開幕!

感想・レビュー・書評

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  • 3.5
    Gシリーズ10弾で、後期3部作1弾。日本科学大学から転職し香港で仕事する島田文子をメインとして話が進む。ホテルの置かれたχのカード。香港のトラムで起きた殺人事件。交換条件で日本の諜報局員の手伝いに。飛行機事故を逃れた小山田真一と各務アキラ。小山田は真賀田研究所の所員だったらしい。島田を助け出すχは小山田と各務の息子らしい。エピローグでの初老のχと89歳の島田のやりとり。χが海月。海月は親しい人はいるが結婚してないよう。雨宮?ダマシダマシでの加部谷の話も納得。シリーズ全体を通して謎が明らかになってきた感じ。大作。

  • いつものメンバーが一切出なくて驚いた。
    島田さんが主役のお話。
    Χの正体が分かった時はビックリした。

  • 面白かったーー!
    森博嗣の魅力を存分に堪能できた一冊。
    もう飛行機事故のこともカガミアキラのこともけっこう忘れてきてたけど、再読したくなった。
    途中、年齢が合わないんじゃない?と不思議になるところもあったけど、最後の最後、一文で本当に目が覚めた。
    これはすごい。そりゃあ肉体は邪魔ですよね。

    読み始めてすぐには、知っている名前が全然なくて焦ったけれど、意外なことがいくつも判明して楽しかった。
    今まで読んできた読者にも、おおいにサービスしてくれて嬉しかった。

    島田さんかっこいいよね。
    突然、香港の自宅を出ることになっても、慌てず、用意もいらない。
    リアルのものは何も必要ない、体もここに置いていきたいと言い切る。

    ヴァーチャル世界での攻防戦の指揮も、スピーディでシャープ。
    こういうジェットコースターが森博嗣の面白さ。

    χの正体がすぐにわかったけど、もうひとりの正体も、わかった瞬間、いいなあと思った。
    このキャラ好きだったな。
    さすがにもうバイクには乗らないのね。

    組織と国際とかの話題になると、纐纈苑子さん、今こそ再登場でしょ、と思ってしまうけど、またからぶりでした。
    次作も最終作も楽しみだ!

  • 主人公が島田文子でちょっと期待できないのかな?と思ったが、読み終えた後はそんなこと微塵も感じなかった。
    今まで謎だったことが少しずつわかってきたり、登場人物の謎が明かされたり、百年シリーズに繋がるプロジェクトだったり。
    森作品を今まで読んできて良かったと思えた一冊。
    さすがは後期三部作。

  • ノベルス版で既読。文庫化に伴い買い直し。
    再読してみると、仮想空間を迅速調査するシーンの、スピード感に驚く。

  • 220531*読了
    いやぁ、してやられた。めっちゃおもしろかった。

    今までのGシリーズからガラッと変わって、舞台は香港から始まります。
    しかも主人公は島田文子さん。
    S&Mシリーズ、Gシリーズに時々登場していた彼女がまさか主役になる作品があったなんて。

    トラムで起きた殺人事件後、島田さんが今まで培ってきたスキルを活かし、ネット環境で暗躍。
    その攻防戦がおもしろい。
    そこから目まぐるしく展開し、ラストには…。

    まさか、カイの存在があの人だったなんて。
    そして年代にも驚いた。
    最後に驚きすぎてもう何が何だか。
    一体これからどうなるのだろう。

    真賀田四季の存在は、森博嗣さんの数々の小説の中に君臨し続けていると、本当によく実感できました。



  • 『χの悲劇
     THE TRAGEDY OF χ』
    森 博嗣 著 読了



    Gシリーズ10作目にして
    後期3部作 第一弾


    香港で働く島田文子の元に
    訪れた謎の男達

    乗り合わせたトラム内で
    その一人が殺された

    事情聴取を受けた
    乗客の一人が失踪し
    捜査が暗礁に乗り上げる中

    協力要請される島田だったが
    事態は、思わぬ方向に
    大きく動き始める



    Gシリーズの
    後期3部作 第一弾と
    設定されてる本書だけあって

    前作からぐーんと
    時間経過している
    (推定50年ぐらいか?)

    と、同時に
    物語のスピード感が
    半端ない


    デビュー作である
    『すべてがFになる』で
    初登場した島田が

    何故今、主人公?と
    不思議だった


    「自分の躰が
     ここにあるという現実が
     最大の足枷だった

     この現実に根ざす躰
     この肉体を
     養わなければならない面倒

     躰はときどき故障する
     歳をとって劣化する

     死んだらゲームオーバーなのだ』


    「物体はいらない
     データがあれば良い

     データとして取り込めれば
     永遠に存在できる」



    この先に続く

    百年シリーズ
    Wシリーズ
    WWシリーズの起点となる
    重要な人物だったことが

    今回、再読して分かった


    過去に起こった
    飛行機爆破事故

    島田に近づいてきた
    謎の男達の素性

    トラムで起こった
    殺人事件の解明

    全ての謎が
    きちんと解明されていく


    抜け落ちていた
    いくつかのピースが

    次々とはまっていく
    カタルシス


    再読にも関わらず

    初めて『すべF』を読んだ時の
    衝撃を再び味わえた


    コレだから
    森博嗣はやめられない





    #χの悲劇
    #森博嗣
    #Gシリーズ
    #後期3部作
    #講談社ノベルス
    #読書好き
    #ブクログ

  • Gシリーズだけど主役は島田文子。若い社員に対して随分意地悪な見方をするなと思いつつ読み進め、バーチャル追跡格好良いなと安直な感想を持ち、どこへ辿り着くのかと思ったら、ええ⁉︎⁉︎
    もう今すぐ他のシリーズを併せて再読したい。

  • 1番の悲劇は、思考プログラムを遥か上空まで越えて行って対処不能だわ。と、森作品最大のミステリィに足を止めたことである。
    取り憑かれていた。何に?真賀田四季か。それともお前はχなのか。
    エックスorカイ。聞かなくても知ってる。
    そもそも、
    過去を辿るには遅過ぎて、未来には興味が無い。
    それが問題だ。
    それでも再び心を動かすには、2文字で充分過ぎた。それはとても美しく、儚く何処か懐かしい。朧気だが、君の自由ならば願った事がある。だからまだ私は此処にいる。
    過去は、誰にも伝わらないから備忘録として残っているのだ。それは時にデータ化して。紙として。記憶として。
    漂白しようが叩き割ろうがそれは勝手だが、
    僅か直径1センチの未来に理解等されてたまるものか。
    誰の子であろうと、誰が遠田を、とかは重要では無い様に思えた。各務に自ら事件を操るイデオロギィが存在したとは考え難い。ではやはり...。
    あの飛行機事故。遡る。そう、いつだって我々は過去を引き出し空白を追っている。
    黒・黒・黒。
    燃え盛る炎に、私にレッドは想像出来なかった。
    ただ、慟哭。死に逝く者達の匂い。
    そして、
    少女が壊れ狂う過程での、叫び声だけだった。
    「命とは、何ですか」...
    貴方はきっと、永遠に生き続けるのでしょう。

  • これまでの話からだいぶ未来の話。
    ずっと出てきてたメンバが全然出てこない。時間が経ちすぎていて、他のメンバのこと見たいような見たくないような。ラストは、「お前だったんかい」状態。

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著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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